投資初心者には難しい金融商品とは?

投資初心者には難しい金融商品とは?|リビングコーポレーション

投資には様々な金融商品があり初心者のうちは、なにから始めればよいのか分からない人も多いと思います。投資信託や株式は有名な商品ですが、金融商品のなかには初心者には難しいものもあります。今回は投資初心者には難易度が高いと言われている商品の特徴を解説いたします。

 

<FX>

FXとはForeign exchangeの略語で、海外では「Forex」と言われています。

日本語の正式名称は外国為替証拠金取引で、証拠金をFX事業者に預託し、様々な外国為替のペアの売買をする取引です。

 

FXは自身の取れるリスクや資金の範囲内であれば、危険な商品ではありません。しかし、証拠金の数十倍規模の取引が出来てしまう点には注意が必要です。

 

国内のFX事業者のレバレッジは金融庁の取り決めによって最大25倍と定められています。つまり自身の証拠金を100万円預託した場合は、最大2500万円の金額の取引まで取引量を増やすことが可能です。

 

株式の信用取引のレバレッジは3倍程度ですが、これでも最悪の場合、自身の資金を超える損失が発生する可能性はあり危険とされています。特にFXは経済指標の発表や各国の要人発言、突発的な出来事によりマーケットにサプライズがあった場合、価格が急変する可能性があります。

 

株式の現物取引であれば、購入した株式の価格以上に損失になることはありません。ある銘柄の株式を10万円で購入した場合、考えられる最大の損失額は10万円です。しかしFXはレバレッジを効かせた取引をしていた場合、自身の証拠金以上の損失を被る危険性があることを充分に理解する必要があります。

 

国内のFX事業者であれば、証拠金の維持率により強制的にロスカットされる制度を取っている事業者がほとんどですので、安全性はある程度ありますが、相場の急変時にはロスカットラインでは取引が成立しない場合も考えられます。

 

この場合、実際に約定した価格がロスカットラインよりも大きく乖離し、証拠金を超える損失になる可能性があります。

 

また相場が急変した際に気を付けなければいけないのは、売買のスプレッドです。スプレッドとは、通貨ペアの買う時の価格と売る時の価格の差のことです。通常は米ドル/円のペアのスプレッドは0.1銭から1銭ほどで事業者により異なります。しかし、相場に何か予期せぬ出来事により価格が急変した場合、スプレッドも急激に広がります。

 

過去の価格急変時には通常はスプレッドが狭い、米ドル/円でも事業者によっては最大で2円ほどスプレッドが広がったこともあります。こうなると自分の思うような価格では決済できなくなります。

 

FXは活用法によっては有効な投資になりますが、自身のリスク許容度を超えた取引を行うと、かなり危険性がある商品とも言えます。よく理解しないまま、FXで大きなポジションを取ることは、初心者のうちは避けたほうが賢明だと思います。

 

<新興国通貨関連の商品>

新興国通貨とはエマージング通貨とも言われ、成長の途上にある国で流通する通貨のことを指します。地域としては、東南アジア・中南米・東欧・アフリカなどの通貨で、日本でも人気がある通貨は、南アフリカのランド、ブラジルのレアル、トルコのリラなどがあげられます。

 

新興国通貨の特徴は、経済成長の途中段階にあり政策金利が高い傾向にあります。このため、新興国通貨建て債券の購入や外貨預金を行えば高い金利を受け取ることができます。

また為替取引で買いポジションを取れば、高いスワップポイントを得られることもメリットのひとつです。

 

スワップポイントとは、取引する通貨のペア間の金利差のことです。米ドル/円やユーロ/円などメジャーな通貨ペアでもスワップポイントを得ることはできますが、新興国通貨のスワップポイントは比較的高くなることが一般的です。

 

新興国通貨の関連商品を持っているだけで高金利が得られることは、大きなメリットになりますが、新興国通貨には当然デメリットがあります。そのデメリットとは、新興国は経済発展の途上であり、金融市場や政情が不安定な場合が多いことです。好調であった経済が急激に悪化し、物価水準や政情も急変する可能性や地政学的なリスクも考えられます。

 

このようなリスクは先進国よりも起こる確率は高いと考えられ、しかも短期間で大きく変化が起こる可能性があります。これらのリスクが実際に起こると、その新興国の通貨は暴落し、得られる金利よりも為替自体の評価損が多くなり、結果的に資産が大きく減少するケースも多くあります。

 

実際に南アフリカランド、ブラジルレアル、トルコリラの長期チャートを見ると右肩下がりになっています。これ以上の値下がりはしないと逆張り投資を勧められ、結果的に得られる金利以上の損失になっている状況も多いと思われます。

 

高金利だけに目を奪われて商品を購入してしまうことは、思ってもみなかった悪い結果に陥る原因となります。メリットとデメリットを比較し、投資中に起こり得るリスクを正しく理解し取引することが重要です。

 

<先物取引>

先物取引とは派生商品(デリバティブ)の種類のひとつで、商品や指数を将来のあらかじめ決められた期日に、決められた価格で取引することを言います。金やプラチナなどの金属、大豆やとうもろこしなどの農作物、原油やエタノールなどのエネルギーの商品先物と、日経平均先物やTOPIX先物などの金融(株価指数)先物があります。

 

プロの機関投資家や商品先物に関連する事業者が、ヘッジや分散投資として活用する分には有効な商品ですが、投機的な取引で用いられる場合もあり、個人や初心者が大きなポジションを持つことはリスクが高くなります。

 

先物取引には期日があるため、SQ(特別清算指数)という自動的に決済される日が設けられています。このSQに向けて様々な思惑や市況により、価格が乱高下することも多く瞬間的に価格が急変することもあります。

 

FX同様、証拠金取引でレバレッジ取引が可能で、差し入れた証拠金の20倍ほどまで取引できるため、ハイリスク・ハイリターンの商品と言えます。少ない資金でも短期間で大きなリターンを得られる期待がある反面、証拠金以上の大きな損失を被る可能性があります。

 

また、SQの他にも限月、ロールオーバー、コンタンゴ、バックワーデーションなど先物取引に関する難しい専門用語もあり、理解するのには多くの経験も必要となってきます。特に投資初心者が理解の少ない状況で手を出してしまうと、意味が分からないままに思わぬ大きな損失を被るケースも見受けられます。

 

最近の事例では、2020年4月に一部の原油先物価格がコロナ禍の影響を受け、マイナスになるという通常では考えられない価格形成がされたことがあります。これは売り手が買い手にお金を払って現物の原油を引き取ってもらうということになり、商品売買の理論上では異常な状態になりました。原油先物でマイナス価格になったのは史上初の出来事でした。

 

原油先物価格がかつてないほど値下がりしていた時点で、限月の直前であったことを理解せず、買い場だと安易に判断した投資家はさらなる価格下落を受けました。また、かつてない出来事にシステムも対応ができない業者もあり、結果的に大損害になった投資家が多数でました。

 

これらの商品は正しく理解し運用すれば、大きなリターンを得ることが可能ですが、理解不足やなんとなく取引すると大きなリスクが存在します。投資初心者のうちは知識だけに留め、実践は経験を積んでからにした方が賢明だと思います。