不動産クラウドファンディングは、従来の不動産投資を小口化し、インターネットで少額から投資できる新しい投資商品です。
上場企業やそのグループ会社が運営する事業者も増え、投資家は色々なファンドから選んで投資する事ができるようになりました。
この記事では、不動産クラウドファンディングのファンドの選び方、特に物件情報の見方や確認の仕方について解説していきます。
<物件情報の重要性>
不動産クラウドファンディングにおいて、物件情報は最も確認が必要な情報と言えます。
ファンドは対象物件の運用や売却よる収益によって分配金が支払われ、想定通りに運用がうまくいかなかった際は、想定利回りの分配金が支払われない場合や、投資した元本が棄損する場合もあります。
ファンドを運用する事業者が、上場企業やそのグループ会社で資本力があり財務状況が良好でも、ファンド対象物件に何か問題が起これば、元本に影響が出る可能性があることを理解したうえで投資することが重要です。
このため、ファンドの対象物件の情報を細かく分析し、投資判断できるようになることが、不動産クラウドファンディングでは大切な要素と言えます。
<物件情報の各項目の確認方法>
物件情報の内容は事業者やファンドによって異なりますが、物件の基本状況や周辺のマーケット情報などが明確に開示されている場合が多いです。
投資家はこの情報をもとに物件内容を分析し、想定利回りや運用期間などのファンド概要と合わせて投資判断することになります。
物件情報の内容は、物件名称、物件種別、所在地、アクセス、周辺施設などの基本情報があります。
次に、建物に関する情報に関して、構造、延床面積、住宅戸数、竣工時期などの表記があります。
また土地に関する情報に関して、権利、敷地面積、建蔽率、容積率、用途地域などの表記があります。
また事業者やファンドによっては、対象物件の周辺情報に関するマーケット情報があり、物件の基本情報と共に投資判断の材料にすることができます。
項目ごとに解説をしていきます。
・物件名称
ファンドの対象になる物件の名称です。
レジデンスであればマンション名、商業施設であれば施設名が記載されています。
・物件種別
マンション、アパート、戸建て、オフィス、商業施設、ホテルなど物件の種別が記載されています。
さらに投資対象が建物一棟の場合と区分の場合があります。
投資対象が区分の場合は、同じ建物内の異なる部屋でファンドが複数募集される場合があります。
過去に同じ建物のファンドがあれば、募集内容やファンド概要に変更が無いか確認することも重要です。
・所在地、アクセス
対象物件の所在住所と最寄り駅の記載があります。
都心の不動産においては、最寄り駅がどこで、徒歩での時間が重要です。
さらに主要駅までの所要時間や、複数路線使用可能かが物件の価値を左右する項目となります。
・周辺施設
銀行や病院、スーパーやコンビニエンスストアなど生活に必要な施設で、物件周辺にある施設の一覧が表記されています。
対象物件を賃貸で借りようとする人にとっては重要な情報ですので、ファンドに投資する投資家も確認すべき情報のひとつです。
・構造
建物の構造に関しての記載です。
主な構造は、鉄筋コンクリート(RC造)、軽量鉄骨造(S造)、重量鉄骨造(S造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)、木造(W造)があります。
構造の違いにより耐用年数が異なります。
減価償却の際に用いられる法定耐用年数は、木造は22年、軽量鉄骨造住宅は19年または27年に設定されています。
重量鉄骨造は34年、鉄筋コンクリート造は47年です。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、不動産の基本として勉強しておくと、投資判断に活かせると思います。
・延床面積、住宅戸数、投資対象部屋
面積や総戸数で物件の規模を理解することができます。
募集金額が大きいファンドは比較的大型のレジデンスが対象の場合が多いですが、ファンドによっては物件内の部屋を分割して募集しているファンドもあります。
この場合、投資対象はどのような間取りの部屋なのかを確認することも重要です。
投資対象の部屋の間取りが、極端に狭い20平米程度のワンルームや1Kのみが対象になっているファンドは注意が必要です。
極端に面積が狭い部屋は、不動産価値が下落しやすく、賃貸でも避けられる傾向もあります。
自分ならその部屋に住みたいかどうかという観点で投資判断することも有効な方法だと思います。
・竣工時期
一般的に築年数が新しい方が価値は高く、賃貸の需要も大きいと思います。
一方で、築古物件は不動産価値の下落が緩やかという特徴もあります。
物件が多少古くても、管理が行き届いていれば賃貸需要と不動産価値は極端に下落しないと考えられます。
事業者が開示している物件の画像を参考に、管理状況を読み取ることも投資判断する上では重要だと言えます。
・土地に関する情報
土地に関する情報で重要な項目は、用途地域です。
用途地域とは、用途に応じて13の地域に分けられており、建設可能な建物の種類や大きさなどにそれぞれ制限が設けられています。
例えば、住宅で第一種住居地域であれば、低い建物や店舗も面積が小さめの建物のみ建設可能となり、閑静な環境が期待でき、価値が高いとされています。
ファンドの対象物件がどの用途地域に建てられているのかで、周辺の環境を推し量ることができます。
・マーケット情報
事業者によってはファンド対象物件の細かな情報を開示しています。
マーケット情報は、物件のある地域の人口推移、家賃の推移、家賃相場や地域の特徴などが分かりやすく説明されており、土地勘のない地域でも投資を検討することができます。
ファンドに関して様々な情報を開示している事業者が多いことは、不動産クラウドファンディングの透明性と事業者の信頼性を高めており、投資家は安心して投資できる環境が整っています。
事業者から開示されている情報でも充分ですが、対象物件の周辺の路線価や近隣物件の家賃相場を調べ、把握することでより投資判断しやすくなります。
不動産クラウドファンディングは、不動産のプロである事業者が優良な物件を厳選してファンド募集を行っています。
また事業者が直接物件を取得し、管理運営するため、投資後の管理も必要ありません。
そのため、不動産の専門的知識が無くても、投資することができます。
少額から気軽に始めることができますが、普段から不動産について興味を持ち勉強することで、徐々により良いファンドを見極められるようになると思います。
ファンドの利回りや運用期間などのファンド概要と、対象物件の立地や建物の情報を照らし合わせて総合的に判断することができれば、不動産クラウドファンディング投資で成功する確率が高まると思います。
最初は難しいと感じるかもしれませんが、色々なファンドの情報を見ることにより、徐々に確認の仕方が理解できます。
理解できると投資判断がつきやすくなり、不動産クラウドファンディングの魅力をより感じることができると思います。