資産運用をしたいけれど、知識や経験がないために疑問や不安があり、実際に始められない人も多いと思います。今回は投資未経験者と初心者の方にはどのような商品が向いているのか、投資の目的とリスクを含めて解説していきます。
貯蓄とは?「預金」と「貯金」の違い
貯蓄とは銀行など金融機関にお金を預けることです。メガバンクや地方銀行に預けているお金を「預金」、「郵便貯金」のゆうちょ銀行に預けているお金を「貯金」と言います。あわせて「預貯金」と呼ばれています。ちなみに自宅でお金を貯めていることは「貯金」と呼ばれる場合が多いです。これは「貯金箱」の影響が大きいからかもしれません。
今は給料が銀行に振り込まれると言う方が多いと思います。日常生活に使うお金や将来的に使用目的が決まっているお金は銀行に預けておくのが良いと思います。
銀行に預けているお金の金利は、普通預金であれば0.001%、定期預金であれば0.002%です。100万円を1年間預けた場合、10円~20円を利息として受け取れます。1億円預けていても、1年間で1000円~2000円しか利息が付きません。つまり今は銀行に預けているお金はほぼ増えない低金利時代です。
その代わり預けているお金が減ることもほぼ無いと言えます。万が一、お金を預けている金融機関が破綻した時でも、預金保険制度があり、1000万円までとその利息は保護されます。これを「ペイオフ」と呼びます。銀行に預けているお金は、すぐに引き出しでき資金移動をすることができることも預金のメリットです。
投資の目的とは?
投資は今のところ使う予定がない余裕資金で行うことをお勧めします。老後の資金など長期的にお金を増やすことを目標と考えることで、リスクが下がり、無理なく比較的安全に資産運用ができると思います。
投資の目的はお金を増やすことですが、それだけではありません。自分の好きなサービスや商品を提供する会社や、地球環境を考え、より良い社会を目指していく事に積極的に取り組む会社、地元企業や新しい技術を持つ会社などを応援する目的でも投資はできます。
少額でも投資を通じて社会貢献ができるメリットもあります。
投資のリスクとは?
最近は便利な時代になり、数百円から1万円ほどで始められる投資もあります。
この場合、少し減ったとしてもそれほど気にならないでしょう。しかしまとまった金額を一気に投資し、その金額の多くが失われた場合、ショックは大きく精神的に耐えられないかもしれません。これがリスク許容度です。
リスク許容度はその人の資金力と精神力にもよりますので、数値化はできないですが、投資する前にどのようなリスクがあるのかを学んでおく必要があります。投資にリスクは付き物と言われますが、具体的なリスクを挙げていきます。
・価格変動リスク
購入した時点の価格から、価格が変動するリスクです。市場環境やさまざまな要因で下落する事もあれば上昇することもあります。仮想通貨や為替取引は一日の変動幅(ボラティリティ)が大きく価格変動リスクが大きいです。初心者の内はなるべく変動幅が低い商品に投資することをお勧めします。
・信用リスク
投資した先の企業や、金融商品を提供している国や事業者が、経済破綻や倒産により元本と利息の返済が不能(デフォルト)になるリスクです。
投資する際に、投資先や発売元の事業者を十分に分析し、信用リスクの少ない商品を選ぶことが重要です。
例として株式投資であれば、「TOPIX・コア30」に入っている銘柄は日本を代表する企業で、メガバンク、大手薬品、自動車関連、電気メーカー、大手商社、通信関連など倒産リスクがかなり低い銘柄群です。リスクを抑えるためにも、企業規模が大きい銘柄に投資することはリスク軽減にもつながります。
・流動性リスク
市場内で商品の売買が出来なくなり、現金に戻せなくなるリスクです。マーケットに大きなショックが走ると参加している投資家がパニックになり、価格変動幅が大きくなります。こうなると通常時の取引ができず、思わぬ大きな損失を被ることがあります。
その原因としては、地震などの自然災害、テロ、クーデター、軍事衝突、政情不安、経済状況を大きく動かすニュース、経済指標のサプライズ、企業独自の状況などが挙げられます。売りと買いの値段の差(スプレット)が大きくなり、希望通りの価格での売買の注文が通りにくくなり換金しにくくなります。これは売る人と買う人の値段が一致して初めて取引が成立するというマーケットの性質によるものです。
初心者におすすめの資産運用商品
・債券投資(国債投資)
債権とは国や企業が投資家からお金を借り入れするために発行される有価証券です。発行元が国であれば国債、企業であれば社債となります。
債券投資のメリットはリスクが小さいことです。保有している期間に一定の利子を受け取れます。発行元の国や企業が財政破綻した場合は元本が棄損する場合がありますが、信用度が高い国や企業に投資すればこのリスクは避けられます。
債券投資のデメリットは利率が低いことです。日本国債は年利0.05%ほどです。
銀行に置いておくよりも投資に回したいが、リスクは取りたくない人には向いている投資商品だと思います。特に個人向け国債は元本割れがなく、取り扱いの金融機関も多く手軽に始められるので、投資が初めての若い人にもお勧めです。
・投資信託
投資信託(ファンド)は投資家から集めた資金を、運用のプロが株式や債券に分散して運用し、その運用の成果を投資家に分配する商品です。投資信託ごとに投資対象が異なりますので、投資家はそれを選ぶことになります。初めての場合は、ネット証券の投資信託のランキングを見て、買い付け金額が高いファンドから選び、様子を見ることをお勧めします。
投資信託は元本が保証されていません。日々の価格変動があり、市場環境により買い付け価格を下回る場合もありますので、注意が必要です。
資金を集中して一度に買い付けるのではなく、時期をずらして資金を分散して買い付けを行う、または積み立てを設定する投資法がお勧めです。
・不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは、不動産を小口化することにより少額からインターネットを通じて投資できるようにした仕組みのことです。元々投資用として販売していた物件を細分化することにより、数千万円から数億円する様な物件を、小さい金額でも投資できるようになりました。小口の大家さんになれるイメージです。
これにより、銀行からの借入や様々な書類の提出などをしなくても、より手軽に不動産投資ができるようになりました。投資した金額に対して、年利が設けられており、ある一定の期間が立つと投資金額とそれに対する年利が追加されて、入金されるのが一般的です。
最近は東証一部上場企業のグループ会社が不動産クラウドファンディングを始めており、透明性と安全性が上がってきている点でも注目が集まっています。日々の価格変動も無いため、投資した後は特に管理がいらず、運用終了まで待つだけの投資です。分散投資の観点からも不動産クラウドファンディングはお勧めの投資商品です。
以上、株式投資以外で初心者でも投資しやすい商品をご紹介いたしました。
もちろんそれぞれリスクはありますので、十分に理解し自分で投資判断することが重要です。気軽に始められるものばかりですので、小額からでも始めて投資デビューをしてみてはいかがでしょう?