今注目の不動産クラウドファンディング投資。不動産投資を始めたいと思っても、従来の不動産投資は資金面でのハードルが高く、専門的な知識が必要で管理も大変というイメージがあります。不動産クラウドファンディングは、1口1万円から始められる不動産投資です。今回は、不動産クラウドファンディング投資の仕組みとメリット・デメリットをご紹介いたします。
<不動産クラウドファンディングとは?>
不動産クラウドファンディングとは、事業者が複数の投資家から出資を受け、その資金で現物不動産を取得・運用し、賃料収入や物件売却等から生じた利益を投資家に分配する仕組みです。
2017年に不動産特定共同事業法が改正され、個人投資家がインターネットを通じて少額から不動産投資を行えるようになりました。
不動産クラウドファンディングは、国から認可された事業者により運営されているため、安心して投資することができます。
<不動産クラウドファンディングのメリットとは?>
ここからは、不動産クラウドファンディングの特徴と魅力を解説し、投資するメリットを挙げていきます。
・少額から気軽に投資可能
不動産クラウドファンディング(市場)では事業者により様々なファンドが扱われていますが、1口1万円から投資が可能なファンドが多く、少額から気軽に不動産投資が体験できるメリットがあります。
また、多数の契約書の確認や署名捺印など、紙での手続きは一切不要で、口座の開設から投資、分配・償還まで全てインターネット上で完結することができます。
・価格変動リスクがない
株式やFX、暗号資産、ETFやREITなど、個人が投資できる商品は多くありますが、これらは全て日々の価格変動リスクがあります。
最近は1日で10%以上の価格変動があることも珍しくなく、大きく資産価値が変動します。
一方で、不動産クラウドファンディングには日々の価格変動がありません。
投資後に表面上の値動きが無いため、日々の価値変動に一喜一憂して疲れてしまうことがありません。
・投資後に管理の必要なし
現物不動産投資では、投資用物件を購入するまでの段階で、情報収集や不動産仲介会社とのやり取りも多く、専門的な知識が必要な場合もあります。
また、運用している間は、物件の維持、空室管理、住人や近隣のトラブル対応など、かなりの時間と手間がかかる投資手法です。
不動産クラウドファンディングはこのような手間が一切なく、投資後も特別な管理は必要ありません。
ファンドへの申込や契約、分配金の受け取りなどの煩わしい契約実務もすべてオンラインで完結できます。
また、ファンドの対象物件の運用は不動産のプロである事業者が行うため、運用終了まで待つだけの投資となります。
・資金管理が容易
不動産クラウドファンディングのファンドは、あらかじめ運用期間が決まっており、運用が終わると分配と元本償還が行われる仕組みです。
ファンドの運用期間は、3か月や6か月の短期運用から、12か月や24か月以上の長期運用まで様々で、自分に合ったファンドを選ぶことができます。
株式投資などは運用期間が決まっていないため、投資前に描いたシナリオ通りにいかない場合や、利益確定のタイミングを逃してしまうことがあります。
不動産クラウドファンディングは、あらかじめ運用期間が決まっていることで、ファンドが想定通り運用された場合に分配金がいつ、いくらあるのかを事前に知ることができるため、資金管理が容易になります。
また、運用期間が終了し償還された際は、別のファンドに再投資することもでき、資金計画が立てやすいメリットもあります。
・投資家のリスクを低減する仕組みの採用
不動産クラウドファンディングでは、事業者が投資家と一緒に出資を行う場合があります。これを「優先劣後構造」と言います。
投資家を優先出資者、事業者を劣後出資者とし、ファンドの運用が上手くいかなかった場合には、劣後出資分から損失を負担します。
もし損失が出てしまった場合でも、一定程度までの損失であれば、投資家の元本は守られる仕組みで、元本棄損リスクを低減しています。
ただし、劣後比率が低く一定割合以上の損失になった際は元本が十分に守られず毀損する場合もある、ということには注意が必要です。
また、事業者により「マスターリース契約」を締結しているファンドがあります。
マスターリース契約とは、所有者から建物を一括して借り上げる賃貸借契約のことです。
これにより、空室時や入居者の家賃滞納等が生じた場合でも、毎月一定の賃料が保証される仕組みです。この賃料保証の仕組みにより、分配金の減少リスクを低減しています。
・不動産事業で充分な実績を持つ上場企業が参入している
最近は上場企業やそのグループ会社が運営する不動産クラウドファンディングが増えています。
社会的な信用力があり、不動産売買や運用に関して充分な実績がある企業が参入していることで、ファンドの信頼性と安全性が高まっている傾向にあります。
またファンドに関する情報が細かく開示されているため、透明性も向上しており、安心して投資できる環境が整ってきています。
・本来は富裕層向けの物件に投資できる
不動産クラウドファンディングの投資対象には様々な種類の不動産がありますが、中には個人ではなかなか投資できないような高い価値を持つ物件があります。
例えば、東京都内の山手線の内側に建つマンションには、区分所有でも1億円以上のものもあり、1棟所有となればとても大きな資産が必要となります。
このような高級物件は、本来富裕層向けの投資物件で、資金的なハードルはとても高いと言えます。
不動産クラウドファンディングの仕組みで小口化されたことにより、少額からでも高い価値を持つ物件に投資が可能になりました。
<不動産クラウドファンディングのデメリットとは?>
次に、不動産クラウドファンディングのデメリットを挙げていきます。
・元本保証ではない
他の投資商品と同じく、元本を保証するものではありません。
ファンドの運用状況により、元本の減少、または返還されない場合があります。
・利回りは確定ではない
ファンドの利回りは想定利回りで、運用の結果、賃料収入や売却益が想定よりも少なかった場合は、配当率が低くなる場合や運用期間が延長されることがあります。
・途中解約できない場合がある
不動産クラウドファンディングは運用中の途中解約ができない、または解約には一定の条件があり、手数料がかかる場合があります。
・人気のファンドには投資できない場合がある
最近、不動産クラウドファンディングは人気化しており、特に抽選方式の募集ファンドでは抽選に当選できないことがあります。
今回は、不動産クラウドファンディングの特徴と投資のメリット・デメリットを解説してきました。株式などの他の投資商品のリスクヘッジとして考えた場合にも、少額から始められ、価格変動リスクがない不動産クラウドファンディングは、ポートフォリオへの組み入れが検討できる商品だと言えます。投資後の管理も必要なく、仕事などで忙しい人にも適していますので、この機会に不動産クラウドファンディング投資を始めてみてはいかがでしょう。