初心者でもできる投資手法、株主優待投資とは?

初心者でもできる投資手法、株主優待投資とは?|リビングコーポレーション

 

株式投資のメリットのひとつに「株主優待」があります。最近は、株主優待を目的に投資を始める人もいるようです。今回は、初心者にもおすすめの投資手法と言われている、株主優待投資の基礎知識について解説していきます。



<株主優待とは?>

株主優待とは、株式を保有している企業が株主に対して、自社の商品やサービスの優待券(割引券や商品券)などを還元する仕組みです。

 

例えば、外食チェーンの企業の場合は系列店で使える食事券、食品メーカーの場合は自社の食品や飲料、テーマパークを運営する企業の場合はその入場券などです。

株主優待限定の品物を贈る企業や、株主のみが参加できるイベントを行う企業もあります。

 

また、株式の保有数量や保有期間に応じて優待内容が豪華になるものもあり、投資家は色々な条件の中から自分に合った株主優待を実施している企業を選ぶことができます。

 

株主優待は、実施している企業の株式を購入して、優待の権利が発生する日まで保有することで受けることができます。

企業側は株主に対して株主優待を実施することで、自社の株主やファン(ファン株主)が増えるメリットがあります。



<株主優待の実施企業数は?>

株主優待を実施している企業数は、全上場企業の約3割以上に当たる1200社ほどです。

株主優待を実施しているかどうかは、その企業のIR情報や証券会社の株式情報などから確認することができます。

また、証券会社の中には、株主優待検索(機能)が利用できるサイトも多いため、検索の方法としてこれを活用するのも良いでしょう。



<株主優待はインカムゲイン>

株式投資の利益には、値上がり益のキャピタルゲインと配当金や株主優待のインカムゲインがあります。

 

一般的に、株式投資ではこのキャピタルゲイン(値上がり益)が重視されがちですが、配当金や株主優待などの、より安定的・継続的に得られる利益(インカムゲイン)も株式投資の魅力のひとつと言えます。

 

株主に対して安定した配当や手厚い株主優待を実施する企業の株価は下がりにくい傾向があり、分散投資することでリスク回避にも繋がります。

また、購入した株式が値上がりすれば売買差益を得られる可能性もあり、株主優待投資はインカムゲインとキャピタルゲインの両方が期待できる投資手法となります。



<株主優待はいつ受けられる?>

企業が実施している株主優待や配当を受けるには、権利確定日に株主名簿に掲載されている必要があります。

権利確定日は、多くの場合、期末決算期の3月や中間決算期の9月に設定されますが、企業によって異なるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

株主優待の権利を得た場合、実際に受け取ることができるのは、権利確定から約3か月後が目安となります。



<権利確定日と権利落ち日について>

権利確定日は、配当や株主優待、株主総会への出席など、株主としての権利を得ることが確定する日です。

しかし、注意が必要なのは、権利確定日の1日だけ株式を保有しても株主の権利は発生しないという点です。

正確には、権利確定日の2営業日前の「権利付最終日」に株式を保有している必要があります。

 

「権利落ち日」とは、権利付最終日の翌営業日のことです。

権利付最終日に株式を保有していれば、配当や株主優待を受ける権利は確定しているため、権利落ち日には株式を売却する投資家が増える傾向があります。

 

通常、権利落ち日には、配当金と株主優待の価値を足した分の株価の下落が起こる可能性がありますが、これは理論的な話であり、市場全体や各銘柄の状況により値動きは異なります。

 

また、なかには配当金と株主優待の価値以上に下落してしまうケースもあるため、権利を発生させるかどうかを考える必要があります。

しかし、株主優待や配当金目的の投資は、一般的に中長期目線で行う投資であるため、継続的な成長が期待できる場合は、短期的な株価変動にはあまり一喜一憂しなくてよいと考えることもできます。



<株主優待投資は購入価格が重要>

配当利回りが高い銘柄や株主優待が手厚い銘柄は、その分購入したい投資家も多く、権利付最終日に向けて買いが集中し、徐々に株価が上昇する傾向があります。

 

そのため、株主優待だけを目当てに権利付最終日前に慌てて購入しようとすると、購入後に株価が下落し、高値づかみとなってしまう可能性があります。

 

このように、配当金や株主優待を目的としたインカムゲイン狙いの投資は、高い時期に購入し、配当利回りや優待利回り以上の株価下落が起こった際、損失になってしまうというデメリットがあります。

 

権利確定月が近いものを狙って購入を考えるのではなく、数か月単位で値動きを監視し、適切な価格で購入することが大切だと言えます。

優待内容に魅力を感じても、株価が割高だと思う場合には、購入を見送る判断も時には必要です。

 

一方で、株主優待目的で保有していた株式が想定以上に値上がりした場合は、一部を売却して利益を確定することで、その後の株価下落リスクを回避できることがあります。



<株主優待投資のデメリットとは?>

メリットが多い株主優待投資ですが、投資である以上デメリットも存在します。

配当金や株主優待のインカムゲイン狙いの投資全般に考えられることとして、配当額の減配や優待が改悪されるリスクがあるということです。

 

さらには、株主優待を実施する企業の業績悪化等が理由で、無配となったり、優待が廃止される可能性もあります。

 

このような場合、配当や株主優待を受けることを目的として株式を保有していた投資家は、一斉に株式を売却する行動を取ると予想されます。

その結果、期待していたインカムゲインが得られないばかりか、株価下落による含み損や損失確定をせざるを得なくなることも想定されます。

 

このように、配当や優待内容だけに気を取られてしまうと大きな損失に繋がるケースもあるため、注意が必要です。

普段から企業の業績動向を分析し、業績悪化傾向の銘柄は取引を控えることで、リスク回避に繋がります。

 

方法のひとつとして、配当と株主優待の両方を実施している企業にのみ投資するという選択肢もあります。

仮に株主優待が廃止された場合でも配当金は得られるため、損失拡大を抑えられる可能性があります。

一方で、株主優待のみで配当は実施しない企業に投資する場合の取引には注意が必要です。



今回は、株主優待投資について解説いたしました。株式投資では値上がり益ばかりが重視されがちですが、これを予測することは簡単ではありません。キャピタルゲインを継続的に得るには、投資スキルや経験、資金力が必要となってきます。一方で、株主優待は、一定の条件を満たせばスキルに関係なく誰でも権利を得ることができます。ただし、企業業績や株価の推移は随時確認が必要です。株主優待投資は、各企業の優待内容を比較しながら選ぶ楽しみも味わえるため、投資初心者にもおすすめの手法と言えます。まだ投資を始めていない人も、株主優待投資から始めてみるのはいかがでしょう。