最近はインターネットを通じて、企業や組織が資金調達する手段のひとつである「クラウドファンディング」が注目されています。
クラウドファンディングの種類も増えており、人気を集めています。今回はクラウドファンディングとその種類を解説していきます。
<クラウドファンディングとは?>
クラウドファンディングとは crowd(群衆)とfunding(資金調達)を組み合わせた言葉です。
インターネットを使い不特定多数の人から、商品やサービスを提供する企業や組織が必要な資金を調達する手段のことを言います。クラファンと略されて使用される場合もあります。
欧米においては古くからクラウドファンディングの仕組みが活用された例もありますが、日本では2014年頃から徐々に広まりを見せています。
クラウドファンディングで資金調達した企業や組織が、出資者の出資資金に応じて見返りを用意する場合と見返りがない場合とで、クラウドファンディングの種類が分かれています。
ここからはクラウドファンディングの種類と特徴を解説いたします。
<クラウドファンディングの種類と特徴>
・寄付型クラウドファンディング
資金出資者に対して見返りがないクラウドファンディングは寄付型と呼ばれ、出資者には基本的に見返りがなく、全額寄付扱いとなります。
寄付型クラウドファンディングは、プロジェクト運営者と出資者共に社会貢献や善意の意味合いが強く、プロジェクト内容は環境保護や何らかの支援の要素が大きい内容となっています。
最近の例ですと、新型コロナウイルスで売上の下がった業界や、お店などを支援する形の寄付型クラウドファンディングが挙げられます。
寄付型クラウドファンディングは、寄付扱いのため、税制上において寄付金控除などの優遇措置を受けられる場合があります。
・購入型クラウドファンディング
一般的に多くの人が思い浮かべるのは、この購入型クラウドファンディングかもしれません。テレビや雑誌などで紹介されているクラウドファンディングはこの形が多くなっています。
購入型クラウドファンディングは、出資者は見返りとして出金額に応じ、プロジェクト運営者の提供するサービスや権利、商品を受け取ることができます。
お金や株式のような金銭的な見返りではないため、非投資型とも呼ばれています。
見返りはありますが購入型クラウドファンディングも、その商品やサービスの提供者、プロジェクト運営者を応援する意味合いが強いです。
自分が気に入ったサービスをいち早く体験できる場合や、一般発売前の商品を実際に使うことができる場合もあり、出資したメリットを感じることができます。
・投資型クラウドファンディング
出資者への見返りが分配金や配当金、株式など金銭的な見返りが期待できる種類が投資型クラウドファンディングです。
投資型クラウドファンディングの中にもまた種類があり、融資型クラウドファンディング、不動産クラウドファンディング、ファンド型クラウドファンディング、株式投資型クラウドファンディングと見返りの種類と仕組みによって分類されます。
投資型クラウドファンディングは、株式や為替のような投資商品とは異なり、日々の価格変動がなく、投資後も管理音必要がなく、小額から手軽に始められるメリットもあり、最近は人気化しています。
ここからは投資型クラウドファンディングの種類と特徴を解説いたします。
・融資型クラウドファンディング
融資型クラウドファンディングはソーシャルレンディングとも呼ばれ、事業者が貸付先にお金を貸付け、貸付会社の事業の利益により投資家に分配金が支払われる仕組みです。
ソーシャルレンディングは比較的高利回りの案件もありますが、仕組みが複雑で投資家は貸付先について詳細が分からない場合もあり、投資する際は注意も必要です。
・不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは、インターネット上で投資家を募集して、集まった資金で事業者が不動産の運用をおこない、家賃収入による利益や売却利益を投資家に分配するクラウドファンディングの仕組みです。
従来からある不動産投資を小口化することにより、小額からでも投資ができるようになりました。
ソーシャルレンディングと比べ、仕組みが単純で分かりやすく、事業者が直接不動産を購入・管理するため、不測の事態が起こった際も、素早く柔軟に対応できる点がメリットです。
最近は東証一部上場の優良な企業やそのグループ会社が運営する事業者も増え、透明性と安全性が高まっており人気を集めている投資商品です。
不動産の収益が予測を下回った場合でも、優先劣後出資やマスターローン契約など、投資家の損失を軽減する仕組みを採用している事業者もあります。
不動産クラウドファンディングは、今一番注目されている投資型クラウドファンディングと言えます。
・ファンド型クラウドファンディング
ファンド型クラウドファンディングは事業投資型とも呼ばれ、主に非上場の中小企業の
特定の事業に投資をするクラウドファンディングの種類です。
企業の新規事業に対し出資をして、その事業の運営状況により金銭的なリターンを得ることができます。
また購入型クラウドファンディング同様、商品やサービスの見返りがある場合もあります。事業の売上による見返りが多いため、リターン額が変動する場合があります。
・株式投資型クラウドファンディング
株式投資型クラウドファンディングは、上場していないスタートアップ企業やベンチャー企業に投資家が出資し、見返りに出資した金額に応じた非上場株式を受け取ります。
将来的に出資した企業が成長し、IPO(株式新規公開)やM&A(事業の買収・売却)が実現することで大きなリターンが期待できる仕組みです。
結果が出るまでに5年から10年かかることが想定されるため、長期投資の商品と言えます。
非上場株式は市場での売買ができません。この点は注意が必要で、場合によっては出資元本が大きく棄損される可能性もあります。
他の投資型クラウドファンディング商品と比べ、ハイリスクハイリターンの部分があり、投資する際は内容を正しく理解し、小額から投資することをお勧めします。
株主の期間中は、企業の運営にも関わることができ、株主優待を受けられる場合もあり、小額の出資で起業家や株主の気分を体験できるメリットもあります。
<今後のクラウドファンディングの見通しは?>
色々な種類があり、それぞれに魅力があるクラウドファンディングはますます利用者が増えている傾向にあり、今後も注目度が大きくなっていくと予測されます。
投資型・非投資型があり、様々な目的でクラウドファンディングを利用できることもメリットと言えます。
今後発展しそうなサービスや素晴らしい商品を提供する会社や組織を応援することや、社会貢献の一環で寄付することもできます。
また、投資商品として投資型クラウドファンディングに出資することで、金銭的なリターンを受けることも可能です。
この機会に従来の株式、投資信託、為替といった投資商品との分散投資の観点で、投資型クラウドファンディングを利用することを考えてみてはいかがでしょう?