「FIRE」の基礎知識を徹底解説!

「FIRE」の基礎知識を徹底解説!|リビングコーポレーション

こちらの記事は、「FIRE達成者Kさん」に執筆いただいたコラム記事です。ぜひお楽しみください。

 

「FIRE」というキーワードを知っていますか?最近はさまざまなメディアでも取り上げられることが多く、関連する書籍も出版され、若い世代からも注目を集めています。


給与収入を株式や投資信託、不動産などに投資して資産形成をし、アーリーリタイアした後、その資産を元手に投資による不労所得で生活をしていくという新しい概念、ライフスタイルです。


注目の「FIRE」という生き方を、2018年にFIRE達成した私が基礎知識を解説しながら、何回かにわたり、経緯とその達成方法をご紹介していきます。


<FIREの意味と基礎知識>


「FIRE」とは、Financial  Independence  Retire  Early の頭文字で、「経済的自立での早期退職」という意味です。

 

これは従来、富裕層だけが実現できた十分な資産の中で労働しなくても良い悠々自適な生活という、特定の人だけが達成できる概念とは異なり、形成した資産を元本にし、投資収入を得ながら生活費やライフスタイルを見直し、場合によっては少しの労働や副業をしながら、収入>支出の状態を作り上げることです。

 

普通の会社員でも正しく内容を理解し、投資スキルを磨き実践すれば、FIREを目指すことができるため注目が集まっています。単純にお金のためだけではなく、従来の長年のフルタイム労働から解放され、自由を手に入れ、豊かな人生を楽しむという欧米発祥のムーブメントで、日本でも若者を中心に急速に広まっている動きです。


<FIREの歴史>


FIREムーブメントの火付け役とされるのは、クリスティー・シェンさんとブライス・リャンさん夫妻です。

 

FIREに関する情報サイトを運営し、その著書はアメリカでベストセラーになっており、日本でも和訳されており読むことができます。中国の貧困層で育ちながら、カナダに移住し2010年代に31歳の若さで100万ドルの資産を形成した妻のクリスティー・シェンさんがFIREの提唱者とされています。

 

つまりFIREという概念ができて10年ほどしか経っておらず、まだ新しいムーブメントと言えます。


<FIREにはいくらの資産が必要なのか?>


一般的に目安とされているのは年間支出の25倍です。年齢や家族構成などの条件が変わってもこれは一つの目安となります。

 

年間生活費が独身で200万であれば、その25倍の5000万円、家族がいる世帯で生活費が350万円であれば8750万円という額が目安になります。

 

この金額だけを聞くと難しいと考える人も多いかと思いますが、少しの労働や副業での収入を得ながらFIREするという選択肢もあります。


<4%ルールとは?>


FIRE達成後、重要な考え方の一つに「4%ルール」があります。

 

4%ルールとは投資原本に対し年間生活費を4%以内にすれば、その元本を減少させることなく生活し続けられるという、アメリカのトリニティ大学が1998年に発表した研究結果でトリニティ・スタディとも言われています。つまり支出を抑えライフプランを見直すことで、運用資産の4%以内の生活費を実現できれば、高確率で資産を減らすことなく持続可能になるという理論です。

 

米国株の年間平均パフォーマンスや日本の高配当株の配当利回り、REITや不動産クラウドファンディングでの運用利回りなどを考えると、手軽に投資できる商品だけでも4%以上の運用益を得ることは現実的に可能と言えます。


<FIREが支持される社会背景>


元々欧米でのムーブメントであったFIREが、日本でも若者を中心に注目を集め支持されています。これは日本でも贅沢な暮らしより身の丈に合った質素で飾らない暮らしをしたい人や、新しいライフスタイルや生き方に共感し、それを目指す人が増えているからだと言えます。少し前までは定年まで働くことが当たり前で、早期退職と言っても50代後半を指すことが多かったと思います。

 

一方で、FIREを目指す人の年齢層は30代、40代が中心で、中には20代前半の人もいます。私にもSNSを通じて若い世代からFIRE達成への方法や考え方に質問が数多く来るようになりました。


彼らに共通していることは、今まで社会で当たり前だったことや固定観念に疑問を持ち、新たな視点で物事を考えられる点です。投資においても現在の価格や市況に疑問を持つことは大切な考え方です。

 

定年を60歳から65歳に引き上げる企業や、年金支給開始年齢の引き上げの動きなど、結果的に労働する年数が伸びる傾向にある事も若者世代が将来について考えるきっかけとなっていると思われます。学生を経て就職し、定年まで働くことが普通という概念が、一部の人達の中で普通ではなくなってきており、その中でお金よりも自由を選択する動きや、多様性を認める社会への変化もFIREが支持されている背景の一つなのかもしれません。


<FIREの種類>


FIREはある一定の概念はありますが、こうでなければならないという縛りはなく、FIRE達成者が100人いたら、100通りの形があると言っても過言ではありません。
FIREムーブメントの広がりとともに、いくつかの種類に分類されるようになってきましたので、これらをご紹介します。

 

・Fat(ファット) FIRE…Fatは「豊かな」という意味で、資産が十分にあり不労所得のみで労働しなくても豪華な暮らしができる状態を言います。これは従来のリタイアの意味に近く、資産額としては超富裕層と言われる階層を指す場合が多いです。理想的なFIREの形と言えますが、数億円の資産形成が必要で達成へのハードルはかなり高いです。

 

・Lean(リーン) FIRE…Leanは「やせた、乏しい」という意味で、節約やライフプランを徹底的に見直し、投資などによる不労所得で身の丈に合った生活をおくる状態。米国でFIREと言うと、この概念が一般的とされます。これは社会の変化などから「ミニマリスト」と言われる人たちと共に発展してきたFIREと言えます。


「ミニマリスト」とは、必要最低限の物だけを持って生活する人の事で、本当に必要なものだけで生活することで、かえって自分らしい豊かな生活をおくることができるという2010年代からの新しいライフスタイルです。ミニマリストの概念はFIREと共通した部分も多いため、双方の考え方が融合してLean FIREが生まれたと思われます。

 

・Barista(バリスタ) FIRE…Baristaはコーヒーを淹れるバリスタを指します。これはフルタイム労働を辞め、アルバイトなどの少ない時間の労働やネットを使った副業による収入を生活費に補填し、投資での不労所得と組み合わせて、収入>支出を実現した状態です。日本では「サイドFIRE」とも呼ばれています。


個人的にはこのバリスタFIREが日本でFIREをする場合、一番適していると考えます。

 

FIRE達成の必要資産の目安は年間生活費の25倍と説明した通り、年間生活費が300万円の世帯の場合、7500万円が必要となります。


しかし、アルバイトや副業で月10万円の収入を確保した場合、年間生活費は300-120=180万円で、FIRE必要資産は180×25=4500万円となり、4%ルールを実践すると年間生活費×15倍までハードルが下がります。

 

バリスタFIREの良い点は、必要資産が下がることで、若く健康な時にフルタイム労働から解放され、尚且つ、負担のない労働や副業を通して社会との接点を保てる点です。自由を手に入れ、人生を楽しむ時間が多く取れるメリットがあります。私もバリスタFIREに移行してきています。


FIREを達成することは誰でも簡単にできる事ではないかもしれませんが、ライフスタイルとして目指す価値のある事だと思います。


先ずは投資の世界への扉を開いてみることが、大きな目標達成のための第一歩です。
次回からは私がFIREを達成できた経緯と具体的な方法をお話ししていきたいと思います。