投資について調べていると設備投資という言葉に気付いて、どういう意味なのかを知りたいと思うこともあるでしょう。設備投資とは一体どのような投資なのでしょうか。この記事では設備投資とは何かを色々な方向からわかりやすく解説します。
- 設備投資とはわかりやすく言うと何なのか
- 種類に分けて設備投資とは何かを考えよう
- 目的からわかる設備投資とは
- 設備投資とは何かを例を通して確認しよう
- 設備投資とは何かを会計上からも理解しよう
- 設備投資とは長期利用するものへの資金の利用
設備投資とはわかりやすく言うと何なのか
設備投資とはわかりやすく言うと、企業などが設備を購入したり更新したりするために資金を使うことです。企業では事業を進めるために資金を使って様々なものを購入して使用していますが、購入したものの中には資産として取り扱われるものと、資産にはならないものがあります。
資産にならないものの代表例は消耗品や原料です。製品を製造するために必要な原料を買ったとしても資産にはなりません。加工をするために必要な薬剤や、作業をするための手袋などの防護装備なども消耗品になります。
しかし、原料を加工して製品にするためには機械が必要になるでしょう。その機械を使うためには工場を建設したり、安全に利用できるようにするための情報システムを導入したりする必要があるかもしれません。
工場や機械、情報システムなどのように、導入してからはずっと使い続けることになるものは一般的に企業にとっての資産になり、設備として導入することになります。このような設備の導入をしたり、新しいものに入れ替えたりするために主に現金資金を使うのが設備投資です。
企業の会計では設備を消耗品とは分けて考えなければならず、管理をするときにも別枠にすることが必要になります。そのため、設備投資をするときには会計や管理についての十分な知識を付けておくことが欠かせません。
種類に分けて設備投資とは何かを考えよう
設備投資とは何かをもう少し詳しく理解するためには種類分けをするのも良い方法です。最も単純でわかりやすいのは設備を固定資産として定義して、有形固定資産と無形固定資産に分けるやり方です。
固定資産とは流動資産、繰延資産などと同様に会計上でよく用いられている専門用語です。固定資産の基本的な定義は長期的に利用する資産のことで、1年を超えて利用する場合には原則として固定資産になります。
設備として導入したものは数ヶ月で使わなくなってしまうことはあまりないでしょう。そのため、設備投資をしたときには、導入した設備が固定資産になると考えるのが適切です。
有形固定資産と無形固定資産の違いは固定資産に形があるかどうかで分類されます。わかりやすく言えば、手で触ったり、目で見たりすることができるのは有形固定資産ですが、形がなくて触ることも見ることもできないのが無形固定資産です。
先ほどの例で言えば工場や機械は触ることも見ることもできるので有形固定資産になります。情報システムはパソコンやスマートフォンなどで利用するもので、視認できると考えることもできるでしょう。しかし、システムに直接触ることはできず、形があるとは言えません。
そのため、情報システムのような実体のないものは無形固定資産に分類されます。無形固定資産には他にも特許権などが含まれます。
目的からわかる設備投資とは
設備投資とは何かを目的という観点から見てみましょう。設備投資とは企業が今後の事業の展開を考えて必要になる固定資産を導入するために行うものです。具体的な設備投資の目的は多岐にわたっています。
工場での生産量を増やして売り上げを伸ばしたいという目的で設備投資をすることはよくあります。工場を増設したり、新規設置をしたりするのが典型的な投資方法です。また、安定して生産を続けられるようにするために、古くなってしまった設備を更新するのも設備投資になります。
新しい生産技術が開発されたから効率化や省エネ化、コスト削減などを目的として新しい機械を導入したり、制御システムを取り入れたりする設備投資もよくあるものです。
設備投資は必ずしも製品の製造をしている工場でのみおこなわれるものではありません。オフィスでの従業員の作業効率を上げることや、時間外労働を減らすことを目的としてオフィスデザインを一新するのも設備投資です。
また、リモートワークを取り入れるためにVPN接続が可能なサーバーを用意するのも設備投資になります。光熱費を削減するために空調を入れ替えたり、太陽光発電システムを導入したりするのも近年ではよく着目されています。
どのケースでも長期的な視野で企業の事業継続や利益向上を図っているのが特徴で、短期的に使うものを導入するのが目的ではありません。
設備投資とは何かを例を通して確認しよう
設備投資とはとは何かをイメージしやすくするために、今まで挙げてきたのとは違う例を見ていきましょう。今後、新しい事業を始めるためには技術の進歩が必要だという場合があります。
自社で技術開発をするよりも他社で開発された技術を使った方が良いという場合には技術をライセンスしてもらうのが合理的です。特許権を購入するのは設備投資になります。商標の使用権を獲得するのも無形固定資産の取得として設備投資と見なされるのが一般的です。
無形固定資産は設備としてイメージしにくいかもしれませんが、長期的に企業が使い続けられるものなので、事業基盤としての重要な設備になります。
逆に設備投資にはならない長期的な視野での投資の例も見てみると理解が深まります。固定資産として認められるものでなければ投資にはなったとしても設備投資にはなりません。
例えば、従業員のスキルアップのために講習会を実施するのは設備投資ではありません。人材教育も確かに企業成長につながる重要な投資ですが、固定資産として使い続けるものではないからです。
しかし、長期的に利用可能な学習システムを導入して、従業員がスキルに応じて自由に使ってスキルアップを図れるようにしたら、そのシステム導入は設備投資になります。無形であっても継続的に企業として利用できるものであれば設備として認められるからです。
設備投資とは何かを会計上からも理解しよう
会計上の取り扱い方を見てみると設備投資とはどのようなものかがわかりやすくなるかもしれません。設備投資をするときには当然ながら現金の支出が発生します。1000万円の機器を購入したとしたら、その時点で1000万円の現金が企業の口座からは減るでしょう。
しかし、会計上では資産が減ったという計算はしません。設備投資をした場合には現金が減った代わりに、その現金と等価な設備資産が手に入ったと考えるからです。つまり、企業が持っている資産としては減っていないという解釈をします。これは有形固定資産でも無形固定資産でも同じように考えるのが原則です。
ただ、資産は価値が低下していく性質があります。機械なら使っているうちに劣化していき、しばらくすると使えなくなるでしょう。そのため、会計上は何年もかけてだんだんと資産が減っていくという処理をします。
減価償却費を計上することで、毎年少しずつ資産価値が低下していくという形を作る仕組みになっています。減価償却費がいくらになるかは設備の購入費用と耐用年数によって決まるのが特徴です。1000万円の機器を購入し、耐用年数が10年だったとしたら、毎年100万円ずつ10年間かけて減価償却をおこないます。
すると10年後には資産価値が失われて、トータルでは1000万円の出費になります。このような会計処理をするのが設備投資の特徴なので覚えておきましょう。
設備投資とは長期利用するものへの資金の利用
設備投資とは企業が事業活動を進める上で必要になる固定資産の取得に資金を利用することを指します。工場や機械のような有形固定資産はわかりやすいですが、情報システムや特許権なども無形固定資産として設備になります。