投資の手法の中に、少数の商品や一つの銘柄に絞って資金を集中させる「集中投資」と、多くの商品や銘柄に分けて資金を分散させる「分散投資」があります。
この2つの投資手法の特徴とそれぞれのメリット・デメリットを解説していきます。
- <集中投資とは?>
- <集中投資のメリットとは?>
- <集中投資のデメリットとは?>
- <集中投資に向いている人は?>
- <分散投資とは?>
- <分散投資の種類とは?>
- <分散投資のメリットとは?>
- <分散投資のデメリットは?>
- <分散投資に向いている人は?>
<集中投資とは?>
集中投資とは一つの商品や銘柄にあえて絞って、資産の全てをそれに投資することです。
例えば100万円の投資資金があった場合、A社の株を100万円で買える株数のすべてを購入することです。
この場合、株式投資という一つの投資商品で、A社という一つの銘柄にすべての資金を集中し投資していることになります。
<集中投資のメリットとは?>
集中投資のメリットは、商品と銘柄を絞り資金を集中しているので、その銘柄さえ値上がりすれば利益を多く得られることです。
先ほどの例のように、100万円を全額投資した場合と、10万円投資している場合で比較すると10倍の利益を得られる可能性があるということになります。
少ない資金でも集中投資する事で、利益の期待値は上がります。
このことは、資産が少ない時に資産を大きく増やす投資として、集中投資を選択することは短い時間で資産を増やす有効な手段になります。
<集中投資のデメリットとは?>
メリットだけを見ると、集中投資の方が資金を分散するより効率が良いと思う方も多いと思いますが、その分デメリットもあります。
少ない資産でも短い時間で資産を大きく増やせるチャンスがあるということは反面、短い時間で資産を大きく減らしてしまう可能性もあるということです。
投資には必ず様々なリスク要因があります。
投資のリスクとは、不確定なことが起こり得る確率と言い換えることができます。
このリスクを管理することを、リスクマネジメントと言いますが、集中投資の場合リスクをコントロールできないため、リスクマネジメントが難しい面がデメリットと言えます。
先ほどのA社に全額投資した例の場合、株式相場の指数は上昇している局面でも、A社の株価は下落するケースもあります。
A社独自の株価変動要因があるためです。
A社の決算が悪かったり、不祥事があったり、そのセクターの見通しがネガティブである場合、株価は指数や全体のパフォーマンスを大きく下回る場合も充分に考えられます。
ひとつの銘柄に集中投資した場合、この影響を全て被り、大きく資産を減らす可能性があることがデメリットです。
複数銘柄に投資していた場合、A社は損失が出たが、別のB社の利益で損失をカバーでき、資産が少し増えたという結果もあります。
集中投資した場合、このようなリスクヘッジがないため、ハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。
<集中投資に向いている人は?>
短期間に資産を増やす目的が大きい集中投資のメリットとデメリットを知った上で、リスクを負ってでも大きなリターンを狙いたい人向けの投資手法と言えます。
具体的にはその商品や銘柄に関して、一定の法則や値動きのパターンを熟知している、または、専門的な知識があり確率の高い予測が立っている状況で、自信をもって集中投資できる場合は有効になる投資手段だと思います。
しかし、基本的にはハイリスクな投資には変わりなく、専門的な知識や高いスキルを持った投資上級者のみに適した投資手法と言えます。
<分散投資とは?>
分散投資とは資産を複数の商品や銘柄に分散し、考えられるリスクを分散し、リスクを軽減させる投資手法です。
例えば、100万円の投資資金があった場合、株式、債券、為替、投資信託、投資型クラウドファンディングに20万円ずつ投資することです。
この場合、投資商品を分散していることで全体のリスクを下げる効果が得られます。
<分散投資の種類とは?>
分散投資の中でも様々な手法がありますが、今回は3つの重要な項目を解説いたします。
・投資商品の分散
投資商品にはそれぞれの特徴があり、価格変動の有無や価格変動幅が異なります。
それぞれのリスクを知り、複数の商品に分散することで、全体のリスクを軽減することができます。
具体的には、株式や為替の価格変動幅が大きい商品と、債券のような価格変動幅が小さい商品、投資型クラウドファンディングのような価格変動がない商品を組み合わせて、ひとつのポートフォリオを作ることで、リスクを抑えリターンを狙う事ができます。
・投資地域の分散
株式投資の中でも日本株だけでなく、アメリカやヨーロッパの銘柄に投資することで投資地域の分散ができます。
また投資国を分散することは通貨の分散にもなり、為替変動リスクを軽減することができます。
上記のように3つの投資国を持つことで、円建て、米ドル建て、ユーロ建てと3つの通貨で投資していることになり、地域の分散と通貨の分散になっています。
・投資時期の分散
複数の商品や銘柄に資産を分散する際、購入する時期をずらすことで価格の分散にも繋がります。
価格変動がある商品の場合、上昇や下落にはトレンドがあるからです。
複数の商品でも購入時期が同じだと、価格変動が全て一致してしまうケースが考えられます。
このリスクを軽減するためにも、少しずつ時期を変えての購入が効果的です。
<分散投資のメリットとは?>
商品の分散、地域の分散、時期の分散を行うことで、考えられるリスクの分散にもなっています。
投資では付き物のリスクを抑え、リターンを得られることが分散投資のメリットと言えます。
複数の商品や銘柄に分散投資することで、リスクを管理し、ある程度コントロールできるようになります。
分散投資は、思わぬ大きな損失をしてしまうリスクを防ぎます。集中投資と比べて分散投資は、リスクマネジメントしやすい投資手法と言えます。
<分散投資のデメリットは?>
投資資産を分散させているためリスクを軽減できる半面、リターンも少なくなることが、デメリットとして挙げられます。
資産を分散することで、一つ一つの商品への投資額が下がり、その分リターンの期待度が下がるからです。
集中投資はハイリスク・ハイリターンな投資手法ですが、分散投資はミドルリスク・ミドルリターンの投資手法と言えます。
<分散投資に向いている人は?>
分散投資は長期的な投資で、リスクを軽減しながらゆっくりと自分のペースで資産形成したい人に向いている投資手法です。
資産を増やす段階というよりも、資産を守る段階の人には、分散投資は最適な投資手法のひとつです。
投資初心者の方は、まだ知識と経験が少ない場合が多いので、リスクを小さくするためにも分散投資をお勧めいたします。
かけた時間に対して利益が少ないと感じる場合もあると思いますが、投資の最大の目的は資産を増やすことにあると思いますので、資産を減らす確率を少なくすることが投資成功への第一歩だと考えます。
集中投資と分散投資、それぞれメリット・デメリットがあり、どちらが良いとは言い切れませんが、自分自身のリスク許容度を考え、投資手法を選ぶことは大切だと思います。
集中投資と分散投資の他にも様々な投資手法がありますが、自分の投資基準やルールを持ち、自分に適した投資手法を確立することが、投資成功への重要な要因になります。