投資には様々な種類があり、投資は危険でギャンブル的なことだと考える人は少なくないです。おそらく「投資」と「投機」の違いを認識していないことが原因だと思われます。今回は「投資」と「投機」の違いと、それぞれの考え方を解説していきます。
<投資とは?>
投資とは資金を投じることにより、資本や資産を増やす目的の行動を指します。
投資は、国や会社が投資先の場合は、その社会活動に貢献でき、社会や経済が発展した際には、利益として享受できる可能性があります。
株式投資であれば、その企業の持つ価値が将来成長することを期待して、中・長期の目線で株式を保有するという考えです。
この保有期間には、売買による利益と共に、配当や優待による利益も期待できます。
つまり、投資には売買差益によるキャピタルゲインと、配当収入などによるインカムゲインの両方を受けられる期待があります。
中長期目線で資金を投じることで、少しずつ資産を増やしていくことが投資の特徴と言えます。
余剰資金を投資することにより、数十年後に豊かになることや、老後資金に備える意味でも投資は活用されています。
<投機とは?>
投機とは一般的に、短期間での価格変動で利益を得る目的のみで資金を投入することです。
国や企業などの長期的な成長に期待する面ではなく、その瞬間や短期的な視点でマーケットが反応する値動きを予測し、その動きに合わせて売買を行うことを指します。
投機を行うメリットは、短期的に大きな利益が期待できる点です。
数時間や、時には数秒の値動きの波に乗ることができれば、一日で資産を大きく増やすことも可能です。
その反面、デメリットは、数時間や数秒で大きな損失も考えられる点です。
投資においては、リスクとリターンはトレードオフの関係性にあり、ローリスク・ハイリターンな取引はほぼ存在しないと考えて良いでしょう。
ハイリターンを追求する取引には、大きなリスクがあることを正しく理解してトレードすることが大切です。
<投機の種類とは?>
投機の種類は株式投資では、流動性が高く、1日の売買高と価格変動幅が大きい銘柄が対象になりやすいです。
また個別銘柄で大きな材料による急騰や急落がある銘柄、噂や思惑による活発な売買により、値動きが激しくなっている銘柄も投機対象になる場合があります。
これらの銘柄の参加者は、その企業が持つ将来的な価値を判断して取引しているというよりも、超短期的な値動きでの売買差益を狙ってトレードしている場合が多いため、株価の急騰急落が起こりやすい状況となります。
短期間に大きな利益を得られる可能性と、大きな損失になる可能性、両方を秘めており、初心者には難易度が高い取引とも言えます。
FXや先物も同様な状況があり、運の要素も関係するため、リスクが高いトレードと言えます。
こういった投機的なトレードを行う場合、最も気を付けないといけない点は、資金管理です。
株式の信用取引やFXなどの証拠金取引は、資金にレバレッジをかけ、自身の持つ資金の数倍の取引が可能になるため、資金のほとんどを短期間で失うことや、最悪の場合自己資金以上の損失を被る可能性があることを理解し、リスク許容度を考えた上で取引することが重要です。
<投機はギャンブルなのか?>
投機の危険性を解説いたしましたが、投機はギャンブルと比較されることもあります。
ギャンブルとは、賭博や博打と表現される行為です。賭博とは、お金や金品を賭けて勝負をすることです。
ギャンブルの特徴は、参加者の間で必ず勝者と敗者が存在することです。
またその勝ち負けの条件は、運により決まることが大きな特徴です。
ギャンブルにおいて、経験による優位性はある程度あるものの、経験や研究を続けることにより、勝率が上がることや、負ける回数を減らすことは基本的にはできないと考えられています。
運が良い人が勝ち、運の悪かった人は負けるということがギャンブルです。
自分自身でコントロールできる要素がほぼ無く、自分の手を離れている状態で運に点を任せることがギャンブルの特徴と言えます。
また胴元と呼ばれる主催者がいることもギャンブルの特徴のひとつです。
主催者は参加者から集めたお金から運営料や手数料を差し引き残った分を、的中者や勝者に分配する仕組みです。
つまり、還元率が低く主催者には必ず儲かり、運の良かった一部の人だけが勝ち、残りの大多数の人は負けてお金が減るという構図になります。
これらのギャンブルの特徴と投機を比較すると、投機はギャンブルと同じであるとは言い切れません。
しかし、投機は場合によっては運の要素による勝ち負けとなるため、近い部分もあると言っても良いかもしれません。
投機の参加者はある程度、運の要素が強いことを承知の上でトレードしているのならば、それはギャンブル的な行為と認識して行っているケースもあります。
投機は完全にギャンブルではないものの、運の要素が強くギャンブルに近い行為になる場合も少なくないと言えるでしょう。
<投資と投機の関係性>
では投資と投機には完全な境目があるかと言うと、そうではありません。
投資は良くて、投機は悪だと考えることも完全に正しいとは言いきれないと思います。
しかし、資産形成を始めるうえで、「投資」と「投機」の違いを正しく理解することは重要なことです。
投機は運の要素が強いため、中長期での資産形成には向いていません。
投機で常に勝つことを何かに例えるとすれば、サイコロで奇数を出し続けることに近いと思います。
特殊な能力を持った人以外は、投機で資産形成をすることは不可能であると認識されています。
中には投機的なトレードにより継続して利益を出している人もいますが、彼らの手法を真似したところで同じように利益を受けられるとは限りません。
資産と時間に余裕のある人は別ですが、投資初心者や少しの豊かさを目指している人は、敏腕トレーダーを目指すのではなく、地道な投資を心がけたほうが資産形成に繋がると言えます。
またSNSの一部には、敏腕トレーダーを謳った投稿があり、この内容を鵜呑みにし、同じポジションを取ることは危険度が高い行動と言えます。
資産形成には、投資による中長期目線の資金と投資時期の分散が必要と考えられています。
投資先の将来的な成長により利益を享受でき、国や社会と共に自身も豊かになることが投資の特徴です。
<自身の投資スタイルを持つことが重要>
もし株式やFXなどの短期的なマーケットの価格変動を読むことが得意な人がいれば、それを追求し資産を増やしていけば良いと言えます。
これは投機であるため、良くない行為とも言い切れません。
大切なことは、自身に合った投資のスタイルを見つけることだと思います。
自分に適した投資を継続的に続け、将来的な豊かさに繋がればそれが正しい投資手法と言うことになります。
自分のライフプランや資金状況に合わせ、適切な投資行動を考えて実践することが、資産形成の第一歩になるのかもしれません。
今回は「投資」と「投機」について解説してきました。投資を正しく理解し、中長期的に少しずつ資産を増やしていくことを考え、自身の環境に合った投資手法を見つけてみてはいかがでしょう。