「ライフプラン」とは、自分の今後の生活設計とそれを実現するためのマネープランを含めた計画です。ライフプランとマネープランを明確にし、自分が送りたい人生のイメージを具現化していくことは大切なことです。今回は、ライフプランとマネープランの考え方と投資の必要性について考えていきたいと思います。
<ライフプランとマネープラン>
今後の人生設計を考える中で欠かすことのできない項目に、お金が挙げられます。
ライフプランとマネープランは近い関係で、この二つのプランを立てることで、将来的に豊かな人生を送れる可能性があります。
ライフプランは、人生のステージに沿って計画すると効率的だと言われています。
人生のステージは、一般的に「学生」、「労働」、「老後」の三段階に分けることができます。
そして特に重要なのは、働き盛りである「労働」ステージと、リタイア後の「老後」ステージのマネープランだと言えます。
以前は、同じ会社に長く勤めて定年を迎えることが当たり前の世の中でしたが、最近は、働き方や働くことに対する考え方の変化もあり、転職をすることも普通になってきました。
また、会社勤めから独立して起業やフリーランスを目指す人も多く、継続的に安定した生活を送るためのライフプランの必要性がより高まっていると言えます。
このように、ライフイベントの多い「労働」ステージでのプランはこれまでも重要視されてきましたが、最近は、「人生100年時代」や「老後2000万円問題」などの言葉にも見られるように、平均寿命が延びていることや社会保障の問題などもあり、リタイア後のプランも重要性を増しています。
<「人生の3大支出」を把握する>
ライフプランとマネープランを立てるうえで、人生の支出を考えることは大切なポイントです。
いつ、何に、どれくらいのお金がかかるかを事前に知ることで、具体的な計画を練ることができます。
まず、一般的に「人生の3大支出」と言われるものに「教育資金」、「住宅資金」、「老後資金」があります。
この三つに関しては、かかる金額も大きく期間も長いため、特に早めの十分な備えが必要と言えます。
また、それ以外の大きな支出として、結婚、出産、入院、介護などの費用が挙げられます。
若い世代でも、予期せぬ病気やけがによる入院の可能性があるため、入院保険に入っておくなど事前の備えが重要と言えます。
<貯蓄率を把握する>
マネープランを練る際に重要なことは、将来的な支出に備えるために、貯蓄率がどれくらい必要かを計算することです。
貯蓄率とは、貯蓄可能額(手取り収入-支出額)を手取り収入で割った比率です。
貯蓄率は、世帯(単身世帯と二人以上世帯)や年代、住む地域などによって異なりますが、まずは自分の世帯の月別、年別の貯蓄率を知ることで、マネープランが立てやすくなります。
ライフイベントの時期に合わせ、おおよその収入と支出を予測することで、いつまでに、いくら必要かだけでなく、その貯蓄にはどれくらいの期間がかかるかを逆算でき、具体的な計画を立てる際の目安になるのです。
発生時期などはずれることもありますが、できるだけ具体的に数値化することで、効率よく将来へ備えることができます。
また、毎年の貯蓄率を知ることで、より長期的なプランの設計が可能となります。
年間の平均貯蓄額を足していけば、将来の資産残高がおおよそイメージでき、リタイア後の資金を考えることもできます。
今から老後期までのライフイベントごとに必要な資金(貯蓄目標)が明確になったら、どのようにお金を貯めていけばよいか(貯蓄方法)が見えてきます。
<投資の必要性>
ライフプランとマネープランを考えていくと、思ったよりもお金がかかることに気付く人も多いのではないでしょうか。
この気付きはとても良い事で、時間をかけて計画的に準備をするきっかけにもなります。
お金を貯める具体的な方法としては、「収入を上げる」、「支出を最適化する」、「投資で増やす」の三つが挙げられます。
以前は終身雇用制度や年功序列の考え方があり、長く勤めれば勤めるほど給料は高くなる傾向がありました。
しかし最近は、社会や労働環境に変化があり、この制度は事実上なくなり、サラリーマンの年収は横ばいが続いている状況です。
さらに近年では、物価の上昇とともに光熱費も値上がりし、インフレ傾向が鮮明になってきています。
また、税金や社会保障料も上がっており、手取りベースで見ると、サラリーマンの平均収入は横ばいどころかここ十数年下がり続けています。
このように、収入が増えない傾向になると、多くの人は生活を維持するために支出を抑える行動を取ります。
しかし、例えば、寒いにもかかわらず電気代を節約するためにエアコンをつけないなどの極端な節約は、健康に影響を及ぼしたり今の生活を不便にしてしまう可能性があり、逆効果となり得るためお勧めできません。
今の時代に求められることは、収入を上げること、また、適度に支出を抑えつつ余剰資金を投資に回し増やすことなのかもしれません。
現在の銀行預金金利は、多くの銀行で円普通預金の場合、年0.001%です。
100万円を銀行に預けた場合、1年間の利息は10円、1000万円預けても年間100円しか増えません。
つまり、余剰資金を銀行に預けていただけでは、お金はほぼ増えないと言えます。
従来、多くの日本人が実践してきた貯蓄中心の資産形成では、将来のお金への不安を解消できなくなっている状況です。
「貯蓄から投資へ」という言葉がよく聞かれるようになり、政府も家計資産を貯蓄から投資へと促す様々な政策を実行しています。
<投資を始める時期は早い方が優位>
このような時代背景から、投資の必要性を感じ、実際に始めてみようと思う人も少なくないのではないでしょうか。
しかし、実践までには至らない人が多いのも事実です。
投資を始めない理由には、「まだ若いから」、「よくわからないから」などがあるようですが、一般的に、投資による資産運用は、運用している期間が長いほどそのメリットを享受できると言われています。投資を実践する時期に早すぎるということはありません。
20代・30代の若い世代の人が早く投資を始めることで、長い時間を味方につけることができ、その分だけ資産が増える確率が上がります。
また、投資の商品と時間を分散することで、リスクを低減することもできます。
ライフプランとマネープランを真剣に考えた時、同時に投資の必要性に気づく人は多いと思います。
投資を始めてみようと思ったら、まずは投資関連の書籍や信頼できるサイトで投資の基本を学ぶことが大切です。
投資に関する正しい知識を付けることで、堅実な資産運用ができる可能性が高まります。
最近は、少額から投資できる商品も多いため、実際に自己資金で投資をしてみることが、将来に向けた資産形成の第一歩となり得ます。
また、投資をすることで、お金への意識が高まるだけでなく、政治や経済に自然と関心を持つようになるというメリットもあります。
今回は、ライフプラン・マネープランの考え方と投資の必要性について解説してきました。今後は、ますます「貯蓄から投資へ」の流れが加速することが予想されます。投資を始めたいと考えている人は、この機会に投資の扉を開いてみてはいかがでしょう。