投資について調べていくと、様々な印象があることに気がつきます。
その中には、投資はギャンブルである、もしくはギャンブルに近いものであると考える人がいるのも事実です。
今回は、ギャンブルと投資の目的と仕組みの違いについて解説していきます。
<ギャンブルとはなにか?>
ギャンブルとは英語のgamblingの和製英語で、賭博や博打と表現されることです。
賭博とは、お金やそれに準ずる品物を賭けて勝負をすることです。
ギャンブルの特徴は、賭けに参加した人に必ず勝者と敗者が生まれることです。
またその勝ち負けは、主に運否天賦であり、運により決まることが大きな特徴です。
ギャンブルでは、ある程度の経験の差はあるものの、勉強や分析を進めていっても勝てる確率が上がることや、負ける回数を減らすことは基本的にはできません。
つまり完全な不確実性に対し、金品を賭けている状態と言えます。
極論すれば、運が良い人のみがお金が増え、運の悪い人はお金を全て失くすことがギャンブルです。
そこには自分自身でコントロールできる要素がほぼ無く、ほとんどの場合、運に頼るだけの賭け事がギャンブルの内容です。
また必ず主催者(胴元)がいることも特徴のひとつです。
ギャンブルの主催者は、参加者から集めたお金を先ず運営料や手数料を差し引き、残った分を的中者や勝者に分配します。
つまり参加者への還元率は低く、主催者には必ず収益があり、一部の限られた人だけが勝ち、残りの大多数の人は負けるという仕組みです。
野球で使われる用語で、「ギャンブルスタート」という作戦があります。
これは3塁ランナーがいる場合、走者は得点を狙い、バッターのバットに当たった瞬間にどんな打球であろうが本塁へ突入する作戦です。
打球を判断せず走るので、当然アウトになる確率は制御できず、完全に運任せの作戦とされています。
このようにギャンブルは運のみに左右される行動という認識が一般的にはあります。
<投資とはなにか?>
投資とは将来的な発展や利益を期待し、現在の資本や資金を投下することです。
企業や投資商品の運営会社が投資家から資金を集め、会社や投資先の成長や事業拡大などの用途で使用し、その利益を投資家に還元する仕組みです。
この仕組みは、成長があれば投資した全員が長期的に利益を享受できる場合があります。
ギャンブルのように必ず勝者と敗者が生まれず、投資した人や投資先の企業など全員が利益を得られる可能性がある仕組みが投資の特徴です。
投資の種類としては、株式、債券、投資信託、不動産、REIT、不動産クラウドファンディングなどがあげられます。
国や公的機関も投資により資産運用をしています。
私たちが支払っている年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が投資による運用をしています。
また銀行や保険会社なども顧客から預かった資金を投資で運用しています。
社会的に信用されている国や企業、機関が投資を行っているという点で、投資はギャンブルではないことの証明になり得ます。
国や公的機関にとって、投資での資産運用は必要なことです。
このことからも投資で資産を形成することはギャンブルではなく、投資は社会や国家、その国民にとって役に立っている仕組みと言えます。
<損益制御の違い>
ギャンブルも投資も大きな目的として、お金を増やすことがあげられます。
投資は元本保証ではないので、投資した資金に損失が出る場合があります。
この点はギャンブルと同じではありますが、ギャンブルは損益の制御ができない仕組みになっています。
ギャンブルは賭けたお金に対して、勝った場合は増え、負けた場合は無くなるのが基本です。
つまりギャンブルは時間的に短期での勝負が基本であり、一旦レースや場が開始されたらその最中に賭け直しはできません。
そして、そのレースや場が終われば、損益が清算される仕組みで損益の制御ができません。
一方投資は、時間的に中長期間で考えることが可能で、投資期間中に投資先が成長できればリターンを得られることができます。
投資した時には短期的に損失が出ていても、期限がない投資商品の場合、途中で損失が確定されることはありません。
つまり時間を味方にし、長期的な成長を見守ることができ、その間に追加投資や投資手法を練り直すことができます。
投資は自身のリスク許容度により、損失や利益のコントロールができる点がギャンブルとの大きな違いと言えます。
<再現性の有無の違い>
投資とギャンブルとの大きな違いのひとつに再現性の有無があります。
この場合の再現性とは、根拠のある手法や考え方によって利益を得られる取引を繰り返すことができるかどうかです。
ギャンブルは基本的には運任せのものなので、再現性はありません。
再現性が無いため、ギャンブルで資産形成し、ギャンブルのみで生活をする人はほぼいません。
偶然で勝ちを重ねたとしても、それは運が良かっただけにすぎません。
一方で投資は自分なりの投資判断や得意なパターンを構築することで、再現性を高めることができます。
投資家の中には自分の裁量中心でトレードをする人もおり、勘を元に投資判断しています。
これはギャンブルと変わらないのではないかと思う人もいるかもしれませんが、この場合もギャンブルとは違います。
この場合の「勘」とは、自分の経験の中で培った、ある一定の法則や確率を元に判断して取引しているからです。
投資の成功と失敗の体験を重ねて、それを検証し、次に活かしているからこそ経験則に基づいた再現性のある「勘」での取引ができるのです。
つまり投資は、分析や経験を積み上げることで、勝てる確率を高めることができるものだと言えます。
投資はプロの機関投資家や個人投資家が存在し、FIREのようなライフスタイルが話題になることは、投資には再現性があると認識されている故だと思います。
<社会性の違い>
投資の目的はお金を増やすことが大きいですが、それ以外にもあります。
自分の好きな商品やサービスを提供する企業や組織を支援する目的、地元企業を応援する目的で投資することもできます。
また環境問題やより良い社会作りに積極的に取り組む企業に投資することで、間接的に社会に貢献できる面も持っています。
自分の投資したお金が、国や社会全体の経済成長を支え、その結果、多くの人が豊かで明るい暮らしやすい将来の世の中に繋がると考えることもできます。
このように投資は、金銭的な利益目的以外にも社会性を持ち合わせていると言えます。
投資をしてお金を増やすことは、決して悪い事ではありません。
今回は、投資とギャンブルの違いについて解説してきました。
投資とギャンブルは、その根本の仕組みと目的が違いますので、同じに考えることは正しくないことだと思います。
確かに投資の中にも運の要素が大きいものもありますが、それは投資ではなく投機と言われる取引を指します。
自分が取れるリスクを理解したうえで、少しずつ経験を積み、分析や学習をすることで運用成績が上がる可能性は充分にあります。
投資がギャンブルと考える人は、実際に投資経験がないか、投機的な取引をしている人が多いと言われています。
投資について正しい知識をつけることは、将来的に豊かになる手段のひとつになり得ると思います。