不動産クラウドファンディングは、株式投資や不動産投資を実践している投資家から注目されている金融商品のひとつですが、その存在はまだメジャーな金融商品とは言えません。
今回は、不動産クラウドファンディングの特徴と、ポートフォリオに不動産クラウドファンディングを組み入れるメリットについて解説していきます。
<ポートフォリオとは?>
ポートフォリオとは、元々は書類を入れるカバンという意味です。
金融の分野で使用する際は、投資家が保有する金融商品の組み合わせを意味します。
主な金融商品は、株式、債券、為替、商品、不動産などがあり、現金や預貯金もポートフォリオを構成する要素となります。
<金融商品の特徴を知る>
ポートフォリオを構築する際には、それぞれの金融商品の特徴、メリット・デメリットを正しく理解し、組み合わせることが大切です。
株式はハイリスク・ハイリターンの金融商品であり、景気が良い時には大きなリターンを得ることができます。
その反面、景気後退局面や政情不安、金融危機などマーケットに変化があった際は、大幅に値を下げる場合があります。
株式と組み合わせる金融商品の代表的な金融商品は、債券があげられます。
債券はリスクとリターンが小さい商品で、株式と組み合わせることはリスクヘッジの役割が期待できます。
<環境の変化に柔軟に対応する>
世界の経済状況や個々の資金状況によりポートフォリオを見直し、リスクとリターンのバランスを取ることは投資において重要な行動と言えます。
日々発表される最新の経済指標や金利動向、政治や地政学的な問題にも目を向け、現在がどういう経済状況なのかを判断し、環境の変化に対して柔軟に対応する必要があります。
先ほど例にあげた、株式と債券は古くからあるポートフォリオの組み合わせですが、投資環境が以前より速いスピードで変化する今は、最適な組み合わせと言えないという見方も存在します。
最近はマーケットに何かしらのサプライズやショックがあった際、AIやシステムトレード、アルゴリズムによる取引により、以前では考えられなかった値動きになることがあります。
株式も債券も商品の一部も大きく売られ、ヘッジになり得ないケースも実際にありました。
システムトレードの割合が大きくなった今は、以前は機能した手法や考え方が通用しなくなってきている面もあります。
このような変化に対応するには、従来からある組み合わせだけで考えるのではなく、新しい金融商品を組み入れることも有効な手段だと思います。
<実物資産との組み合わせ>
実物資産とは形のある実物で、それ自体に資産性がある物のことです。
実物資産には金などの貴金属、土地や建物、マンションなどの不動産、また最近は高級ブランドの時計や鞄、アート作品も価値がある実物資産とされています。
金融資産のデメリットは、株であればその企業が倒産した場合、価値がほとんどなくなってしまう可能性があげられます。
実物資産は所有するそのものに価値があるため、急激に無価値になりにくいというメリットがあります。
経済状況の変化に対応できる金融商品として、株式と組み合わせることを考えると、不動産を持つことには優位性があると言えます。
不動産は一般的にインフレに強く、仮に不動産価格が下落に転じても賃料収入には直ちに影響がないため、安定した収益を得ることができる可能性があります。
<不動産クラウドファンディングの優位性とは?>
実物資産である不動産を持つことは有効な投資手法ですが、不動産投資を行うには大きな資産が必要です。
不動産価格自体と建材費、人件費などの高騰により、手軽に購入できる物件は少なくなってきています。
不動産クラウドファンディングは実物不動産投資を小口化し、小額から投資できる新しい投資商品です。
株式投資や実物不動産投資と比較した場合、不動産クラウドファンディングには様々なメリットがあります。
ここからは、不動産クラウドファンディングの具体的な優位性について解説していきます。
・価格変動がない
株式投資は日々の価格変動があり、その変動幅は銘柄により異なりますが、マーケットが不安定になると大型株でも一日で10%ほど変動することもあります。
ポートフォリオの大部分を株式投資にしている場合は、日々の価格変動により一喜一憂してしまうこともあると思います。
自分の保有銘柄が値上がりし、資産が増えている時は良いですが、下落相場になり続落している場合、毎日資産が減少していくことにストレスを感じることもあります。
不動産クラウドファンディングは日々の価格変動が無いため、目に見える資産減少がありません。
株式と分散投資することで、メンタル面の安定に繋がる可能性も期待できます。
・管理の必要がない
株式投資は変動が大きいため、基本的には定期的に値動きを確認する必要があります。
特にマーケットが不安定になると、全く株価を見ないというのは現実的ではありません。
想定外のことが起こった際や、思惑が外れた時は銘柄の入れ替えを含めた管理が必要となります。
実物不動産投資も物件を購入した後に、様々な管理の必要があります。
管理を管理会社に任せていても、自身での対応が必要な場合がでてくるかもしれません。
不動産クラウドファンディングは、投資後に必要な管理はありません。
基本的には運用終了まで待つ投資手法です。
管理と運用に関しては、不動産のプロである事業者が行いますので、特に行わなければならないことはありません。
価格変動がなく、管理の必要もないため、株式市場のザラバをチェックできない忙しい人にも向いている投資商品と言えます。
・小額から投資可能
株式投資は小額から投資が可能な証券会社もありますが、基本的には100株からの購入になります。
価格の高い値嵩株になると、100株で数百万から購入可能となり、資金面で敷居の高い銘柄も多く存在します。
実物不動産投資も大きな資産が必要となり、一般的には資金力のある人向けの投資手法と言えます。
不動産クラウドファンディングは、多くの事業者のファンドで1万円から投資が可能です。
インターネット上で投資が完了できますので、少ない資金でも気軽に体験することができます。
実物不動産投資を体験する資金が無くても、不動産クラウドファンディングを利用することで、不動産投資の基本を学ぶこともできます。
<ポートフォリオ構築の考え方とは?>
景気が拡大局面であれば、株式の割合を大きくして、より多くのリターンを得ることを目指す手法が最適な投資手法と言えます。
しかし、景気後退局面やリスクオフの流れが鮮明になった場合は、資産を守るポートフォリオを構築することが重要です。
ハイリスク・ハイリターンで価格変動幅が大きい株式投資と組み合わせる商品は、不動産クラウドファンディングのようなミドルリスク・ミドルリターンで価格変動がない商品が最適だと言えます。
またリターンとリスクのバランスを考える際、不動産クラウドファンディングはファンドが正常に運用された場合、得られるリターンが決まっているため、資金管理が容易にできるメリットもあります。
株式投資のキャピタルゲインは、その損益が確実ではないないため、一般的には資金管理が難しい投資手法です。
株式と不動産クラウドファンディングのように、値動きや特徴が正反対の商品を組み合わせることで、資産を大きく減らさない守りのポートフォリオの構築を目指すことができると思います。
この機会にご自身のポートフォリオの見直しを検討されてはいかがでしょうか。