手数料の負担は投資をするときにどのくらいになるかが気になる場合が多いでしょう。株式投資や債券投資でも負担がありますが、投資信託の場合にはどのような手数料がかかるのでしょうか。この記事では投資信託の手数料の概要を解説します。
手数料の負担は投資をするときにどのくらいになるかが気になる場合が多いでしょう。株式投資や債券投資でも負担がありますが、投資信託の場合にはどのような手数料がかかるのでしょうか。この記事では投資信託の手数料の概要を解説します。
投資信託の手数料とは
投資信託を利用して資金運用をする際には三つの手数料を支払うことになります。投資信託では株式投資や債券投資などと違い、信託銀行と証券会社と運用会社に任せて資産を分散投資してもらう仕組みになっています。
そのため、手数料の負担が一般的に大きい傾向があるので注意が必要です。売買委託手数料、信託報酬、信託財産留保額の三つの手数料がかかり、それぞれが投資信託ごとに定められています。
売買委託手数料とは投資信託を購入するタイミングで支払う手数料です。投資商品を購入するのにかかる手数料なので、株式などの場合には売買手数料に相当するものだと考えられます。実際には運用会社に株式や債券などの売買を委託するためにかかる手数料です。
信託報酬とは投資信託を運用している間はずっと支払わなければならない手数料で、管理手数料や運用手数料とも呼ばれます。運用会社が資産を運用したり、信託銀行が資産を管理したりするのにかかるコストをまかなうための手数料として位置付けられています。
信託財産留保額とは投資信託を解約するときに支払う手数料です。解約手数料と呼ばれていることもあります。解約をする際に基準価額から一定の割合で減額されて資産を渡されることになるため、支払う手数料ではなく差し引かれる手数料なのが特徴です。
投資信託の種類と手数料の高さ
手数料の高さは投資信託の種類によって違う傾向があります。近年、投資しやすい商品としてよく注目されているものにインデックスファンドがあります。インデックスファンドとは株式指数や商品価格などと同じ推移をするように取りまとめられている投資信託です。
株価指数などのチャートを見ていると価格の推移を予測しやすいため、売買益を得るのにもよく用いられています。これに対して、株価指数などよりも大きな値動きをするように設計して積極的な運用をしているのがアクティブファンドです。
アクティブファンドは一般的にインデックスファンドよりも高い想定利回りになっているのが魅力ですが、運用の仕方次第で利回りが変わることから運用会社の力量が求められます。
手数料について比較すると、インデックスファンドはアクティブファンドに比べて低くなっています。これはアクティブファンドの場合には運用会社の専門家が積極的に売買をしているので人件費がかかっているからです。
インデックスファンドの場合には信託報酬が1%以下なのが一般的ですが、アクティブファンドの場合には1%から3%くらいです。アクティブファンドは大きなリターンを期待できる分、手数料の負担が大きいと理解しておくと良いでしょう。
なお、大きな違いが生じるのは信託報酬だけで、売買委託手数料や信託財産留保額にはあまり違いがありません。
投資信託の手数料の種類と計算方法
投資信託の手数料がどのくらいかかるかは種類ごとに計算して判断する必要があります。売買委託手数料、信託報酬、信託財産留保額がどのような計算方法で求められるのかを確認しておきましょう。
売買委託手数料はパーセンテージで示されていて、投資する資金額に応じて決まります。例えば、2%の売買委託手数料が設定されている場合には、100万円を投資すると2万円、10万円を投資すると2千円です。購入するときだけ必要になり、分配金を再投資したときには支払う必要はないのが一般的です。
信託報酬の場合には日割りで計算する仕組みになっています。年利で表記されているため、計算するときには365日で割って一日ずつ計算する必要があります。保有している投資信託の資産額に対して信託報酬がかかるので、1%の信託報酬が設定されていたら、100万円にかかる手数料は27円です。
信託報酬は毎日計算されて資産から差し引かれていきます。その日の基準価額によって資産額が変わるため、基準価額が上がると信託報酬も上がり、基準価額が下がると信託報酬が少なくなります。
信託財産留保額はパーセンテージで決まっていて、解約するタイミングでの資産額から差し引かれます。0.1%の信託財産留保額が定められている場合に、100万円の資産を解約した場合には1000円が差し引かれるため、受け取ることができるのは99万9千円です。
平均利回りと投資信託の手数料
投資信託の利益を考えるときには平均利回りを考えることが多いでしょう。平均利回りとは投資信託を運用したときに年間で平均するとどのくらいの利益を得られるかを、投入した資金額に対するパーセンテージで計算したものです。
投資信託を運用している最中は売買をしないので、分配金と基準価額の増減によって資産がどのくらい増えたかを求めて、手数料を差し引き、投入した資金額で割ることにより算出します。
運用をしているときにかかる手数料は信託報酬だけですが、信託報酬は毎日資産から差し引かれています。そのため、注目している期間の最初の資産額から最後の資産額を引いた金額は利益から信託報酬を引き去ったものです。平均利回りを計算するときには、資産の増減と分配金の金額だけを考えれば良いということになります。
やや算出するのが大変になるのは投資信託を買った時点から解約した時点までの平均利回りを計算するときです。この場合には投資信託に投入した金額と受け取った分配金を足したものから、最終的に得られた金額と売買委託手数料を引いて利益額を計算します。
信託財産留保額も解約したときに受け取る資産から差し引かれているため、あらためて引く必要がありません。このようにして計算した利益額を投入した金額で割り、年あたりに換算すると平均利回りを算出できます。
投資信託の手数料を比較するときのポイント
投資信託による資産形成を効率的に進めるためには手数料が少ない方が良いと考えるのがもっともなことでしょう。比較して手数料負担が少ない投資信託を選ぶのは賢い方法ですが、注意すべきポイントもあります。
手数料は証券会社や運用会社にとっての収入源です。特に信託報酬については資産の運用や管理のために欠かせないものなので、ゼロということはまずありません。
ただ、売買委託手数料や信託財産留保額は特に運用に直結する手数料ではなく、事務手続きにかかるコストをまかなう程度のものになっています。そのため、投資信託ごとに手数料の差が大きく、証券会社によっては手数料を無料にしていることもあります。
特に運営コストを下げている証券会社では売買委託手数料や信託財産留保を無料にしている傾向があります。
ネット証券のように店舗経営をしないことによってコストを下げたり、いくつかのコースを設けて営業コストを下げたりして、手数料を減らす努力をしている証券会社が増えてきました。
このような背景をよく見て、手数料が低いのが納得できるような運営の仕方になっているかを吟味するのが大切です。むやみに手数料を下げているだけの場合にはサービスが不足していたり、運用がうまくできていなかったりする場合があります。安かろう悪かろうの投資信託や証券会社を選んでしまわないように注意しましょう。
手数料の意味を理解して投資信託を選ぼう
投資信託では手数料が高くなってしまうのは必然です。資産の運用や管理にコストがかかることを理解して投資信託の手数料を比較しましょう。むやみに安ければ良いと考えず、納得できる内容のサービスを受けられるものを選び出すのが大切です。