公売物件って実際どうなの?競売物件との違いやメリットデメリット

公売物件って実際どうなの?|リビングコーポレーション

不動産物件の購入を考える際、公売物件というワードを目にすることがあるでしょう。それとよく比較されるものとして競売物件というものもあります。今回は公売物件について競売物件とも比較しながら解説していきます。

 

 

知っておきたい、公売物件とは?

公売物件とは、税務署や国税庁、役所などが販売を行う物件のことです。固定資産税や年金、国民健康保険税などの滞納が続くと所有している資産を差し押さえられることがあります。

 

差し押さえられても滞納分の税金を納めることができなかった場合に売却されるのが、公売物件です。公売物件は、建物の所有者が滞納した税金を回収する目的で販売を行います。そのため、不動産会社のような仲介業者は一切間に入りません。その分、通常の売物件よりも手数料がかからないという特徴があります。

 

また、建物自体も通常の相場よりも安く設定されていることが多いのも特徴の一つです。ただし、何らかの瑕疵があっても補修されることはなく、基本としては現状のままで売り出されることになります。

 

中には前の住人が納得できずに住み続けていることもありますが、代金の支払いができれば法的に所有権を取得することに何ら問題はありません。

 

購入時に住人の立ち退きや荷物の搬出が済んでいないときには、その後直接話し合いを行う必要が出てくるでしょう。

 

公売物件購入はローンで支払える?

 前述したように、公売物件として販売する目的は滞納した税金分を回収することです。そのため、基本的には分割での支払いには応じてもらえません。公売物件の購入は、一括または現金での支払いが前提になります。

 

ですから、公売物件の購入を考えるときは事前に現金を用意しておきましょう。理想的なのは、購入が可能なだけの預貯金が用意できることです。不足するような場合は、あらかじめ補填できる手段について考えておく必要があります。

 

公売物件を購入するには入札に参加するのが一般的です。公売情報は税務署や国税庁、または市区町村のホームページなどで公開されます。

 

購入を希望する場合は掲載されている情報をもとに入札を行いますが、入札後に価格を変更することは原則としてできません。しかし物件によってはオークション方式が採用されている場合もあるために確認が必要です。

 

さらに公売物件を落札するにはまとまった現金が必要です。というのは、落札の際には保証金として2割の金額、その後すぐに8割の金額を現金で支払わなくてはならないからです。仮に残りの8割の金額が支払えなかった場合は保証金さえ戻ってきません。

 

自分が支払える額をあらかじめ決めておくことも大切になってきます。融資を受けることも可能ではありますが、先に現金決算をした後に融資をしてもらう、バックファイナンスの形となります。

 

支払いまでの期間がかなり短いこともあり、購入が決定してから現金が用意できないという失敗を回避するには、あらかじめ金融機関に相談をし、余裕を持って購入費用の用意ができるように融資が受けられる準備を整えておくことも手段の一つです。

 

競売物件と公売物件はどう違う?メリットとデメリット

 説明したように、公売物件は税金の滞納によって差し押さえられた物件が対象です。これに対して競売物件とは、住宅ローンなどの債務不履行によって差し押さえられた物件のことで、オークションなどで購入者が決定されます。

 

競売物件は、住宅ローンを滞納した際の担保として設定されているため、金融機関によって販売されます。公売物件と競売物件は、販売を行う機関が異なるというだけで、いずれも滞納による差し押さえ物件であることに変わりはありません。

 

そのため、一般の売物件と比べれば安く購入できるという点が共通のメリットです。仲介手数料がかかることがなく、建物や土地だけの価格で手に入れることができます。また、前の住人が住み続けたいという場合には賃貸することで資産運用が可能な点もメリットといえるでしょう。

 

しかし、建物の傷みがあれば修繕費用などが購入者の自己負担になるというデメリットがあります。また、マンションの場合、前の所有者が修繕費や管理費まで滞納していると、購入者が不足分を補填しなければなりません。

 

公売物件のトラブル、リスク回避と対処法

 公売物件は、通常の売物件よりも安い価格で購入しやすいという反面、購入後のトラブルが多いというのも事実です。まず、トラブルの一つとして前の住人がなかなか立ち退きに応じないことがあげられます。

 

住人自体が立ち退きを済ませている場合でも、荷物が残されている場合もあります。荷物が残っていたり建物に傷みが見られたりすれば、買主が自分で対応しなければなりません。リースバックという、所有者が変わっても物件の賃貸を代わりに行うことによって住み続ける手段があります。

 

入居者がその要求をしてくる可能性もありますが、それ自体は悪いことではないため、検討してみても良いでしょう。購入前に建物の情報を把握しにくいことも、公売物件で注意しておきたいトラブルの一つです。

 

公売物件は不動産会社などを通さない分、間取りなどの細かい情報は提供されないのがデメリットといえます。前の住人が住み続けている場合は内覧ができないことも多く、建物の状態を把握することが難しいでしょう。

 

仮に内覧できたとしても、生活用品がそのまま置かれた状況では建物の細かい部分まで見ることはできません。そのため、リスクを回避するには購入前に自分で少しでも多く情報を得ることがポイントです。そして、できるだけ住人の立ち退きが決まっている公売物件を購入しましょう。

 

また、競売や公売は急に取り消しや取り下げがなされることもあります。せっかく事前の準備をしていたのにも関わらず残念な場合もあるので可能性として把握しておきましょう。

 

公売物件で立ち退きしてもらうための手順

 公売物件を購入できても、前の所有者がそのまま居住を続けていることもあります。そのような場合でも、市区町村や税務署などは立ち退きについて関与はしてくれません。通常は前の所有者と購入者との話し合いになります。

 

競売物件は「民事執行法」に基づいて競売が実行され、裁判所から「引渡命令」を出してもらうことが可能です。しかし、公売物件は「国税徴収法」に沿って販売されるという性質上、このような「引渡命令」は行使できません

 

だからといって、公売物件は前の所有者が自ら立ち退きするまで待たなければいけないということではありません。交渉に応じてもらえれば早めに建物を開け渡してこらえることもあります。

 

交渉には、弁護士を介入させるのも一つの手段です。所有者がなかなか立ち退いてくれないときは、裁判立ち退きについて申し立てを行うことも考えられます。競売物件のように裁判所がすぐに「引渡命令」を出してくれるわけではありませんが、裁判をすることで立ち退きに応じてもらえる可能性は高いといえます。

 

まとめ

今や公売物件や競売物件についての書籍やセミナーもあるため、人気の物件となりつつあります。立ち退きしてもらえるかどうかわからない、一括の現金支払いが必要である、など対処すべき点はありますが、一般的な相場よりもお得に物件を購入できるのが一番の魅力であるため、専門家などに相談しながら購入を検討してみましょう。