小口投資のサービスを提供する証券会社が増えてきましたが、小口投資とは何かを十分に理解できているでしょうか。この記事では小口投資の基本を説明した上で、現状として取り組める小口投資の候補や具体例を紹介します。
小口投資とは
小口投資とは大口投資の逆で、少ない資金での投資を指します。大口投資では一般的に用いられる資金よりもずっと大きな金額を使って投資をすることを意味していて、定期預金でも大口なら優遇するといった対応をしている銀行も多いでしょう。
小口投資は一般的な投資金額に比べると少ない資金を使って運用するのが特徴ですが、具体的にいくらから小口投資で、いくらから標準的なのかが定義されているわけではありません。ただ、投資はもともとまとまった資金がなければできないと思われていましたが、小口投資をしたいという人が増えた影響で、資金が少なくても投資できる状況が生まれてきています。
極端な意味合いでの小口投資ではわずか100円程度で始められるものが多数あります。投資信託が典型例で、1000円程度からしか始められない証券会社もあるものの、小口投資をしやすい投資商品として知られるようになってきました。
FXのようにレバレッジをかけられる投資も小口投資が可能な代表例です。国内のFXでは20倍までレバレッジをかけられるため、1000円の資金を実質的に2万円として運用することが可能です。
海外のFXでは1000倍くらいのレバレッジをかけられる場合もあり、少額の資産から莫大な利益を生み出すことも不可能ではありません。レバレッジを使える投資には商品先物取引や株式投資もあって、小口投資の対象としてよく選ばれています。
株でもできる小口投資
株は投資の方法として昔から高い人気がありますが、小口投資をするのは困難と言われていました。株式投資では1単元ごとの購入や売却が求められていたからです。1単元とは100株のことで、取引をするには株価の100倍の資金がなければなりませんでした。
現在でも原則のルールは1単元ごとの売買なので、1万円の株価になっている株を購入しようとすると100万円の資産が必要です。この金額では小口投資と考える人はあまり多くないでしょう。しかし、単元未満株が登場したことによって株でも小口投資ができるようになりました。
単元未満株とは企業の吸収合併などの影響によって生まれた1単元に満たない株を指します。証券会社では単元未満株に着目して、投資家が100株ずつではなく、1株ずつ取引できるサービスを提供するようになりました。あらゆる銘柄について単元未満株が存在するわけではないので、取引可能な銘柄は限定されます。
しかし、単元未満株なら1株ずつ売買できるため、1万円の株を買うのに1万円程度の資金があれば良いということになります。株価が低い場合には数百円程度の場合もあることから、小口投資も容易にできるようになったと言えるでしょう。
単元未満株はどの証券会社でも取り扱っているわけではないので注意が必要です。しかし、まとまった金額がなくても株式投資すらできるようになっているのが現状です。
小口投資商品の例
小口投資商品には株式投資の単元未満株以外にも例があります。投資信託では投資家がいくらから申し込めるかは証券会社がどのようにファンドを設計するかによって決まります。1口1万円というのが投資信託が広まり始めた頃には主流でしたが、だんだんと1口の価格が低くなってきました。
1000円で投資できると言われていた時期も長らく続いていたものの、最低金額の競争が繰り広げられて100円まで下がっているのが現状です。
また、投資信託の中でも積み立てを前提としている商品の場合には一回当たりの投資金額が少なくなっているものが目立ちます。100円から1000円が標準的なので、小口投資で長期運用をしていきたい人にとっては魅力がある例です。
バイナリーオプションも小口投資商品として知られています。国内ではバイナリーオプションのガイドラインが策定されて、以前に比べると安心して運用できる仕組みが生まれました。国内のバイナリーオプションでは少なくて済むときには50円から投資が可能です。
一般的には数百円程度の資金が必要になりますが、それでも投資信託や株と並ぶ小口投資です。ロボアドバイザー投資やAI投資も小口投資商品としてサービスが提供されるようになってきました。1000円から始められるロボアドバイザー投資も見られるようになり、気軽に始められる投資になりつつあるのが現状です。
小口投資をおすすめできるケース
小口投資は少額資金しかなかったとしても運用を始められるのがメリットですが、おすすめできるかどうかは状況によって異なります。小口投資は少額しか運用しないため、ほとんどの投資商品の場合には資産が大きく増えるわけではありません。
仮に株価が200円の株を1株だけ購入し、株価の高騰によって500円になったとしても300円しか利益を得られません。手数料も差し引かれる場合が多いので、あまり資産形成になったという印象を受けられないでしょう。
200万円を運用していたなら300万円の利益になるため、運用した甲斐があったと考える人が多くなります。このように小口投資では大口投資に比べると手に入る利益が少ないのがデメリットです。
そのため、小口投資は投資による資産形成を速やかにおこないたいというときにはあまりおすすめできません。投資を通して実経験を積み、将来的に運用資金を十分に確保できたときに大きな利益を生み出せるようになりたいという人に向いています。
また、積み立てをしてだんだんと資産を増やしていきたい人にもおすすめです。小口投資を繰り返していき、複利運用をすれば長期的には大きな資産を築き上げられる可能性があります。投資は資産を増やしたいから取り組むのが普通ですが、基本的に小口投資は短期間で利益を得るのは難しいと理解しておくことが重要です。
小口投資をアプリでやるべきか
小口投資をするときにアプリの利用を検討している人もいるでしょう。多くの証券会社では公式アプリを用意していて、アプリを使って取引できるようになっています。アプリで完結するサービスを提供している場合もあり、スマホを使い慣れている人ならいつでも気軽に投資をおこなえるのがメリットです。
小口投資の場合にアプリを使うべきかどうかを判断するのは難しいですが、基本的にはアプリを使うのに抵抗感がないのなら利用した方が良いでしょう。アプリを使うと売買をするのが簡単なので、取引すべきタイミングを逃すリスクが減るからです。
投資で利益を得るためにはタイミングよく取引をすることが重要です。株価が上がったときに売って利益を出す、投資信託の基準価額が下がったところで買い増しをするといった取引の仕方は基本としてよく知られています。
このような取引をするには株価や基準価額をいつでも見られるようにするのが理想的です。証券会社のアプリに限らず、株価情報などを簡単に見られるアプリはたくさんあります。アプリを使って小口投資をすればコツコツと資産を増やせる可能性が高くなり、投資のやりがいも大きくなるでしょう。
アプリを使うことは必須ではありませんが、ウェブサイトを使ったり、証券会社の担当者に電話などで連絡したりして取引するよりも簡単だと思うならアプリを活用するのが大切です。
使える資金を考えて投資しよう
小口投資は少ない資金でも運用による資産形成を狙えるのが魅力です。投資の中でも人気が高い株でもできますが、投資信託などの他の選択肢もあります。小口がいくらかという考え方は人によって違うので、自分の資金をよく考えて投資方法を選びましょう。