株式を手放すタイミングと考え方とは?

株式を手放すタイミングと考え方とは?|リビングコーポレーション

株式投資を中・長期目線で運用している場合でも、リバランスや手放すタイミングは難しい問題だと思います。今回は株式を手放すタイミングと考え方を解説していきます。また投資において損切りの重要性も説明していきます。


<当初の前提が崩れた時>

事前にルールを決めた上で投資することは重要なことです。「何パーセント下がったら損切りする」、「何パーセント上昇したら一部を利益確定する」、「損失はいくらまで耐えられる」など自分のリスク許容度を確認し、投資している人も多いと思います。

このような投資の前提がもし崩れた時には、その投資を降りるタイミングだと言えます。一番良くないことは、根拠なく最初のルールを変更してしまうことだと思います。

利益確定の場合はまだ良いですが、損切りを遅らせることは思わぬ大きな損失を被る可能性もあり、危険な投資行動と言えます。


<株式チャート上で大きな乖離が確認できた時>

株式チャートを確認する際、移動平均線と現在の株価の乖離率は重要視される場合が多いです。移動平均線は一定の期間の株価を平均化した数値を折れ線グラフ化したものです。

株式のテクニカルチャートでは一般的なもので、投資の期間により見る足が異なりますが、日足チャートでは5日移動平均線や25日移動平均線が意識されやすく、週足チャートでは13週移動平均線や26週移動平均線が一般的には重要視されています。

株価がこの移動平均線から大きく上方へ乖離した場合、一般的には利益確定が出やすい状況となります。その後、押し目を付けて益々上昇する場合もありますが、天井を付けて下落する場合もあります。つまり株価の転換期になる場合が多く、移動平均線から株価の乖離が大きい場合は、一部を利益確定することも重要な戦略と言えます。


<当初の株式投資の目論見が外れた時>

株式投資の利益の種類としては、売買差益によるキャピタルゲインと、配当などのインカムゲインの2種類があります。

中・長期目線での投資として、高配当銘柄のインカムゲインを目指した投資をされている人も多いと思います。投資前に配当利回りや、最近の配当の増減、配当性向などを調べて、今後の売上の予想などもした上で投資をしていると思います。

例えば、ここ最近増配を続けていた企業が、売り上げの低迷などの理由から減配を発表した際には、株価は大きく下がることが予想されます。これは、減配により配当利回りが下がるからです。一定以上の配当を目的に投資をしていた投資家は、当初の目論見が外れた結果となったため、手放すことを決断したということになります。

長い間、増配を続けていた企業が増配をやめた場合、減配ではないものの売上に対して配当が占める割合である配当性向が大幅に上がってしまった際も注意が必要です。この場合も株価の推移を見ながら、手放すことを検討するタイミングになります。


<損切りの重要性>

損切りは株価が下がり、保有する銘柄が含み損になった状態のものを、これ以上の損失を回避するため手放し、損失を確定することです。ロスカットとも呼ばれ、投資において重要な判断のひとつと考えられています。

投資は連戦連勝できるわけではありません。投資経験のある人のほとんどが失敗を体験し、損失が出てしまったことがあると思います。

今は成功している有名な投資家やプロの敏腕トレーダーでも、必ず失敗した経験があると思います。つまり投資においては、失敗はつきものであり、損切りは必要経費と考えるべきです。


<株で損切りを実践するのは難しい>

一般的な人間心理として、利益はたとえ少額でも受け入れることができますが、損失を確定することは難しいと考えられています。それが大きな金額となればなおさらです。

損が膨らんでいくと、「この金額があれば良い食事ができた」、「買いたい物が買えたのに」など日常生活の価値観に合わせて考えてしまい、その結果、適切なタイミングで損切りできない事に繋がってしまう傾向があります。

多くの人が経験する損切りの難しさですが、これを回避するには「逆指値注文」を利用することで、一定以上の損失を防ぐことができます。さらなる株価下落が考えられる際は、ぜひ逆指値注文を活用することが大切です。


<株で損切りを行うタイミングとは?>

損切りするタイミングは、その銘柄の値動きのクセもあり一概に言えません。しかし、多くの投資家が損切りを考えるタイミングに来た際には損切りしたほうが有利になる場合も多くなります。

例えば、直近安値を明確に割り込んだ時や、レンジ相場でのレンジ下抜けが確認された際、その銘柄の年初来安値や上場来安値を更新したままその日の取引を終えた際などが挙げられます。

このような買い方が圧倒的に不利な状況でも、「逆張り」の買いで利益を得る投資家も存在します。しかし、これはハイリスク・ハイリターンの投資と言えます。不利な状況となり、さらに株価下落が想定される際は、損切りを行った方が良い場合が多いです。


<影響が大きい株式市場のシステム取引の存在>

近年は、株式市場でのアルゴ取引やシステムトレードの比率が大きくなっています。上記のように重要な節目を割り込んだ場合、機械的な大きな売りが発生することが考えられ、下落がさらに加速するケースも見受けられます。

また重要な節目には、投資家の逆指値注文が多くあり、それを狙った空売りも発生することも考えられます。節目を割った段階で、ロスカットを巻き込み、勢いよく株価が下がる可能性もあるため、損切りを早めに行うことで思わぬ大きな損失を防ぐことができます。


<塩漬けは機会損失を招く>

含み損で損切りに損切りできない銘柄がある状況のことを「塩漬け」と一般的に呼ばれています。この塩漬け銘柄があることで、資金的に余裕がなくなり身動きが取れなくなることで、他の銘柄が上昇に転じた際でも、取引ができない「機会損失」に繋がることがあります。

資金に余裕があれば別ですが、限られた資金を回転させている場合、損は小さく利益は大きくと考えたほうが効率的な取引ができます。


<マーケットに継続的に参加することが重要>

損失が大きくなってくると、ついつい熱くなって自信のリスク許容度を超える取引をしがちです。普段取らないような大きなポジションを取ることは、少しの株価回復で買い値に戻る可能性がありますが、反面、さらに株価が下落した際、損失も速い速度で広がる危険性もあります。

投資で一番やってはいけないことは、たった一度の取引で資産のほとんどを失う危険性がある取引だと考えます。失敗を早い段階で受け入れて、さらなる損失を防ぐことを考えたほうが建設的だと言えます。

資金のほとんどを失ってしまうと自信も無くなり、もう投資したいという気持ちにならないかもしれません。マーケットから退場してしまうと、投資に対するイメージはネガティブになることでしょう。

マーケットに継続的に参加できれば、失敗した経験も必ず生きてくると思います。同じ失敗を繰り返さないと考えることで、より良い投資判断ができる場合もあります。つまり投資は、失敗を次に活かせるものだと言えます。重要なことは、退場せずマーケットの中で生き残ることです。今は損をした状態でも、将来的に成功できる可能性は充分にあると考え、長い目で投資に関わっていくことが大切だと思います。