不安定な投資マーケットの乗り切り方について

不安定な投資マーケットの乗り切り方について|リビングコーポレーション

投資をしていると、上昇相場だけでなく下落相場や暴落を経験することもあります。
マーケットが不安定になると、今までの投資手法が通用しなくなる可能性もあります。
今回はマーケットが不安定になった時の考え方と乗り切り方について解説していきます。


<下落相場や暴落は避けられないこと>


有名な相場格言に「天井三日底百日」という言葉があります。これは歴史的な株価の動きを表しており、たとえ今が上昇相場であっても、それは長く続かず下落相場に転ずる可能性があるという注意喚起の言葉だと思います。

過去のマーケットを見ても、1987年の「ブラックマンデー」、2000年の「ITバブル崩壊」、2008年の「サブプライムローン破綻」、その後の「リーマンショック」、直近では2020年「コロナウイルス感染拡大」、2022年「ウクライナショック」と暴落は頻繁に起こることだと捉えたほうが現実的です。

マーケットの性質上、世界情勢や経済状況により、上昇相場と下落相場や一時的な暴落を繰り返すことは自然な事と言えます。これを踏まえた上で、投資を行うことが重要だと思います。

次からはマーケットが不安定になった際に、どのような考え方で臨めば損失を減らし、資産を守ることができるのか具体例を挙げていきます。


<当初の想定から外れた場合、損切りする>


投資を行う際は様々な想定をして、ルールを決めてから実行することが重要です。「この投資は短期の勝負として投資する」「株価が○%上がったら一部利益確定する」、「株価が○円下がったら全て損切りする」など投資前に今後の方針を決めておくことで、想定以上の損失を防ぐことができます。

しかしながら、人間は心理的に少しの利益は許容できても、損失は許容できないのも事実です。株価が下がり、想定では損切りするラインであったところを超えて下落した際に、すぐに損切りできない人も多いと思います。その結果、多くの場合で想定よりも多くの損失を被ることになるケースもあります。

おそらく事前にシミュレーションした通りに取引したほうが投資結果は良くなる場合が多いと思います。特にマーケットが不安定になった際は、一方的に値が下がる可能性もあります。

余裕資金が充分にあり、平均取得価格を下げるナンピンをすることも想定に入っていた際は別ですが、想定が外れた際には機械的に直ちに損切りを行うことが最善の方法だと思います。

一番やってはいけない取引は、当初の予定は「短期投資」であったはずなのに、価格が下落したために「中長期投資」に切り替えることです。結果的に「塩漬け」になり、身動きが取れなくなる可能性や、思わぬ大きな損失を被ることも考えられます。


<こまめな利益確定>


下落相場でも一時的なリバウンドは起こり、株価が元の水準より高くなるケースも多くあります。ここで見誤ってポジションを大きくすることが失敗につながるケースがあります。

大きな下落の後の最初のリバウンドは売りというセオリーもあり、「二番底」を付けに行く場合もあります。完全に底の部分を当てることは簡単ではありません。

特に下落相場や荒れた相場では値動きが荒くなるため、日替わりで大きなプラスとマイナスが入れ替わることが考えられます。大きく下落し、含み損状態になった銘柄が一旦プラスになった時は、一部を利益確定することでリスクを軽減できます。精神的に余裕も出て、次の機会に資金を回すこともできるため、こまめな利益確定は不安定なマーケットでは有効な戦略となると思います。


<レバレッジ型商品には投資しない>


最近個人投資家に人気の金融商品の中には「レバレッジ型」があります。これは原指標(日経平均やナスダックなどの指標)の変動に対し2倍や3倍の変動になるように運用される商品です。

投資後に思惑通りに進めば大きなリターンを得られる可能性がある反面で、予測を外した場合は、思ってもみなかった大きな損失を被る場合もあり充分な注意が必要です。

特にマーケットが不安定な時や直近安値を割ってしまった際は、大きな変動が起こる場合もあり、その変動幅の数倍の損失が考えられるリスクの大きい商品です。

自身が投資する商品に対し、詳細まで正しく理解してから投資を行うことが重要です。投資対象や価格決定の性質、売買方法などは必ず理解してから実践することが大切です。またメリットだけに目を奪われ、肝心なデメリットを見失ってしまうことで予測以上の失敗に終わるケースもあります。

マーケットが不安定な時は、こういったレバレッジ型の商品への投資は運の要素も強くなる傾向がありますので、慎重に投資判断を行う必要があります。


<信用取引は極力避ける>


株式投資の信用取引は自身の資産の約3倍まで取引ができる制度です。レバレッジ型商品と同じく、思惑通りにマーケットが動けば、大きなリターンが期待できます。一方で予測が外れた際は、最悪の場合は追証となり、自分の手持ち資産を超えた損失を被る可能性があります。

信用取引やレバレッジ型商品は基本的には短期の投資としての戦略であり、中長期間での投資には向いていないという見方が大勢です。投資ではなく投機に分類されるような、運に任せた取引になってしまうケースもあるため、充分な注意が必要です。

信用取引にはメリットもありますが、デメリットも大きく、マーケットが不安定な際は極力避けたほうが資産を守ることに繋がると思います。


<価格変動のない商品への分散投資>


マーケットが不安定になると、変動幅が大きくなる場合が多くなります。普段は変動幅が小さく出来高が多い銘柄でも、1日で10%以上の変動があることも最近では珍しくありません。

マーケットを取り巻く環境も変わってきており、AIやアルゴリズムによる取引も多くなることで、一方的な価格形成がされるケースも多々見受けられるようになってきました。今までにはなかったような暴騰や暴落も起こり、ボラティリティが上がってきている印象もあります。

日々の価格変動が大きいと、投資資金が多いほどその変動は比例して大きくなります。1万円を投資している人の株が40%下落した場合、含み損額は4000円ですが、1千万円を投資している人は400万円になります。同じ割合の損失ですが、投資金額により大きく印象が変わります。

このように大きな価格変動に耐えられる経験と強靭なメンタルを持っている人は別ですが、普通は日々の価格変動に一喜一憂し、含み損額を見ると精神的にも安定できない人が多いと思います。

これを防ぐには、価格変動がない金融商品に分散投資する手法が有効だと思います。株式や為替は日々の価格変動があり、一般的にはハイリスク・ハイリターンの金融商品と認識されています。このようなリスク商品に投資しているのであれば、集中投資するのではなく、商品の分散を検討したほうがリスクを軽減できます。

価格変動がなく、投資後も管理の必要がない金融商品の例として「不動産クラウドファンディング」が挙げられます。不動産投資を小口化した商品で、小額から投資することができ、株式投資との分散として考えることもできるため注目度が高まってきています。


投資をしている以上、下落相場や暴落にあたってしまうことは避けられません。良くない地合いをいかに乗り切ることができるかを考え、資産を増やすことよりも資産を守ることで、上昇相場に転じた時にチャンスを活かすこともできます。ご自身の投資手法や投資商品を定期的に見直すことも大切な投資行動のひとつかもしれません。