資産運用の代表的な手法に、株式投資と不動産投資があります。
投資を始める際は、まずは株式投資からという人も多いと思います。
不動産投資を始めるには大きな資金が必要ですが、現物不動産投資を小口化した不動産クラウドファンディングにも注目が集まっています。
今回は、株式投資と不動産投資の比較、また不動産クラウドファンディングとの比較をしていきます。
<株式投資と不動産投資のリターンの種類は?>
株式投資も不動産投資もリターンの種類は同じで、キャピタルゲインとインカムゲインがあります。
・キャピタルゲイン
キャピタルゲインとは売買による差益のことで、株式投資の場合は、買った株式が値上がりし、売却した際に利益が確定されます。
例えば、10万円で購入した株が15万円に値上がりし、この時に売却した場合は5万円のキャピタルゲインがあったということになります。
不動産投資のキャピタルゲインは、購入した物件の不動産価格が上昇し、売却した場合の売買差益です。
株式投資は価格変動が大きいため、短期間でキャピタルゲインを得られる場合がありますが、逆に購入価格より値下がりしてしまい、売却した場合は損失になります。
これをキャピタルロスと言います。
・インカムゲイン
もうひとつのリターンであるインカムゲインとは、所有している期間に継続的に受け取れる利益を指します。
株式投資の場合は配当がインカムゲインです。
日経平均のここ10年の配当利回りは、1.3%から2.6%ほどで推移しています。
例えば、購入した銘柄の配当利回りが2.0%であった場合、100万円投資して年間得られる配当は2万円(税抜き)となります。
また銘柄によっては株主優待があり、サービスや商品が貰える特典があります。
一方不動産投資の場合のインカムゲインは、物件を貸し出して得られる賃料収入のことです。
例えば、所有する物件の総戸数が10戸で、全部屋を家賃10万円で賃貸している場合は、毎月100万円のインカムゲインを得られるということです。
株式投資と不動産投資、どちらも収益の種類は同じですが、株式投資はキャピタルゲイン狙い、不動産投資はインカムゲイン狙いの投資という認識も強いです。
<株式投資と不動産投資のメリット・デメリットは?>
株式投資のメリットは価格変動による売買差益を短期間で得られる可能性があることです。
しかし、デイトレードなどの短期売買は大きな収益を得られる場合がありますが、反面、大きな損失を被る可能性もあり、これはデメリットと言えます。
中長期目線での投資においては、配当や株主優待などのリターンが安定的に期待でき、小額から計画的に投資することでリスクを軽減することができます。
株式投資は価格変動が大きいため、一般的にはハイリスク・ハイリターンの投資と言われています。
リターンが期待できる分、リスクも高い投資手法で、リスクマネジメントが重要です。
株式投資は手軽にできる時代になりましたが、知識と経験が必要であり、世界の経済情勢や個別銘柄の企業の財務状況などを確認する手間がかかるというデメリットもあります。
また、場合によっては日々の価格変動を常に確認する必要もあります。
不動産投資のメリットは、物件を手に入れ入居が決まれば、毎月賃料収入が得られることです。
基本的には日々の急激な価格変動はありません。
デメリットは、物件を購入する際に大きな資金が必要となることが挙げられます。
最近は不動産価格自体が値上がりしているため、希望の価格帯で購入できる物件が少なくなっていることもあります。
また災害や社会情勢、景気の変化などにより、不動産価格が下落してしまう可能性があることもデメリットです。
また、目に見える価格変動は少ないですが、不動産賃貸業は専門的な知識が必要で、管理の手間もあります。
デメリットはありますが、不動産投資は比較的安定した投資手法のひとつで、ミドルリスク・ミドルリターンの投資手法とされています。
<不動産クラウドファンディングとは?>
不動産クラウドファンディングとは、多数の投資家から出資を受けた事業者が、現物不動産を取得し、その物件の賃料収入や売買による利益を投資家に分配する仕組みです。
2017年に不動産特定共同事業法が改正されたことで、不動産投資の間口が広がり、インターネットを用いて少額から不動産投資を行えるようになりました。
最近は上場企業の運営する事業者も増え、ファンドの安全性と透明性が高まり、注目度も上がっています。
<不動産クラウドファンディングのメリット・デメリット>
不動産クラウドファンディングは、株式投資のような日々の急激な価格変動がありません。
また、投資後は毎日状況を確認する必要がなく、運用終了まで待つだけの投資となります。
ファンドの物件は、不動産のプロである事業者が管理・運用するため、管理や専門的な知識も必要がありません。
そのため、時間のない人にも向いている投資商品と言えます。
不動産クラウドファンディングの利回りは、事業者やファンドにより異なりますが、年利2%から5%くらいが平均利回りです。
運用期間は数か月から数年にわたるファンドがあり、対象物件の種類や地域なども様々で、選択肢が多くあることもメリットのひとつです。
各投資家のリスク許容度により、ファンドを選ぶことができます。
デメリットとしては、基本的に運用中の解約や売却ができないため、すぐに現金化することができません。
株式投資に比べ、流動化リスクという点では劣るところがあります。
また、利回りに関しては想定利回りで、不動産を運用した結果、賃料や売却が想定よりも低い収益だった際は、受け取れる金額が低くなる場合や運用期間が延びる場合があります。
しかし事業者と対象不動産をよく分析することで、安全性の高いファンドに投資できれば、投資が成功する確率は高くなります。
<分散投資の必要性>
株式投資、不動産投資ともに歴史があり主要な投資手法ですが、どれか一つに集中投資した場合リスクが高くなります。
株式投資は変動幅が大きい事から、集中投資した場合資産が大きく変動します。
資産が増えている時は良いですが、急激に値下がりし資産が目減りした場合は、精神的にも苦しくなることも多いと思います。
投資においては、気持ちが落ち着かないと冷静な判断ができなくなることも考えられます。
特に最近は変動幅が大きくなっている傾向があり、日本株の主要銘柄でも1日の取引で10%もの下落を記録することがありました。
安定した収益を上げている大企業の株でも急激に変動し、思わぬ損失を被ってしまうリスクがあります。
ここ数年の急激な株価の値上がりのため、株価や指数自体が高くなっており、数パーセントの変動率でも変動額は大きくなっています。
こういった市場の状況もあり、最近は分散投資の重要性が再認識されています。
株式など価格変動が大きい商品をすでに持っている場合、分散投資として、不動産クラウドファンディングのような価格変動がない商品を組み入れるという手法は有効だと思います。
株式投資と不動産投資はメジャーな投資手法で、知っている人も多いと思います。
これらと比べると、不動産クラウドファンディングはまだ歴史が浅く、認知度も高くはないですが、株式との分散投資としてや、不動産投資への入口として注目度が上がってきています。