投資信託の利回りを考える。比較する際のポイント

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投資信託の銘柄を選ぶときには利回りに着目することがよくあります。利回りが高ければ良いと言われることが多いですが、本当にそうなのでしょうか。この記事では投資信託の利回りの概要や計算方法をわかりやすく解説します。

 

投資信託の銘柄を選ぶときには利回りに着目することがよくあります。利回りが高ければ良いと言われることが多いですが、本当にそうなのでしょうか。この記事では投資信託の利回りの概要や計算方法をわかりやすく解説します。

 


投資信託の利回りとは

投資信託の利回りとは他の投資の場合と同様に、投資した金額に対してどのくらいの割合で利益を得られたか、あるいは利益を得られると見込まれるかを示す数値です。一般的にはパーセンテージで表記されていて、例えば年間の利回りが10%であれば投資した金額の10%の利益を一年間で手に入れることができます。


投じた金額が10万円なら1万円、100万円なら10万円というように、投資した金額に比例して利益が生まれると考えるのが基本です。投資信託では売買によって得られるキャピタルゲインと、保有によって得られるインカムゲインがあります。


どちらも売買した口数あるいは保有している口数に比例する金額になるので、投資信託による利益は利回りで考えるとわかりやすいと言えます。


投資信託の利回りとしてよく着目されているのが分配金利回りです。多くの投資信託では一定期間ごとに分配金が出る仕組みになっています。その分配金が投資金額に比べてどのくらいの割合になっているかを示しているのが分配金利回りです。


投資信託では分配金を出した分だけ基準価額が下がるため、証券としての価値は低下します。そのため、売買によるキャピタルゲインをあまり重視せずに、分配金によるインカムゲインで投資信託の良し悪しを判断することがよくあります。


ただ、売却時にはキャピタルゲインも得られるので、それも加味した利回りも考えているケースも少なくはありません。


投資信託の平均利回りとは

投資信託では平均利回りもよく指標として用いられています。平均利回りは株式による長期投資などでもよく用いられている指標で、年間で平均するとどのくらいの利回りだったかを計算するのが特徴です。


投資信託では定期的に分配金による利益があり、売買をしない限りは特に収益は他に存在しません。そのため、単純な考え方としては平均利回りと分配金利回りが同じになります。ただ、実際には投資信託を運用するためには手数料がかかります。


信託報酬などを支払い続けなければならないため、実際に利益として生み出されている金額は分配金よりも少なくなるでしょう。このような手数料も加味して平均利回りを計算することも多くなっています。


平均利回りで投資信託を評価すると、より利益率が高いものを選び出せるようになります。手数料は銘柄によって違いがあり、同じ運用実績だったとしても利益額には大きな違いが生じる可能性があるので注意が必要です。


信託報酬は数倍の開きがあることも知られているので、安直に分配金利回りが高いから良いと考えてしまわないようにしましょう。手数料は利用する証券会社による違いもあるため、これから投資を始める段階なら証券会社も比較してみるのが大切です。


興味がある投資信託を見たときに、明らかに手数料が違うようであれば安い証券会社を選んで口座を開設しましょう。


投資信託の利回りの計算方法

投資信託の利回りの計算は比較的簡単です。分配金利回りについては投資信託の目論見書などの関連書類を見たり、宣伝広告を参照したりすると明記されているのが一般的です。


分配金が出る条件もはっきりと示されているため、想定通りの利回りにならないリスクがどのくらいあるかも見て取ることができます。信託報酬や売買手数料などの手数料についても、証券会社ごと、銘柄ごとに記載されています。


特に平均利回りを計算するときには投資信託を保有している間はずっと負担しなければならない信託報酬を加味するのが大切です。年利がいくらかが示されているので参考にしましょう。


信託報酬の影響について厳密に計算しようとすると複雑になります。分配金は一定期間ごとに出されますが、信託報酬は一日ごとに引かれていくからです。シミュレーション用の計算ソフトを使えば正確にいくらの利回りになるかを計算することもできます。


ただ、銘柄を比較してどれにしようかを考えるくらいの段階では、平均利回りを計算するときには分配金利回りから信託報酬を引いて考える程度で十分でしょう。


実際には運用実績によって分配金が出ないことなどもあるため、微々たる違いはあまり気にせずに大まかに利回りを比較した方が候補を絞り込みやすくなります。厳密な計算は最終的に投資を始めるときだけで良いと考えるとスムーズです。


投資信託の利回りを計算して比較するときのポイント

投資信託の利回りを計算して比較するときには、利回りが高ければ良いと安易に考えないことがポイントです。投資信託の利回りは高い方が利益が大きくなる可能性が高いことを示しています。


しかし、どのような投資商品でもハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンなのは同じです。利回りが高くなるように設計されている投資信託では、ハイリスクハイリターンの投資先を多く選んでいる傾向があります。


そのため、運用実績が想定したように上がる可能性がやや低めだと考えられるのです。その結果として、想定したように分配金が出ず、利回りがあまり高くならないリスクがあります。


しかし、投資信託では利回りがあまり低いものを選んでしまうと投資をするメリットが小さくなります。どのくらいのリスクとリターンのバランスが適切かをよく考えて選ぶのが重要です。その際に重要なのはどのような銘柄が組み込まれている投資信託なのかを確認することです。


海外の株式や債券が多い場合には為替リスクがあり、ハイリスクハイリターンになる傾向があります。国内の投資先に比べると値上がりや値下がりの幅が大きい場合が多いので魅力的ですが、安全性を重視するなら国内が中心になっている方が良いでしょう。不動産や金も安定性が高いため、高い比率で組み込まれていると安心できます。


投資信託の利回りの目安

投資先を細かく分析してリスクとリターンのバランスを考えるのは重要ですが、一つ一つの投資信託に対して分析を行っていると大きな労力がかかります。どの投資信託を選ぶかをスムーズに考えられるようにするために利回りの目安を知っておくと役に立つでしょう。


目安のラインの引き方は人によって違うのは確かです。投資に対するリスクとリターンをどのように考えるかでラインの引き方が変わるからです。ここではハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンのラインの一般的なものを紹介するので、参考のために押さえておきましょう。


投資信託では5%から8%くらいの分配金利回りで運用するのに成功しているケースが多くなっています。そのため、4%以下の利回りが想定されている投資信託はローリスクローリターンの可能性が高いと考えられるでしょう。


一方、想定利回りが8%を超えているようなときには値動きが大きい投資先が多く組み込まれている可能性が高く、ハイリスクハイリターンの投資信託だと推察できます。5%から8%くらいの想定利回りになっていればリスクとリターンのバランスが一般的な水準になっていると考えると良いでしょう。


このような目安を参考にして候補を絞り込み、興味のあるものについて細かく投資先の銘柄を確認していって、魅力的なものを選び出すのが合理的です。


利回りを参考にして投資信託を絞り込もう

投資信託の利回りは分配金利回りに基づいて計算される平均利回りを使って評価することがよくあります。利益がどのくらい生まれると考えられるかを見るのに良い指標ですが、最終的に投資を始めるときには組み込まれている銘柄もよく比較して決めましょう。