複利投資とは?デメリットを理解した上で長期的な資産形成をしよう

複利投資

投資をするときには単利投資と複利投資のどちらにするかを考えるのが重要とよく言われています。ただ、それぞれがどのような方法なのかがわからない人もいるでしょう。この記事では複利投資の特徴や投資信託での重要性を紹介します。

 

 

複利投資とは

 

複利投資は単利投資と対比して説明されることが多い、投資の資金運用の方法です。単利投資の場合には、投資に使うと決めた資金を運用し続けるのが特徴で、投資によって得られた利益は手元に残します。

 

これに対して複利投資の場合には、投資によって得られた利益を再度同じ商品に投入します。例えば、10万円を使って投資した結果として5000円が手に入ったとしましょう。そして、これから投資を続けていくときに10万円のままにするのが単利投資です。複利投資の場合には得られた5000円を再投資して、10万5000円を投資資金として同じ運用を続けていきます。

 

単利投資の場合には次に利益が発生するタイミングで得られるのは10万円に対する利益なので、仮に同じ利回りだったとすると5000円が収入になります。しかし、複利投資をしていた場合には10万5000円を運用していたため、5250円の利益を得ることができます。

 

このようにして利益を再投資することで、次に得られる利益を増やすのが複利投資の基本的な考え方です。ただ、損失も大きくなることには注意しなければなりません。もし次の損益が決まるタイミングで10%の損失が確定されたら、1万円の損失で済んだはずが1万500円の損失になります。

 

そのため、リスクが低い投資商品を選んだときには複利投資のメリットを生かしやすいというのが一般的です。

 

複利投資が可能な投資商品とは

 

複利投資をしてみたいと思ったときには、どの投資商品なら複利投資が可能なのかが気になるでしょう。実は投資の仕方次第で、ほとんどの投資については複利投資が可能です。例えば、株式投資をしているときに10万円で購入した株式によって配当金が5000円得られたとしましょう。

 

その5000円で同じ企業の株式を購入すれば複利投資になります。ただ、株式投資の場合には1単元と呼ばれる100株ずつの購入が原則になっていて、1株ずつ買えるのは単元未満株だけです。

 

また、金額に合わせて株式を買うことはできないため、例えば株価が490円だったとしたら4900円分買うか、5390円分買うかを検討しなければなりません。

 

このように厳密な意味での複利投資が可能な投資商品は限られています。典型的なのは投資信託で、複利投資を標準システムとして取り入れていることがよくあります。分配金を得られたときに全額を再投資することが可能で、1口以下だったとしても分配金の全額を同じ投資に回せます。

 

複利投資は基本的に長期投資に向いているので、短期投資がメインの投資商品では全額を複利投資できるようなサービスが提供されていないのが一般的です。また、基本のルールとして再投資できるようになっていない場合には、再投資の際に購入手数料などがかかることもあるので注意しなければならないでしょう。

 

投資信託での複利投資とは

 

投資信託は数ある投資の中でも複利運用に向いています。複利投資をしやすいサービスが確立されているからです。投資信託では購入するときに購入手数料がかかるのが一般的です。しかし、投資信託で得られた利益を再投資するときには購入手数料がかからない仕組みになっています。

 

つまり、複利投資をした方が、別の資金を追加投入するよりも余計な手数料がかからない分だけ利益を増やしやすいシステムなのです。前述のように投資信託では利益の全額を再投資に回すことができるため、追加資金を入れたり、端数を受け取ったりする必要もありません。

 

ただ、再投資をすべきかどうかは慎重に考える必要があります。再投資をせずに分配金を受け取った方がメリットが大きい場合もあるからです。投資信託では分配金を出すと基準価額が下がるので、そのタイミングで再投資できるとメリットが大きそうに見えるでしょう。

 

しかし、今まで投資信託を購入した際の基準価額の平均値よりも高い水準までしか基準価額が下がらなかった場合には、再投資すると保有している投資信託の購入価格の平均値が上がります。結果として投資信託を売却するタイミングをシビアに考えなければならなくなります。

 

購入価格の平均値よりも基準価額が低いときに売ってしまうと、キャピタルゲインとしては損失になってしまうからです。

 

投資信託では複利投資がおすすめ

 

投資信託をするときには単利投資も複利投資も選べますが、基本的には複利投資をするのがおすすめです。複利運用をすると資産形成を促進させやすいからです。投資信託は数年から数十年の期間をかけて価値を高めていくように設計されているのが一般的になっています。

 

投資を始めてから着実に分配金が出ている投資信託なら、運用実績は良いと考えられるでしょう。その投資信託に手数料をかけずに追加資金を入れられるのが複利投資をする魅力です。

 

今後も基準価額が上がっていくと期待される限りは再投資をおこない、社会情勢の変化などを受けて基準価額がもう伸びないか、下がるリスクがあるとわかった時点で再投資をやめるのが資産形成を成功させるコツです。

 

複利投資がおすすめではあるものの、投資信託によって得られた利益を別の用途で使いたい場合にはこの限りではありません。まとまった金額の投資信託をしている場合には、分配金の金額も大きくなるでしょう。

 

分配金を元手にして別の投資を始めることも、投資によって得られた利益をご褒美として自分のために使うことも自由です。長期的に資産を増やしていきたいと思っているのなら複利投資にするに越したことはありません。

 

しかし、分配金の使用目的があるのなら優先して満足できるようにするのが重要なので、無理に複利投資にして運用する必要はありません。

 

複利投資をするデメリット

 

複利投資は再投資によって将来的な利益を増大させられるのがメリットですが、デメリットもあるので注意しましょう。損失も増加してしまうリスクがあるのと、得られた利益を他の用途で使えなくなってしまうことがデメリットです。

 

複利投資について説明した際にも損失について触れましたが、投資額に比例して損失も増えるリスクがある投資の場合には複利で運用すると損失の肥大化につながるリスクがあります。

 

定額で損失が生じる場合には問題はありませんが、運用に失敗したときに金額に比例して損失が大きくなる投資の方が多数派です。安定して利益を得られると期待される投資商品を選ばないと、複利投資はリスクが高いと考えることができます。

 

複利投資は再投資をするので、利益を手元に入れることはできません。今後、その同じ投資によって大きな利益を得られると期待されるのであれば問題はないでしょう。しかし、状況が変わって今後は利益があまり大きくならないと考えられる場合もあります。その際には利益分はとりあえず他の投資に回した方が良いと考えられるでしょう。

 

このような柔軟な運用ができないのが複利投資の問題点です。ただ、いつでも自由に単利か複利かを切り替えられるのであれば問題はありません。複利投資をするときには、切り替え可能かどうか、手続きにコストがかかるかどうかを確認しておくのが無難です。

 

長期的な資産形成は複利投資を検討しよう

 

複利投資は得られた利益を再投資し、次の利益確定の時点で得られる収入を大きくする方法です。投資信託では手数料をかけずに再投資できることが多いのが魅力です。長期的な資産形成ではメリットが大きいので検討してみましょう。