投資には色々な方法があり、それぞれに特徴があります。自分に向いている投資商品を見つけることも重要と言えます。今回は、近年注目度が高まっている不動産クラウドファンディングの特徴から、どのような人が向いているのかを解説します。
<不動産クラウドファンディングとは?>
不動産クラウドファンディングとは、ファンド運営事業者がインターネットを通じて複数の投資家から出資を受け、現物不動産を取得・運営します。
この物件から得られた賃料収入(インカムゲイン)や物件の売却による利益(キャピタルゲイン)を投資家に分配する仕組みです。
近年、不動産クラウドファンディングを運営する事業者には、上場企業やそのグループ会社が参入しており、透明性と安全性が高まってきています。
また、ファンドの対象物件の選定、運用・管理は、不動産のプロである事業者が行うため、少額から手軽に不動産投資を体験できることも不動産クラウドファンディング投資のメリットのひとつです。
<不動産クラウドファンディング投資に向いている人とは?>
不動産クラウドファンディング投資には、どのような人が向いているのでしょう?
次からは項目ごとに解説していきます。
・少額から投資を始めたい人
従来の不動産投資は歴史もあり、安定した収益が得られる投資手法ですが、物件の購入には多額の初期費用が必要で、どちらかと言うと富裕層向けの投資という見方もあります。
2017年に不動産特定共同事業法が改正され、個人投資家でも不動産クラウドファンディングを通じて、少額から不動産投資を行えるようになりました。
不動産クラウドファンディングのファンドは、事業者により1口1万円から投資が可能で、資金の少ない人でも気軽に不動産投資を体験することができます。
事業者への口座開設、投資家登録には手数料などはかからず、ファンド投資後にも維持に関する手数料はかかりません。
個人ではなかなか投資できないような高級物件にも、不動産クラウドファンディングの仕組みにより小口化されたことで、少額から投資ができるようになりました。
資産運用を始めたくても、株式投資にはそれなりの資金が必要でためらっている人も少なくない中、不動産クラウドファンディングを活用し1万円から不動産投資ができることは大きなメリットと言えます。
・投資後に手間をかけたくない人、時間のない人
従来の不動産投資は不動産の購入前に、情報収集や不動産仲介会社などとのやり取りも多く、不動産に関する専門的な知識が必要な場合があります。
また、購入後も物件の管理や空室が出た際やトラブル対応など、かなりの時間と手間がかかるケースもあります。
一方、不動産クラウドファンディングにはこのような手間がなく、投資した後の管理が必要ではありません。
ファンドに応募し、実際に運用されるまで、すべてインターネット上で完結できます。
対象物件の選択から運用は、不動産のプロである事業者が行いますので、投資後は運用終了まで待つだけの投資となります。
株式市場などマーケットを監視する時間がない人、普段は仕事などで忙しい人にも向いている投資手法と言えます。
・価格変動に一喜一憂したくない人
不動産クラウドファンディングには価格変動がないことは大きな特徴と言えます。
株式投資や為替取引、比較的リスクが低い債券投資でも価格変動があります。
マーケットが不安定になると価格変動幅が大きくなり、1日で10%以上変動することも珍しくなくなっています。特に株式投資の個別銘柄は、決算や個別要因により大きな変動を伴う場合があります。
例えば、100万円投資している個別銘柄が10%下落した場合、評価額は90万円となり、含み損は10万円となります。これが連続した場合、短期間でマイナス40%ほどになるケースも少なくありません。
投資経験が豊富で大きな価格変動に慣れている人は気にならない場合もありますが、投資を始めたばかりの初心者だと、夜も寝られなくなるくらいに大きな不安と心配な気持ちになることも考えられます。
このような状態になると、投資が辛くなり、やらなければ良かったという後悔も出てしまうかもしれません。
投資において心理的な要素は大きく、不安から冷静な判断ができなくなり、普段はやらない取引をして、大きな損失を出してしまう場合もあります。
不動産クラウドファンディングには価格変動がないため、投資した後に大きな値動きに振り回され、精神的に疲れてしまうことがありません。
また株式投資など価格変動幅の大きい商品と組み合わせることで、分散投資にもなり得ます。
投資はしてみたいけど、毎日の価格変動に一喜一憂はしたくないと考える人には、不動産クラウドファンディングは向いていると言えます。
・資産を守る投資をしたい人
株式投資や為替取引は、一般的にハイリスク・ハイリターンの投資手法として認識されています。
一方、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資手法とされており、不動産投資に近い商品の不動産クラウドファンディングもミドルリスク・ミドルリターンの投資と考えることができます。
資産を大きく増やしたいと考える人が、リスクはあっても大きな利益が期待できる投資手法に挑戦することは悪いことではないと思います。
この場合に大切なことは、自身のリスク許容度を知り、短い期間で大きな利益を得られる可能性があることは、反面、短期間で大きな損失になる場合もあることを理解したうえで取引することです。
投資の目標は人それぞれですが、資産を守ることに重点を置いた投資を考える人には不動産クラウドファンディングは向いていると言えます。
短期間に大きく資産が増える期待値は低いですが、不動産クラウドファンディングのファンドは、あらかじめ想定利回りと運用期間が決まっています。
ファンドが想定通りに運用できた場合に、いつ、どれだけ、分配と元本償還が行われるかを投資前から知ることができます。
これにより、資金管理と計画が立てられ、償還後の資金を再投資に回すこともできます。
今は銀行に預けておいてもお金が増えにくいことから、余剰資金の中で堅実に資産運用したいと考える人には、不動産クラウドファンディング投資は向いていると言えます。
・将来的に現物不動産投資を考えている人
将来的に現物不動産投資をしてみたいと考える人は多いと思いますが、資金や知識面でのハードルが高く、手軽に始めることが難しい問題があります。
このような人は、まず不動産クラウドファンディング投資で不動産投資の体験をし、流れや専門的知識を勉強しながら、現物不動産投資へ挑戦することも可能です。
不動産クラウドファンディングを運営する事業者は、現物不動産投資事業を手掛けている会社が多く、充分なノウハウを持つため、お気に入りの事業者が見つかった場合はその会社で不動産投資を始めることもできます。
今回は不動産クラウドファンディングの特徴と、向いている人について解説いたしました。不動産クラウドファンディングは、まだ歴史の浅い投資手法ですが、不動産事業に実績があり社会的信頼もある上場会社やそのグループ会社が参入し、安全性と透明性が高まっている印象があります。少額から不動産投資が体験できるなど様々なメリットがあるため、この機会に不動産クラウドファンディングを検討してみてはいかがでしょう。