投資にはリスクは付き物で、上手くいくときもあれば、時には損をしてしまうこともあります。実際に投資で大きな損失を出してしまった人も少なくないと思います。今回は損失が大きくなる事例を考察し、できる限り損失を回避する方法を解説していきます。
<いつ大きな損失が発生するのか?>
基本的に大きな損失が出る時は、想定を上回る大きな価格変動があった時です。
価格変動幅(ボラティリティ)が大きくなると、利益も損失も増える傾向があります。
指数はマーケットが不安定な時、個別銘柄は大きな材料が出た時に価格変動幅が大きくなる傾向があります。
例えば個別銘柄の場合には、決算発表後やその会社に影響する事件や事故があった時に、大きな価格変動を伴う可能性が高くなります。
最近は大型銘柄でも1日で10%以上の変動が起こる場合もあり、このことを想定したうえでポジションを取ることが大切です。
<暴落は避けられない事柄>
マーケットはまれに暴騰と暴落があり、これは市場を歴史的に見ても避けることができない事柄と言えます。
2000年代のマーケットの暴落の例としては、2000年のITバブル崩壊、2001年の同時多発テロ、2007年のリーマンショック、2020年のコロナショック、2022年のウクライナショックなどが挙げられます。
どれも事前に予測することは難しく、投資家や市場がパニックになり想定以上の下落が記録されたケースになります。
このような暴落の時に、多額の買いポジションを保有していたら、直接影響を受け大きな損失になってしまったはずです。
暴落の後にはマーケットは復調するケースが多いですが、これを待てずにロスカットせざるを得なかった人も多いと思います。
このようなショックの影響を軽微にするには、いつも適切なポジション量を取ることが重要です。
過去の変動例を検証し、最大で何%ほど下落を記録したかを知ることで、暴落が起こっても
乗り越えられる可能性があります。
常に最悪の事態を想定したうえで取引することが大切と言えます。
<よくある失敗パターンとは?>
市場全体の要因が損失に繋がるケースは多いですが、投資家それぞれの取引手法やメンタル面により失敗してしまうパターンもあります。
次からは大きな損失になりやすい取引や行動を挙げていきます。
・レバレッジ取引
自身が保有する資産よりも大きな取引をすることをレバレッジ取引と言います。
株式投資の信用取引、FXや暗号資産、商品先物などの証拠金取引がレバレッジ取引の代表例です。
少ない資金でも短期間に効率良く資産を増やせるチャンスがある一方で、リスクマネジメントがされていない場合、わずかな時間で大きな損失を被る危険性があります。
現物株式の場合、最大の損失は購入金額までとなりますが、信用取引や証拠金取引は、最悪の場合自己資金以上を失う可能性があることは理解した上で、取引しなければなりません。
また、レバレッジ型投資信託にも注意が必要です。
レバレッジ型投資信託は最近SNSやインターネット上で話題を集める商品です。
投資信託の種類には入りますが、一般的な投資信託とは性質が異なり、値動きが急激になる場合も多く、大きな損失になる可能性があります。
一般的な投資信託は、中長期の積立て投資に最適な金融商品で、投資初心者でも始めやすい特徴があります。
一方、レバレッジ型投資信託は、特定の株価指数に連動するように運用されるファンドで、この株価指数連動にレバレッジがかかっており、2倍や3倍の連動率になるように設定されている点が特徴です。
利益が2倍3倍と加速するのは良いですが、損失も倍になる可能性があることをしっかりと理解した上で投資を行う必要があります。
・SNS情報を鵜呑みにした取引
最近はSNSなどインターネットによる情報収集が簡単にできる時代です。
投資情報に関しても同様で、経済新聞や経済ニュースを見なくても、SNSを通じて簡単に入手可能となりました。
ネットには有益な情報もありますが、中には買い煽り、売り煽りと言われるポジショントークの意味合いが強い発信もあり、これらを鵜呑みにして取引してしまうことはハイリスクな投資手法になる可能性があります。
また話題の銘柄や急騰・急落しているリスクの高い銘柄を推奨している情報発信には注意が必要です。
「絶対に上がる」「今後倍になる」など極端な表現で煽るような発信を信じることは危険で、大きな損失を被る可能性があります。
必ず自分で考えて判断するようにすれば、この失敗は防げるため、普段から投資判断の基準やルールを明確にすることが大切です。
・損失を取り戻そうとする取引
一般的に人は、少しの利益は受け入れることができますが、損失に関しては受け入れることが難しいとされています。
1000円の利益確定はできても、1000円のロスカットは実行することができなかった経験がある人も多いのではないでしょうか。
損失確定が出来ず、その後含み損がなくなれば良いのですが、より損失が増えてしまうケースも多いと思います。
この場合、金銭的な損失と損失を早めに確定させることができなかった後悔が重なり、より悔しい気持ちになってしまいます。
この反省を冷静に受け止めて、次の取引に活かせれば良いのですが、それも余程の経験がない限りは簡単に切り替えることは難しい面もあります。
「早くこの損失を取り戻したい」と思い、熱くなって本来はしない取引をしてしまうこともあります。
普段ではやらないハイリスクな銘柄の取引、自身のリスク許容度を超えた大きなポジションを何度も繰り返し取ってしまい、その結果、大きな損失を被るという最悪なケースになる場合もあります。
このように人間の行動は、投資においてもメンタル面にも大きく影響します。
普段は冷静な人も、少しの損失が出たことにより、自身を制御できなくなる場合もあります。
投資で一番やってはいけないことは、一回の取引で資産のほとんどを失う取引だと考えます。
このような取引をしてしまうと、そのまま市場から退場せざるを得ない場合もあります。
マーケットは期間限定ではなく、いつも開いています。
市場に継続的に参加できる資金とメンタルを持ち続けることで、成功に繋がる可能性があります。
熱くなって自分を制御できなくなる前に、一旦落ち着くことが大切です。
そして、もし負けが続いているようであれば、その銘柄や商品を取引しないことも重要となります。
「休むも相場」という有名な相場格言があるように、常にポジションを取ってしまうことには大きなリスクがあります。
損失の確定をすることが苦手な人は、逆指値注文を常に入れるようにし、機械的に損失額を限定するようにすれば、再起不能となるような大きな損失は回避できます。
投資において、ロスカットは必要経費と考え、冷静に行動することが重要です。
今回は、損失が大きくなるパターンからその回避方法を解説してきました。今は成功している有名な投資家でも必ず失敗した経験があると思います。投資に失敗はつきものです。失敗を検証し、次に活かすことができれば成功にも繋がりやすく、長く市場に参加することで優位になる可能性もあります。