貯金と投資という言葉を聞いてどのようなイメージを持っているでしょうか。両方とも似たようなものだと思っている人もいれば、包含関係があると考えている人もいるでしょう。この記事では貯金と投資について詳しく解説します。
貯金と投資は資産運用の種類
貯金と投資が同じようなものだと考えている人が多いのはどちらも資産を増やす手段として用いられているからです。貯金も投資も広い意味で言えば資産運用の一種です。貯金は字義的にはお金を貯めることですが、一般的には郵便貯金のように金融機関にお金を預けることを意味します。
銀行の場合には預金と呼ぶのが基本で、合わせて預貯金と呼ぶこともあります。貯金は基本的にお金を預けておく貯蓄なので、お金が減ってしまうことはありません。しかし、預けておくことで利子が付く仕組みになっているため、資産運用の一種として捉えることができます。
一方、投資は資産運用として典型的なもので、資産を積極的に使って増やそうとすることを意味します。投資は貯金と違ってお金を増やすのが目的なのが特徴で、リスクを負ってでも大きな資産形成になるように運用します。
リスクが高いほど得られる利益も大きくなるのが一般的な傾向です。お金が少しくらい減る可能性があったとしても、大きく増やせる可能性があるなら資金を有効活用したいというときに投資が選ばれています。
このように貯金と投資はリスクの有無とリターンの大きさが異なる点です。リスクのない資産運用をするなら貯金、リスクを負ってでもリターンを求めるなら投資を選ぶのが基本になります。
投資には色々な種類があるので、リスクとリターンのバランスを考えて取り組むことも可能です。
貯金と投資はどっちが良いか
すぐに必要ではない資産があったときに貯金と投資のどっちが良いかで悩むこともあります。以前は貯金の金利が比較的大きかったので、あえて投資をせずとも資産を増やすことが可能でした。
しかし、日本ではゼロ金利政策を実施するようになり、貯金ではお金を増やしづらい状況が生まれています。貯金と投資のどっちが良いかで悩んでしまうのは、お金を増やしたいという気持ちと、お金を安全な形で確保しておきたいという気持ちがせめぎ合いになるからです。貯金なら安全性は高いですが、利益を生み出したいなら投資をせざるを得ない状況があります。
どっちが良いかを判断する上で重要なのは、リスク許容度を具体的に考えることです。貯金か投資をしたいと思っている資金が生活に必要になる可能性があるならリスク許容度は低く、できるだけ安全な運用の仕方をするのが重要です。
しかし、もしその資金がなくなってしまったとしても生活に支障をきたすことがなく、精神面などへの負担もあまり大きくはないというのであればリスク許容度は高いと考えられます。
このようにしてリスク許容度を考察した結果として、十分にリスクを許容できるのなら投資が適切です。しかし、リスクが懸念されてしまうのであれば貯金にしておくのが無難でしょう。リスク許容度を使うのはどっちが良いかで悩んだときの最も単純で失敗が少ない決め方です。
貯金と投資は両方する
貯金と投資のどっちか一方にだけ資金を使おうと思っている人もいるかもしれません。確かにリスク許容度が低くて、一円でも失ってしまうと厳しいという場合には貯金のみにするのが大切です。
しかし、いかに余剰の資金があったとしても投資だけにしてしまうのはリスクが高過ぎるでしょう。投資によって資金を全額失うこともあり得るからです。FXのような証拠金取引の場合には失敗すると投入した資金よりも大きな損失が発生することもあります。
その際にも対応できるような余剰資金を確保しておかないと安心して投資をすることはできません。あくまで投資は資金的な余力があるときに行うものだという認識が大切です。
リスク許容度がある資金を持っていて、お金を増やしたいという気持ちも抱いているのなら、貯金と投資の両方をすると良いでしょう。生活費のようにどうしても必要な資金は貯金にしておくのが無難です。
貯金だけにしておけば資金が減るリスクはないので安心でしょう。しかし、余っている資金をそのまま放置しているよりは、運用して増やした方が生活を豊かにできます。特に近年では老後の資金が必要ということがよく知られるようになり、いかにしてシニアライフのための資金を用意するかが大きな課題となっています。
投資はその解決策の一つとして魅力があるので、余剰資金があるのなら投資にも取り組んでみましょう。
貯金と投資の適正な割合
貯金と投資の両方に取り組んでいきたいと思ったときには、どのような割合で資金を分けたら良いのかが悩みになりがちです。生活に最低限必要な資金を貯蓄にして、残り全額を投資に使うというのが最も投資の割合を大きくする方法です。
しかし、万が一、投資によって全額を失ったとしたら、本当に厳しい生活を続けなければなりません。生活水準によってどの程度の生活費を確保しておけば良いかは異なるので、現状の生活費がどの程度かを見積もってから判断するのが賢明です。
ただ、投資の種類によっては全額を突然失ってしまうようなリスクがないものもあります。そのため、どの投資を選ぶかによっても適正な割合が異なります。例えば、現物取引の株式投資なら株価がゼロ円になるのは企業が倒産したときだけです。
資金的に倒産リスクがほとんどない企業の株を選べばほぼゼロになるリスクはないと考えられるでしょう。過去の株価の推移を見るとおよそどの程度の範囲で資産が上下動し得るかを想定できます。
すると、失敗をしたとしてもどのくらいの現金に換えられるかどうかがわかります。その金額が十分にあるなら貯金と投資の割合をやや投資よりにしても良いでしょう。このように投資に使う資金が最悪のケースでもどのくらい残るかを考慮すると、適正な割合を導き出すことができます。
ただ、投資のリスクを正しく理解できていないと目算を誤ることが多いので注意しましょう。
貯金よりも投資信託が良いのか
投資信託は安全性が高い投資としてよく着目されています。株式や債券、不動産などの様々な投資を組み合わせているのが投資信託の特徴で、その資金の分配の仕方や取引の実行は全てプロの運用会社に任せられるのが特徴です。
商品による違いはありますが、投資信託では安定した分配金を出すのに成功しているものもたくさんあります。そのため、貯金よりも投資信託が良いのではないかという考え方を持っている人もいます。貯金をするよりも利回りが高いので、資産は基本的に投資信託にするのが資産運用としては良い考え方だというのがよくある主張です。
しかし、投資信託にもリスクがあることに加え、内容によっては投資期間をよく考えておかないと失敗するリスクもあります。投資信託では運用会社がどのように資金を分配するかによって大きく損益が変わります。
利益をきちんと生み出せるように運用を続けられるとは限らないので、好調だった投資信託も突然分配金が出なくなることもあり得ます。また、投資信託に組み込まれているのが最近のトレンドの分野ばかりのような場合には、数年後には基準価額が上がらなくなり、利回りが低下することもあるでしょう。
そのため、貯金と違って運用を常に意識することが求められます。いつまでも放置しておいても大丈夫な貯金とは違い、リスク回避をする努力が必要なので注意が必要です。
貯金と投資を並行しておこなおう
貯金と投資はリスクの有無や利益の大きさに大きな違いがあります。安全を重視しなければならない資金は貯金し、リスクを許容できる資金は投資にするのが適切です。両者に適切な割合で資産を分けて、並行して取り組んでいきましょう。