FIRE達成者Kです。今回は、なぜ今FIREに注目度が高まっているのか、その理由を考察していきます。またFIRE達成までの考え方と目標設定の仕方を解説いたします。
<日本の収入の変化>
近年、日本では物価の上昇が話題になっていますが、海外の国に比べると物価上昇率はなだらかな傾向です。
主な先進国では、物価上昇率と同じような割合で賃金や収入が上がっており、生活水準自体が変わっていないとされています。
しかし日本では、会社員の賃金は物価上昇分ほど上がっておらず、社会保険料の増加などの要因で、手取り年収は減少傾向にあります。
加えて、超低金利政策が続いており、現在の銀行金利はメガバンクの普通預金で0.001%です。
私はお金を貯める方法は、収入を増やす、支出を減らす、投資で増やす、この3項目しかないと考えています。
現在の日本では、収入は増えず、支出は増え、預金していてもお金はほぼ増えない時代のため、投資に目を向けざるを得ない状況があると思われます。
投資においてのゴール設定は人それぞれですが、その中のひとつである「FIRE」が、今の時代背景や経済状況により、注目されているのだと思います。
またFinancial Independence Retire Early の頭文字を取り「FIRE」という語呂の良さも、メディアを中心に取り上げられる要因になったと思います。
<ライフスタイルの変化>
「経済的自立での早期退職」いわゆるアーリーリタイアは、従来、充分な資産の中で労働しなくても悠々自適な生活を送ることができるという、ごく限られた富裕層の人だけが達成できる事でした。
しかしFIREは、形成した資産を元にして、投資などの収入を得ながら、生活費やライフスタイルを見直し、場合によっては少しの労働や副業をしながら、収入>支出の状態を作り上げることであり、そのハードルが下がった印象を持つことができます。
FIREは、インターネットの普及により情報化社会になったことと、収入源の多様化などにより誰でも目指せるようになったことも、注目されている理由だと思います。
以前の日本社会は、年功序列、終身雇用制度の考え方があり、同じ会社に長く勤めていれば、自動的に給料が上がり、立場も上がっていくと考えることができました。
普通に会社に勤め続けることで、将来の収入をある程度予想することが容易にでき、それを基にライフプランを立てることが可能でした。
しかし、その制度はほぼ無くなり、仕事や働き方に対しての考え方も変化していきました。
時代と共に会社や仕事を中心にした考え方から、個人のライフスタイルに重きを置く考え方に変わっていった印象があります。
同時にお金に関する価値観も変わり、自分らしく生きる、分不相応な買い物をせず本当に必要な物だけ所有すると言った、生き方の多様性が社会に広がっていきました。
このような生き方は「ミニマリスト」と呼ばれており、FIREの考え方と親和性があり、アメリカではFIREはミニマリストに近いライフスタイルと言う見方も強いようです。
またコロナ禍で、巣ごもり生活やリモートでの仕事を体験する中で、働き方や通勤の概念が社会全体で変化した部分もありました。
これがきっかけとなり、自分の働き方や人生を見つめ直し、FIREを目指す人も増えているようです。
<FIRE達成への準備と考え方>
目標を達成するには、ゴールまでのマイルストーンを作成し、何年後までにこうなりたいという具体的な数値を盛り込んだ計画を立てることが大切です。
この目標設定への準備段階で、現実的で達成可能な数値目標を立て、良い準備をすることがFIRE達成への第一歩になります。
達成までの年数を短くしたいために、現実的ではない無理な目標設定にしてしまうと、早い段階で目標と結果が乖離してしまい、やる気が無くなって断念してしまうことになりかねません。
また、FIRE達成までの考え方で、経験上、重要だと思うことは「FI(経済的自由の獲得)」と「RE(早期退職)」は切り離して考えたほうが良いということです。
多くの人は「RE」したいために、「FI」を目指す考え方の傾向があります。
今やっている仕事が合っていないことで、そこから退避したい思いが強くなり、「RE」することだけを重点的に考え、結果を焦ってしまうと、肝心の経済的自立の部分が達成されていない段階での退職となります。
この状況では、未だ完全なFIREとは言えず、経済的な理由から継続性に疑問が出てきてしまいます。
私はFIRE達成とは、一時的な早期退職ではなく、退職後に思い描いたライフスタイルが長期間に渡り、持続可能な状態にあることだと認識しています。
退職後、短期間で経済的な理由により、FIRE生活の継続が困難になる確率が少なくないと考えられる場合は、充分な「FI」が達成できていない可能性が高いと言えます。
一方で、「FI」の達成を重点的に考えた場合、計画が想定したマイルストーン通りに進捗していなくても、計画を変更すれば良く、自身の状況や市況に合わせて目標設定の修正をしていくことができます。
また目標金額に到達し、「FI」が達成できる段階になったところで、実際に「RE」するかどうかを検討することができるメリットもあります。
人の考えは数年経てば変わる場合が多く、現在の職場環境や家庭環境も大きく変化しているケースもあるため、もう一度考え直せることで正しい判断ができる可能性が高くなるからです。
FIを達成して、仕事を続けるか退職するかをこちらで決めることができる状況は、今後の面で、大きく優位に立っている状況と言えます。
FIREできる状況にあっても、実際にFIREをしてもしなくてもよく、その時の自身や周りの状況により決定すればよいと思います。
<FIRE達成までの時間>
FIRE達成は、基本的には長い時間が必要です。
10年から長い場合には30年後の達成を目標にしている人もいると思います。
達成を焦って、短期的な売買益を追求する投機的な取引をすると、上手くいって大きく資産を増やした場合、FIRE達成への時間は短縮できますが、逆に大きく資産を減らしまうと、1回の取引でFIREを断念せざるを得ない状況になりかねません。
FIRE達成までの過程も楽しめる人が、FIREを目指すことに向いていると言えます。
<FIREを目指すメリット>
FIREは近年、ますます注目度が上がっていますが、誰もが達成できるものではありません。またFIRE達成後の生活にも適合できる人とそうでない人がおり、向き・不向きがあるライフスタイルと言えます。
しかしFIREに関心を持ち、お金や仕事、生活について考え直してみることで、将来的に豊かになるきっかけとなる可能性があります。
FIREは経済的な自由を獲得するための行動であり、資産形成と深い関わりを持っています。
FIREを知ったことで、資産形成を始めてみようと決心する人もいるでしょう。
従来の資産形成は、退職後や老後の生活の資金のためという目的がありましたが、リタイア自体を早めようと考えた行動がFIREと言えます。
色々な考え方の人がいて、それぞれが持つ多様性を受け入れる社会に少しずつなっている中で、FIREへの注目度が上がってきている印象があります。
FIREを目指さなくても、自身のお金やライフスタイルについて見つめ直すことで、より良い人生のきっかけとなるかもしれません。