不動産クラウドファンディングの今後の展望、“安全性と透明性の向上”について解説!

不動産クラウドファンディングの今後の展望、“安全性と透明性の向上”について解説!|リビングコーポレーション

 

最近、ますます注目を集めている不動産クラウドファンディング。参入する事業者の数も増え、市場規模の拡大が続いています。今回は、不動産クラウドファンディングの今後の展望、“安全性と透明性の向上”について解説いたします。

 

<不動産クラウドファンディングの概要>

不動産クラウドファンディングとは、事業者がインターネット上で複数の投資家を募集し、集まった資金で不動産を取得して運用を行い、賃料収入(インカムゲイン)や物件売却益(キャピタルゲイン)から生じる利益を投資家に分配する仕組みです。


不動産クラウドファンディングは、国土交通省が所管する「不動産特定共同事業法」(略して、「不特法/ふとくほう」)という法律に基づいて運用されています。

この法律は、1995年4月の施行から2013年、2017年、2019年と3度の改正が行われ、2017年の改正では、個人投資家がインターネットを通じて少額から不動産投資を行うことが可能となりました。


不動産クラウドファンディングは、国土交通大臣または都道府県知事から認可された事業者により運営されています。

法整備が進んでいることで、投資家にとっては安全性の高い投資商品と考えることができます。

 

<不動産クラウドファンディングに投資するメリットは?>

不動産クラウドファンディングには多くの特徴がありますが、次は投資をする上でのメリットを挙げていきます。


・少額から投資が可能

不動産クラウドファンディングには、一口1万円と少額から投資が可能なものが多く、気軽に不動産投資を行うことができます。


従来の現物不動産投資は、歴史があり広く認知されている投資手法ではありますが、物件取得にはある程度まとまった資金が必要で、契約や管理面でも専門的な知識が要ることから、初心者にとってはハードルが高い投資手法と考えられていました。


一方、不動産クラウドファンディングは、口座開設から投資、分配・償還まで全てインターネットで完結し、初期費用も不要なため、手軽に不動産投資を始められる点は個人投資家にとって大きなメリットと言えます。


・日々の価格変動がない

株式や債券など、多くの金融商品は、市場で取引されているため日々の価格変動リスクがあります。

特に、最近は一日の変動幅が大きい傾向にあり、その分、取引におけるリスクも高まっていると言えます。


一方、不動産クラウドファンディングには日々の価格変動がありません。

投資後に毎日値動きを気にしたり、一喜一憂して疲弊してしまうことがなく、安心して運用を見守ることができます。


・専門的な知識は要らない

従来の不動産投資では、物件の購入に際し、多くの情報収集や不動産仲介会社との交渉を要するため、専門的な知識や経験が求められます。

また、運用中には物件の維持、空室管理、トラブルの対応など、手間がかかる場合もあり、初心者には難しく感じられることが多いです。


一方、不動産クラウドファンディングは、投資後の特別な管理は必要ありません。

対象物件の運用や管理は、不動産のプロである運営事業者が行うため、運用終了までは基本的に待つだけの投資となります。


・資金管理が容易

不動産クラウドファンディングは、あらかじめファンドの運用期間が決まっており、運用終了後に分配と元本償還が行われる仕組みです。(商品によっては、運用終了後だけでなく運用期間中にも分配が実施されるものがあります。)


ファンドの運用期間は、3か月や6か月の短期運用から、12か月や24か月以上の長期運用まで様々で、投資家は自分の投資計画に合ったファンドを選択することができます。


また、ファンドが想定通り運用された場合に、分配や償還がいつ(いくら)あるのかを事前に知ることができるため、資金管理が容易になります。

 

<元本棄損リスクを低減する仕組みが採用されている>

不動産クラウドファンディングは投資商品であるため、元本の保証はありません。

出資法により、投資商品の元本保証は、一部の特別な場合を除き認められていません。


元本が保証されていないことは投資家にとってデメリットになりますが、不動産クラウドファンディングには、元本棄損リスクを低減する仕組みである「優先劣後構造」「マスターリース契約」を採用している事業者(ファンド)もあります。


優先劣後構造とは、投資家と一緒に事業者もファンドに出資を行い、投資家の出資金を「優先出資」、事業者の出資金を「劣後出資」としてファンド内で管理し、不動産運用が上手くいかなかった場合には先に劣後出資分から損失を負担するという仕組みです。


劣後出資の割合は事業者やファンドにより異なりますが、この仕組みを採用するファンドでは、一定割合の損失であれば投資家の元本は守られるため、安全性は高まると考えることができます。


マスターリース契約とは、空室が生じた場合でも一定の賃料が保証される仕組みです。

つまり、この契約を締結するファンドには賃料保証があるため、不動産投資において最大のリスクとされている“空室”による分配金減少リスクが低減されます。


このように、優先劣後構造やマスターリース契約を採用している事業者やファンドを選ぶことで、投資家は元本棄損や分配金減少のリスクを抑えることができます。

 

<不動産クラウドファンディング業界全体としての取り組みとは?>

2023年8月30日、不動産クラウドファンディング業界の信頼性と透明性の向上、個人投資家の保護等の活動により、業界発展拡大に寄与することを目的として、「一般社団法人不動産クラウドファンディング協会」が設立されました。

協会発足時の加盟企業は15社で、今後も加盟企業の増加とともに業界の健全な発展が期待されています。

 

<不動産クラウドファンディングの今後の展望は?>

不動産クラウドファンディング協会の設立により、不動産クラウドファンディングは、不動産投資の新しい形で少額から投資できる金融商品として、今まで以上に広く一般に認知されると予想されます。


また、協会が積極的に一定のルールや基準を設定することにより、ファンドの安全性や透明性が向上し、投資家がより安心して利用できる環境になることが期待されます。


さらに、協会に加入していない事業者にもこの基準が及び、結果的に業界全体に良い効果をもたらすことも考えられます。


不動産クラウドファンディングの今後の展望として、ブロックチェーン技術を用いたSTO(セキュリティ・トークン・オファリング)の活用可能性もあり、不動産STやデジタル証券といった新たな分野へ進出する事業者も出てきそうです。


投資家は、様々な特徴を持つ事業者やファンドの中から自身の投資目標や戦略に合う商品を選ぶことができ、ますます投資の選択肢が増えていくことになるでしょう。

 

今回は、不動産クラウドファンディングの安全性と透明性について解説いたしました。不動産クラウドファンディングは、今後も新たな事業者の参入や新分野への展開など、更なる発展が予想されており、その安全性と透明性が高まることにより、投資家がより安心して投資を検討できる環境になることが期待されます。