最近、注目度が高まっている「CFD」。メディアなどでも耳にすることが多くなり、実際に取引している個人投資家も増えてきている印象です。今回は、CFDの基礎知識や特徴、取引のメリット・デメリット、具体的な活用方法を解説していきます。
<CFDとは?>
CFDとは、“Contract for Difference”の頭文字をとったもので、日本語では「差金決済取引」と呼ばれる取引手段のひとつです。
日本個別株、アメリカ株、世界の株価指数、ETF、金や原油などの商品先物など、現在個人が投資できる商品は多様化していますが、CFDは、一つの口座でこれらの様々な資産に投資できることが特徴です。
CFD取引は、現物の受け渡しは行わず、予め証券会社に差し入れた証拠金を担保に取引を行い、取引開始時と終了時の価格差(差金)のみを決済する取引形態です。
多くの投資家が活用しているFX(外国為替証拠金取引)もCFD取引の一種です。
<CFD取引の種類は2種類>
CFDには、店頭CFDと取引所CFDの2種類があります。
店頭CFDは、CFDサービス提供会社と投資家が、取引所を介さずに直接取引を行う形です。
一方、取引所CFDは、東京金融取引所に上場している「くりっく株365」を通じて取引を行います。原則、投資家の差し入れた証拠金は全額保護される仕組みになっているため、事業者リスクを気にせずに取引することができます。
<CFDはレバレッジ取引が可能>
CFD取引の特徴の一つに、レバレッジを活用できる点が挙げられます。
レバレッジとは「てこの原理」を意味しますが、ここでは、証券会社の口座に一定以上の証拠金を差し入れることで、手元の資金よりも大きな金額の取引ができる仕組みのことを指します。
これにより、少額の資金でも大きなリターンを得られる場合があり、短期間で効率的に投資ができる可能性があります。
ただしその反面、短期間に大きな損失を被る可能性もあるということを十分に理解したうえで取引を行う必要があります。
リスクを把握し上手く活用することで、CFD取引は個人投資家にとって魅力的な選択肢となります。
<CFDの代表的な商品は?>
CFDでは、日本の株式市場を代表する株価指数である日経225や、アメリカのダウ、ナスダック、イギリスのFTSEなどの先進国の株価指数に加え、金やプラチナ、原油関連のETFなど、幅広い銘柄の取引が可能です。
また、取引時間が長く、なかには祝日も取引できる商品があるため、市況の変化を敏感に捉えた投資機会の可能性は広がります。
<CFD取引のメリットは?>
・投資コストが低く抑えられる
株式やFX取引の場合、一般的に取引手数料やスプレッドなどの取引コストがかかります。
一方、CFDは取引手数料を無料としているネット証券会社も多く、他の投資商品に比べて取引コストが抑えられ、効率的に投資できます。
・為替変動リスクがない
CFDは、海外の株価指数を日本円(円建て)で取引できるため、ドル建てやユーロ建て商品のように為替変動リスクを気にする必要がありません。
また、買いポジションを保有することで、株価指数の配当相当額が得られる場合もあります。
・売りポジションを取ることができる
日経平均先物や商品先物と同様、買うだけでなく、下落相場だと予測した際にはショート(売り)ポジションを取ることもできるため、市場下落により利益を得られる場合もあります。
さらに、現物株式を保有している場合には、CFDでショートポジションを取ることでリスクヘッジとしても活用ができます。(例えば、海外のマーケットが下落している際に、CFDで売りヘッジポジションを取ることで、保有株式の下落分をカバーすることができます。)
このように、様々な市場の動向を活用するチャンスを得られることもCFD取引のメリットと言えます。
<CFD投資のデメリット>
・レバレッジ取引はハイリスク
CFD取引は、レバレッジを有効に活用できる一方で、リスクを増大させる可能性もあることには注意が必要です。
CFDに限らず、レバレッジ取引は自身の保有資産以上のポジションを取れるため、短期間に大きな利益を得られる可能性がある一方で、思わぬ損失を被り、最悪の場合には自身の保有資産以上の損失になる可能性があります。
したがって、レバレッジ取引を行う際には慎重なリスク管理が不可欠で、投資家は自身のリスク許容度に合わせて適切なポジション量を調節することが大切です。
・市況の変動に直接的な影響を受けやすい
CFD取引は、現物資産を保有せず指数の価格変動に連動しているため、マーケットにショックな出来事が起こった際に急激な価格変動が生じ、結果大きな損失を被るなど、直接的に市場のボラティリティの影響を受ける場合が多くあります。
投資家は自身の取引ルールを順守し、慎重に取引を検討することが重要です。
・知識と経験が必要な場合がある
CFD取引は比較的ハイリスクなため、投資の知識と経験がある人に向いている取引と言えます。
感情的な判断や無計画なトレードは大きな損失を招く可能性があるため、慣れていない場合には少額から参加するのがよいでしょう。
市場の基本的な原理や原則、トレード戦略を習得し、冷静な判断力を保つことが成功の鍵となります。
・株式投資との損益通算はできない
CFD取引で発生した利益の税区分は「雑所得」となり、先物取引などとの損益通算は可能ですが、株式などの譲渡所得や給与所得と損益通算することはできません。
<リスク管理が重要>
CFD取引を行う際には、第一に、適切なリスク管理が不可欠と言えます。
具体的には、大きなポジションを取った際にはストップロス(逆指値)注文を設定するなど、損失を最小限に抑える戦略を持つことが重要です。
また、資金を一つの商品に集中しないようにすることも大切な要素です。
CFD取引に限らず投資を行う際は、ポートフォリオを分散させることで、特定の市場や商品の値動きに依存しないようリスク分散を図り、ポートフォリオの安定性を向上させることが重要です。
CFDは、一つの口座内で様々な商品に投資が可能なため、この特徴を生かして分散投資を心掛けることが成功のポイントと言えます。
今回は、近年注目度が上がっているCFDの特徴やメリット・デメリット、活用方法について解説いたしました。CFDは一つの口座で様々な市場や商品の取引ができ、資金効率の良い投資を行える可能性がある一方で、高いリスクを伴うものでもあるため、投資家は十分な知識を持ち、リスク管理を徹底することが重要となります。自身のリスク許容度と投資目標を明確にし、CFD取引を有効活用することをお勧めいたします。