FIREムーブメントの変化と日本に適したFIREとは?

FIREムーブメントの変化と日本に適したFIREとは?|リビングコーポレーション

ますます注目度が上がっている「FIRE」(経済的自立による早期退職)。

最近はFIREの概念や考え方に変化が表れてきている印象があります。

2018年にFIRE達成した、私「FIRE達成者K」が、最近のFIREの傾向と、日本向けのFIREと言える「サイドFIRE」について解説いたします。

 

<FIRE発祥国アメリカでのFIREとは?>

 

FIREムーブメントの発祥はアメリカで、その後、ヨーロッパの主要国に広まったとされています。

その歴史はまだ浅く、アメリカでは2010年代から徐々に広まり、日本では数年前からFIREというワードをよく聞くようになったばかりです。

 

アメリカでのFIREの種類は、ファットFIRE、リーンFIRE、バリスタFIREなどがあります。

それぞれのFIREの種類を解説いたします。



・Fat(ファット)FIRE

Fatは「豊かな、ふくよか」という意味です。

大きな資産を形成し、不労所得や資産の切り崩しだけで豪華な生活ができ、労働の必要もない経済状況でのFIREを指します。

 

これは従来からあるリタイアの考えに近く、資産額としては3億円以上の超富裕層と言われる階層を指す場合が多いです。

理想的なFIREの形ですが、少なくとも数億円の資産形成が必要で、これが達成できるのはごく限られた人のみと言えます。



・Lean(リーン)FIRE

Leanは「引き締まった、やせた」という意味です。

必要最低限の生活を目指し、節約を行いながら効率を最優先したライフスタイルです。

 

リーンFIREは、ミニマリストとFIREの概念が融合した新しい生活様式と言えます。

ミニマリストとは、生活に本当に必要な物だけを所有し、節約やライフプランの見直しにより、生活費を抑えながら無駄のない暮らしをしていくライフスタイルです。

 

アメリカでのFIREはこのリーンFIREが主流と言われており、FIREというワードを聞くとミニマリストを連想する人も多いようです。

 

リーンFIREは、生活に必要な支出を節約により、最低限度まで切り詰めることで、ファットFIREできるほどの資産形成がされていなくとも、早期にFIREを達成しようという考え方です。

 

日本でアーリーリタイアと聞くと莫大な資産を手に入れ、悠々自適な生活を送ることが連想されますが、実はFIREはミニマリストの考え方に近い部分があります。

 

ミニマリストの考え方にFIREの投資の概念が融合し、生まれたのがリーンFIREとされ、ライフスタイルの変化によりアメリカの若者層中心に受け入れられたムーブメントです。



・Barista(バリスタ) FIRE

Baristaはコーヒーショップでコーヒーを淹れるバリスタを意味します。

バリスタFIREはフルタイム労働をやめて、アルバイトなど少しの労働や副業の収入を投資の不労所得と組み合わせて、アーリーリタイアすることです。

 

リーンFIREの必要最低限の生活は向いておらず、ファットFIREほどの資産形成が出来ていない場合、バリスタFIREが選択肢に入ります。

 

バリスタFIREが広まった背景には、アメリカの社会保障の制度があります。

アメリカは、日本ほど年金や健康保険制度が手厚くなく、病気をして通院すると莫大な医療費がかかることもあるそうです。

 

ある程度の資産形成ができた時に、フルタイムの労働はリタイアし、負担のない仕事内容のアルバイトで社会保障を得ながら自由も得られるという考え方です。

 

紹介したFIREの種類の中では唯一、労働収入を得る必要がありますが、資産が少なくてもFIRE生活が送ることができる点では大きなメリットがあります。



<日本に適したFIREとは?>

 

日本でもここ数年、FIREはメディアなどで大きく取り上げられる機会も多く、FIREはブームと言っても過言でないような状況になっています。

 

アメリカ発祥のFIREは、日本で浸透するにつれ、日本独自の進化を遂げている印象があります。

FIREというライフスタイルは、その国の経済状況やマーケット状況、社会保障制度により大きく変わってくるからです。

 

最近では日本独自のFIREの種類として、「フルFIRE」、「サイドFIRE」というワードが使われるようになってきました。

こちらを解説していきます。



・Full(フル)FIRE

ファットFIREの考え方と同じで、数億円規模の資産形成ができ、投資などによる不労所得のみで、労働所得の必要が無くリタイアすることです。

従来からあるリタイアの概念に近く、理想的なFIREですが、達成までのハードルは高く、ごく限られた人だけが達成することができるFIREと言えます。

 

具体的には、元々資産家で莫大な財産がある、起業家としての成功者、有名人やスポーツ選手など名声のある人の引退後などが挙げられます。

普通の会社員がフルFIREを達成することは、簡単ではないと言えます。



・Side(サイド)FIRE

リーンFIREとバリスタFIREを組み合わせたスタイルが、日本でサイドFIREと呼ばれるようになり、日本独自のFIREの形と考えられます。

 

フルFIREほどの資産が無くても、投資での不労所得と労働収入や副業での収入を組み合わせることにより、FIRE達成のハードルは低くなります。

 

日本でFIREを目指すなら、サイドFIREが現実的で、日本の社会保障制度や社会環境にマッチしていると私は考えます。



<サイドFIREの概念>

サイドFIREとは、今まで形成した資産を元手にした投資での収益と、少しの労働や副業での収入を組み合わせて、収入>支出の状態にするFIREの方法です。

 

投資での収益はもちろんですが、ライフプランを見直し、不必要だと考えられる支出を減らすこともサイドFIREでは重要な要素であると考えられます。

 

FIREの概念では、年間生活費の25倍の資産が必要で、それを4%で運用することで資産の減少を防ぐ「4%ルール」が存在します。

 

例えば、年間生活費が200万であれば、200×25=5000万円、300万であれば、300×25=7500万円がFIRE達成には必要とされています。

これを4%で運用すると、5000万円を4%運用で200万円、7500万円4%運用で300万円となり、投資元本を減らさずに生活できる計算となります。

 

実際には税金など詳細なシミュレーションが必要ですが、FIREとはこのような考え方です。

 

今注目されているサイドFIREは、労働収入や副収入と組み合わせることにより、FIREに必要な資産を減らすメリットがあります。

年間生活費が200万円で、100万円の副収入がある場合、投資収益で100万円が得られれば、計算が成り立つことになります。

 

つまり、本来FIRE達成には5000万円必要とされていたケースが、その半分の2500万円で理論上はFIREできる金額となります。

 

もちろん、投資失敗による資金減少、4%以下でしか運用できない、不意な大きな出費による投資元本の減少などのリスクはありますが、この条件であればFIREを目指してみる価値があると考える人も多くなっているのが現状です。




日本でも貯蓄から投資への流れが加速し、社会環境やライフスタイルの変化、多様性を認める社会への流れ、働き方改革などと相まって、FIREへの注目が高まっています。

 

FIREとは達成がゴールではなく、FIRE後の自由な生活をいかに楽しむかということが重要だと思います。

FIRE達成により人生の選択肢が増え、より人生を楽しめる手段のひとつがFIREだと私は考えます。

 

FIREには向き不向きがあり、誰にでもおすすめできるライフスタイルではないですが、まずは投資の必要性を知り、実際に投資の世界の扉を開いてみることは、人生の選択肢を広げる第一歩になると思います。