貯蓄と投資の割合の考え方とは?

貯蓄と投資の割合の考え方とは?|リビングコーポレーション

一般的に日本人は貯金が好きで、お金に対して堅実なイメージがあります。

預貯金の割合が高く、投資に対しての意識は低いと言われています。

今回は、社会環境や経済状況が変化する中で、貯蓄と投資のバランスをいかに考えるかを解説していきます。

 

<現在の金利状況は?>

貯蓄とは銀行など金融機関にお金を預けることです。大手銀行や地方銀行に預けているお金を「預金」と呼び、ゆうちょ銀行に預けているお金を「貯金」と呼びます。

 

これらの預貯金には、ペイオフという仕組みが適用されます。ペイオフとは、お金を預けている金融機関が破綻しても、1人あたり1000万円までは保護される仕組みです。

1000万円を超える部分に関しては、破綻した金融機関の状況に応じて支払われます。

 

大手銀行がある日突然破綻する可能性は、今の日本では極めて低いと思われるため、銀行に預けているお金の元本が棄損されることはほぼ無いと言えます。お金が減ってしまうリスクを考えなくても良いため、お金を安全に保管できるという点で貯蓄の割合が高いのかもしれません。

 

しかし元本棄損のリスクは無い代わりに、貯蓄しているお金が増えるということも無いのが現在の金利状況です。メガバンクや主要な銀行、ゆうちょ銀行の普通預貯金の金利は年0.001%、定期預貯金でも0.002%と超低金利が続いています。

 

1980年代後半から1990年代初頭にかけての、いわゆるバブル期は今から考えると非常に高金利の時代でした。経済成長や株価の高騰、不動産価格の値上がりを背景に、定期預金の1年物で年利5%~6%のものもあったそうです。

 

ほぼノーリスクでこのような高金利であれば、銀行に預けておくだけでお金は増えていき、投資する必要はありません。しかし、現在の状況は真逆で30年以上金利が上げられない超低金利時代が継続している状況になっています。

 

<経済状況の変化>

最近は「貯蓄から投資へ」や「老後2000万円問題」など投資についての議論も活発になってきています。NISA、つみたてNISA、iDeCoなどで投資が身近になり、実際に資産運用をしている人も増えている傾向があります。また、投資関連の書籍も多く出版され、お金を眠らせておくのではなく、投資での資産運用の必要性が認識され始めています。

 

投資が注目されている背景としては、社会環境や経済状況の変化が考えられます。会社員の年収が上がらず、社会保険の負担は上がっているため、給料の手取り金額は減少傾向になってきています。また、最近ニュースなどで頻繁に耳にする、商品や光熱費の値上げも今後生活を圧迫する要因になるかもしれません。

 

物価が上昇していても、その分収入が上がっていれば生活には影響がありませんが、物価の上昇分を補填する収入がなく、さらに実際に使えるお金が減少しているのが現状と言えます。特に子供がいる家庭では、教育費の負担が大きく、経済的な負担が大きい実情もあります。

 

また、インフレに加えて為替が円安に振れてきていることも注視が必要です。現金の価値が下落する場合、預貯金だけでは資産が目減りすることになります。

 

このような要因から、投資に対して注目が集まり、投資していないこと自体がリスクになると考える人も増加している傾向もあります。以前のような預貯金をしていれば、金利でお金が増えていく時代に戻ることは現在の経済状況では考えにくく、投資での資産運用をうまく活用することを検討するべき段階になってきています。

 

<貯蓄と投資の割合の考え方は?>

投資の必要性は分かっているものの、投資は元本保証ではないためリスクがあります。お金が減ってしまう可能性があるため、投資を始められない方も多いと思います。その場合、余剰資金の一部を投資に充てることが最適だと思います。

 

日本において投資への関心はまだまだ薄く、預貯金だけの割合の世帯も多いと思います。この預貯金の10%でも投資に回し、投資がどのようなものか実際に体験することは可能性を広げる行動だと思います。

 

しかし必要な生活費や、将来使う目的があるお金を全て投資につぎ込むことはリスクが高い行動になります。病気や事故などの突然の出費や、ライフプランの変更による収入減少などに備える資金は必要です。

 

貯蓄と投資の適正な割合はその人の年齢、収入、今後のライフプランにより大きく異なります。また、投資に対しての考え方、リスクがどれだけとれるのかという点でも変化します。まずは自身のリスク許容度を算出することが大切です。

 

<投資を始める時期>

投資に興味を持っても実践できない理由としては、「まだ若いから」「よくわからないから」などの理由があげられます。投資による資産運用は、運用している期間が長いほうがリターンを得られる可能性が高くなることは歴史的に証明されています。つまり、投資を始める時期は若い方が優位ということになります。

 

10代から30代の若い世代が今から投資を始めることができれば、運用する期間が長くなるため、時間を味方につけることができます。投資を正しく理解し、先ずは始めてみるという行動が必要です。投資による資産運用を始める時期には、早すぎるということはありません。むしろ若い時期に投資を始めるきっかけがあれば、将来において資産形成できる確率は高まると思います。

 

<年代による投資手法の違い>

20代30代の人は、現役の期間が長い分だけ収入が見込める点、また投資の運用期間も時間的優位があります。このような理由から、投資に対し比較的リスクを取ることができると言えます。ハイリスク・ハイリターンと言われる株式投資の割合を高め、資産を増やす段階としての投資を無理のない範囲で実践することも可能性を広げる方法だと考えられます。

しかし結婚して家族ができた場合は、リスクを抑えた堅実な運用をお勧めします。ライフプランの変更があった際は、自分の投資商品を見直すことも大切です。

 

40代、50代からの投資方法は、ミドルリスク・ミドルリターンの商品を選ぶことが大切です。株式を大きな割合にせず、比較的リスクの低い債券を組み入れることも有効な手段です。また、インフレや円安で現金の価値が下がると判断した場合には、現金を不動産や金など実物資産に置き換える投資手法が有効です。

 

60代以降の投資方法は、40代、50代の方法からよりリスクの少ない投資手法の割合を増やすことがお勧めです。資産を守るための投資を行う時期と認識し、元本が棄損される可能性がある商品は、できるだけ投資を控えたほうが良いと考えます。

 

投資に関して正しい知識と実績が充分にある場合は、時にはリスクを取ることも許容できますが、基本的には資産を減らさないことを一番に考える年代だと思います。

 

今回は、貯蓄と投資のバランスの考え方、年代別の投資方法について解説してきました。最近の経済状況や社会情勢を考えた時、日本でも預貯金だけの運用では資産形成はできない時代になってきていることは明白です。投資に対して正しい理解と知識を身につけて、実際に投資で資産運用してみることを検討してみてはいかがでしょう?