FIREが注目を集め、経済的自由を達成して早期リタイアを目指す人々が増えています。しかし、FIREを達成するためには、単に投資を行えばよいというわけではありません。資産形成においては、収入源をどのように確保し、どの投資を行うか、その過程で直面するリスクとどのように向き合うかという点において、長期的な計画が不可欠です。今回は、私FIRE達成者KがFIREを達成するためのポイントを詳しく説明していきます。
FIREとは
FIRE(Financial Independence, Retire Early)とは、経済的自由を達成し、早期リタイアを目指すライフスタイルのことですが、それは必ずしも仕事から離れることではなく、働き方に選択肢を持ち、自身の理想の生活を実現することを目的としています。
FIREを達成するためには、「年間の支出の25倍の資産を形成し、その資産を年利4%以上で運用する」という基本のルール(4%ルール)があります。この4%ルールは、過去の株式市場や不動産市場の実績をもとに、資産を減らさずに生活していくための目安として知られています。
FIREを達成すると、早期リタイア後は、自由な時間を使って趣味や家族との時間を充実させたり、新たなことに挑戦したりできます。しかし、目標を達成するためには長期的な運用計画と資金管理の徹底が不可欠です。
二つの資産形成方法
FIREを実現するためには、主に二つの資産形成方法があると考えます。
①高年収の会社で入金力を高める
一つ目は、高収入が得られる仕事に就き、その収入を元に投資を続ける方法です。安定した収入が見込めるため、毎月の入金力(投資にまわせる資金)を高めやすく、比較的低リスクの投資商品を選択しても着実に資産形成できる可能性があります。
具体的には、インデックスファンドや高配当株などの年利4%~7%程度の安定した商品に長期的に投資を続けることが推奨されます。
この方法は、支出管理や長期目線での投資戦略が必要となるため手間や時間がかかりますが、再現性が高く、低リスク商品を選びながらも十分な資産形成が可能な点が魅力と言えます。
②ハイリスク・ハイリターンの投資で短期間で資産形成する
二つ目は、少額からでもあえてハイリスク・ハイリターンの商品に投資して短期間で資産を急成長させる方法です。これには、株式投資で価格変動率の高い銘柄を選び売買を繰り返す手法や、FX、仮想通貨、レバレッジをかけた取引などが当てはまります。
この方法は、短期間で大きなリターンを得られる可能性がある一方で、大きな損失となるリスクも伴います。また、この方法で継続的に資産を形成するためには、マーケットの動きを正確に読む力(分析力)や適切なタイミングで取引を行うスキル(判断力)が必要なだけでなく、運などの不確定要素が左右することもあります。
リスクテイクはバランスを取ることが大切
FIREを実現するための方法は人によって様々ですが、私は前述の二つの方法を組み合わせた複合型で資産を形成し、FIREを達成しました。最初は高収入の仕事を通じて入金力を高め、同時に一部の資金をハイリスク・ハイリターンの投資に割り当てました。また、ミドルリスク・ミドルリターンの不動産投資を活用し、物件の価値が上がったタイミングで売却することで大きな利益を得ることができました。
この複合型アプローチのメリットは、入金力が安定していることでリスクヘッジが可能でありながら、ハイリスク・ハイリターンの商品に資金を投入して短期間で資産を増やせる点です。
また、資産が増えた段階で再現性の高い安定した投資を行うことにより、さらに資産を拡大することができました。
このように、複数の収入源を持つことで、リスク分散しながら資産を増やすことができます。ただし、この方法は相応のリスクを伴うため、すべての人に適しているわけではありません。
ハイリスク・ハイリターンの投資には限界がある
ハイリスク・ハイリターンの投資は、短期間で大きな資産を形成できる可能性がありますが、それには投資のセンスや市場分析力が必要となります。
特に、株式市場や為替市場のボラティリティが高まっている現在は、短期的な利益を狙う投資は難易度が高く、そのリスクはかつてないほど大きくなっています。
少ない資金で短期間に資産を増やし続けることは、サイコロを振って奇数を出し続けるのと同じくらいの確率であると言えます。
このため、FIREを目指す人にとっては、再現性の高い投資戦略を実践することが重要です。リスクをコントロールしながら安定的なリターンを追求することで、時間はかかっても確実に資産形成を進めることができます。
長期的かつ安定的に資産を増やすためには、まずはインデックスファンドなどのリスクの低い商品に定期的に投資し、資産形成の土台を築くことが重要です。
その一方で、資産の成長を加速させたい場合は、資金の一部をリスクの高い商品に割り当てることで高収益を狙うことも可能です。ただし、それは市場の不確実性やタイミングなどによって大きく変動するため、資産形成全体の補完やリスク分散の一環として行い、過度に依存しないことが大切です。
入金力の重要性
上記の戦略を進めるためには、ある程度の入金力が必要となります。一つの収入源に頼るのではなく、副業や投資により複数の収入源を持つことで、資産形成をスピードアップさせることができます。また、特定の市場や資産クラスが低迷した場合でも他の収入源で補うことができるため、心理的な安心材料になります。
投資とメンタルの関係
FIREを目指す過程で多くの人が直面するのが「メンタルの管理」です。投資の世界では、「簡単にお金が増える」という誤解が生まれやすいですが、実際はそう簡単なものではありません。
特に、資産が大きく増減する場面では、感情に流されることなく冷静に対処する必要があります。市場の変動や一時的な損失に過剰に反応して取引してしまうと、長期的な計画が崩れる可能性があるためです。
メンタル対策で重要なことは、自身のリスク許容度に見合った投資戦略を立てることです。また、資産運用において長期的な視点を持つことで、短期的な変動に振り回されずに済みます。FIREを達成するには、資産(数字を追う)だけでなく、メンタルのコントロールも重要であることを覚えておくとよいでしょう。
短期間で大きなリターンを狙うのではなく、長期的に再現性のある投資を行うことがFIREへの近道と言えます。一方で安定した収入を得つつ、他にも収入源を持つことで、リスクのバランスを取りながら資産を増やしていくことが大切です。自分に合った投資戦略を見つけるためには、まずは自分のライフスタイルを見つめ、リスク許容度を把握する必要があります。FIREは、単に経済的自由を手に入れることではなく、自分らしい人生を実現するための手段です。目標を明確にし、その達成に向けて着実に進むことがFIREの本質であると言っても過言ではないでしょう。