資産運用に興味があり始めてみようと思っていても、その知識と経験が少ないため、投資の世界への一歩を踏み出せない状況の人も多いと思います。今回は、今、資産運用が注目される理由と、投資の基本的な考え方を解説していきます。
<貯蓄から投資への流れ>
最近は物価の高騰が話題になっていますが、その分だけ給与が上がれば生活水準を保つことができますが、そうではない状況です。
サラリーマンの収入は長い期間においてほぼ横ばいで、社会保障費は上がっているため、手取り収入は減少している傾向です。
また年金の問題もあり、将来的な老後の生活に不安を覚える人も多くなってきています。
老後の生活資金を年金だけで考えると、最低限度の生活はできるかもしれませんが、余裕のある老後は難しいという見方もあります。
このような社会背景から「貯蓄から投資へ」という考えが広がり、資産運用を始めてみようと思う人が増えていると思われます。
<継続的な超低金利時代>
現在、主な銀行の金利は普通預金であれば0.001%、定期預金でも0.002%です。
100万円を1年間預けた場合、10円~20円を利息として受け取れます。
1億円預けていても、1年間で1000円~2000円しか利息がつきません。
つまり今は、銀行にお金を預けていてもお金はほぼ増えない低金利時代です。
銀行に預けたお金は余程のことが起こらない限り、元本が棄損することが無いと考えることができ、これは日本の銀行預金制度のメリットと言えます。
しかし、もっとお金を増やしたいと思う場合は、余剰資金を投資に回すことを検討するべき時代と言えます。
<資産運用の基本は「分散投資」>
投資は元本保証ではないため、一時的に元本を割り込むリスクがあります。
投資においては、ローリスク・ハイリターンな商品はほぼ存在しません。
一方、銀行預金はローリスク・ローリターンと捉えることができ、リスクとリターンはトレードオフの関係にあると言えます。
投資のリスクを低減するためには、「分散投資」が必要と考えられています。
次からは、分散投資の内容を解説していきます。
・投資商品の分散
投資商品にはそれぞれメリット・デメリットがあり、価格変動条件や変動幅が異なります。
各商品の特性を理解し、資金を複数の商品に分散することで、全体のリスクを低減することが期待できます。
株式の個別銘柄や為替などは、一日に大きく変動する場合があり、一つの商品に集中投資した場合、資産の増減が激しくなります。
初心者の場合、数日で資産全体の10%以上が含み損となった際には、なかなか受け入れることができず、正常な判断ができなくなるケースもあります。
投資商品の分散は、価格変動が激しい商品と比較的変動が少ない商品、または価格変動がない商品と組み合わせてポートフォリオを作ることで、リスクを抑えリターンを狙うことが期待できます。
・投資時期の分散
複数の商品や銘柄に資産を分散する際、購入する時期をずらすことで平均購入価格の平均化に繋がります。時間を分散させるという投資戦略です。
価格変動がある商品の場合、上昇や下落にはトレンドがあり、中長期での積立てを行うことで購入時期と購入価格が分散されます。
複数の異なる商品でも同じ時期に集中的に購入してしまうと、全て同じ方向に価格変動が起こってしまうリスクがあります。
このリスクを低減するため、少しずつ時期をずらして購入することが効果的です。
投資前に自身の投資可能資産額を把握し、計画的に購入していくことで不確実性を少なくすることが期待できます。
・投資対象地域の分散
株式投資や投資信託の中で、投資対象国は日本だけでなく、アメリカやヨーロッパなどの全世界銘柄に投資することで投資対象地域の分散ができます。
また投資国を分散することは、通貨の分散にもなり、為替変動リスクを低減することができます。
日本、アメリカ、ヨーロッパの3つの投資対象国の商品を保有した場合、円建て、米ドル建て、ユーロ建てと3つの異なる通貨で投資していることになり、投資対象地域の分散と通貨の分散となり得ます。
運用する通貨を外国の通貨にすることで、投資商品の価値に加え、為替変動の恩恵を受ける場合があり、この面でもリスクヘッジできていると考えることができます。
<自身の投資の目的を考える>
資産運用の目的は、自身の持つ資産の一部を投資に回し、リスクを低減しながら効率よく資産を増やすことです。
投資の目的は同じですが、目標とするゴールは人それぞれです。
億単位の資産形成を目指す人、FIREを達成し経済的自由を得て早期退職を考えたい人、今ある資産から少し増えればよいと考える人など、人により様々なゴールがあると思います。
投資前に、いつまでにどのくらい資産を増やしたいかを考え、それに向けてのマイルストーンを描くことで、目標を明確にすることができます。
あまりに現実離れした高い目標ではなく、実現可能で達成への道のりを楽しめるような計画を立てることが好ましいです。
投資を始める前にこのような計画を練ることで、どのような商品をいくらくらい購入すればよいのか想像でき、良い準備をすることで目標達成の確率も高まると思います。
資産運用を始めてからマイルストーンを検証した時に、想定通りにいっていないことも出てくると思いますが、その都度、検証し修正していけば目標に少しずつ近づけるはずです。
計画通りにいかないからと言って焦ってしまうと、計画になかった無理な取引をして、大きく資産を失う結果になることもあるため、長い目でじっくりと資産運用することを心がけることが大切です。
<資産運用のメリットとは?>
資産運用の最大の目的はお金を増やすことですが、それ以外にも始めるメリットは多くあると考えます。
それは、投資を始めることで、お金に関する知識や経験を身につけられることです。
株式投資や投資信託を小額からでも始めた場合は、自身の投資した商品がどのような理由で価格変動したか、その理由が気になるはずだと思います。
新聞やインターネットで経済やお金に関するニュースなどを見聞きする機会が増え、知らず知らずのうちに以前よりお金に対しての知識が高まる可能性もあります。
また自分のお金を資産運用することで、実際に投資を体感することができ、その中で得た経験は本や新聞を読んでいるだけでは身につけられない体験だと思います。
実際に投資して得た成功体験と失敗体験は、すぐに次の投資機会に活かすことができ、初心者から中級者、やがて投資上級者へ成長することができる点も投資のメリットのひとつと言えます。
資産運用を始めることで、マネーリテラシーが向上し、日常生活でも効率的な考え方になり、支出が最適化できる期待もあります。
お金の知識が付くことで、収入を上げ、支出を少なくし、投資で増やすという良いサイクルに至れる可能性があり、結果的に生活が向上する人も多くいると思います。
資産運用を始める最適な時期は、投資をしてみようと思い立った時です。
少しでも早く始めることで、時間を味方につけることができ、その分だけ優位になると考えることができます。
この機会に投資の世界への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょう?